FXトレーダーが知っておくべき流動性リスクの危険性

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当たり前ですがFXは通貨の売買を行うものですよね。

何かしらの売買を行うということは、そこには「流動性リスク」というものが必ず付きまといます。

今回は意外と多くのトレーダーが見逃しがちな流動性リスクというものについて解説をしていきます。

流動性リスクとは?

流動性リスクとは?

流動性リスクとは取引高が少なくなり希望している価格での売買ができなくなるリスクのことです。

英語ではLiquidity risk(リクイディティリスク)と言います。

これはどういったことなのか、いくつか具体例を出してみたいと思います。

株式市場の例

例えば株式市場などではわかりやすいのですが、ある企業が上場廃止基準に触れるような不祥事を起こしたとします。

するとその企業は上場廃止になる恐れがあることから株主達は一斉にその企業の株を売ろうとします。

しかし、上場廃止になるかもしれない企業の株を買おうとする人はなかなかいない中で売り注文ばかりが殺到することなり、売買はほとんど成立しなくなります。

つまり取引高がほとんどなくなり、いくら株を売りたいと思っていてもなかなか希望している価格では売れないという状況になっているわけです。

不動産投資の例

不動産投資を行っている人であれば、おそらく常識的に流動性リスクについて考えている方がほとんどだと思います。

例えばアパート経営をしようとアパートを購入したものの、なかなか住んでくれる人がいなかったので、売却をしようとしたとします。

しかし自分が売りたい価格では誰も買いたいという人がおらず、なかなか売買が成立ぜずに手放すに手放せない状況になってしまうというリスクです。

結果的には結局ほとんど価値のないような値段まで下げて売買が成立するか、もしくは売買そのものが成立せずに維持費だけがかかってしまう可能性もあります。

売買というのは買い手がいるから売れ、売り手がいるから買える

ものすごく当たり前のことですが、「売買」というのは誰か買いたいという人がいるから売れますし、売りたいという人がいるから買うことができます。

まずはこの原理原則を再認識しておきましょう。

ということは、逆に考えるとその物を「誰も買いたくない」と思っている場合は売ることはできないですし、「誰も売りたくない」と思っている場合は買うことができません。

100人が1つのものを買いたいとなれば価格はどんどん吊り上がっていきますし、反対に100人の売り手に対して買い手が1人しかいなければ安い値段で叩き売りされます。

もちろんこの話は常に売買を繰り返している為替相場にも当てはまります。

通貨の売買を繰り返している以上、まずはこのような流動性リスクが常にあるということを認識しておきましょう。

流動性リスクが高くなる2つの理由

流動性リスクが高くなる2つの理由

ではどのような時に流動性リスクが高まるのでしょうか。

流動性リスクが高くなる理由は大きく分けて二つあります。

市場参加者自体が少ない場合

そもそも市場に参加している人数自体が少ないと、それだけ流動性リスクは高くなります。

例えば売り手と買い手がそれぞれ100人ずついる市場と、売り手と買い手がそれぞれ10人ずつしかいない市場では前者は取引が成立しやすいですが、後者は取引が成立しずらいですよね。

つまり、市場参加者が少なければ少ないほど流動性リスクも高まるということです。

市場状況の急変による場合

もう一つは市場状況の急変による場合です。

これは先ほど説明した株式市場の例のようなことで、ある企業が不祥事を起こして株価が大暴落した時などはいい例です。

大暴落を起こした時にはたくさんの売り注文はありますが、買い手がいない為取引がほとんど成立しなくなります。

市場参加者自体はいても、ある一方方向への注文が殺到することで取引が成立しずらくなるわけです。

他にも戦争、自然災害、デフォルトなど様々な要因で市場状況が急変することはあります。

そういった市場状況に大きな影響を与える事象が起きた時には流動性リスクは高くなりやすいです。

流動性リスクがFXトレードにもたらす影響

流動性リスクがFXトレードにもたらす影響

さて、流動性リスクというものについて何となく理解できたら、ここからは流動性リスクがFXトレードには具体的にどのような影響があるのかを解説していきます。

為替相場において流動性リスクが高くなると以下の様なことが起こります。

スプレッドが開きやすくなる

最も大きな影響と言えるのが「スプレッドが開きやすくなる」ということです。

流動性リスクが高いとFX会社はスプレッドを広げてリスクヘッジをするのです。

このあたりのFX会社がスプレッドを広げる詳しいメカニズムについては『スプレッドとは?初心者が知っておくべき全情報まとめ』の中で解説しておりますのでこちらも参考にしてみて下さい。

ここではひとまず流動性リスクが高いとスプレッドも比例して広がるということを理解して頂ければ大丈夫です。

スプレッド例

例えば、米ドル/円のスプレッドは0.3銭と非常に狭いですが、英ポンド/円のスプレッドは1.0銭と比較的広いですよね。

米ドル/円のように参加者が多く取引高も多い通貨ペアは流動性リスクも低いのでスプレッドを狭くすることができる反面、英ポンド/円のように参加者が少なく取引高もそれほど多くない通貨ペアは流動性リスクも高くなるのでスプレッドが広がりやすくなります。

このように、通貨ペアごとにスプレッドが異なるのは流動性の違いが大きな理由です。

また、よく指標発表時などの急激な値動きをした際に、スプレッドが大きく広がることがありますよね。

スプレッドが200pipsまで開いた例

普段は0.3円などと非常にスプレッドが狭い米ドル/円などでも急激な値動きの際には上の画像のようにスプレッドが大きく開くこともあります。

急激な動きをするということは、どちらか一方の注文が殺到しているということでもあり、つまり一時的に流動性リスクが急激に高まっている状態でもあります。

このような急激な価格変動時における流動性リスクの高まりによってスプレッドも一時的に広がるわけです。

値動きが荒れやすくなる

流動性リスクが高いということは、それだけ市場参加者も少なく取引高も少ないということでしたよね。

市場参加者が少ないということはそれだけ一気に価格が動いてしまう可能性も高まるということです。

市場参加者が多ければ段階的に取引が成立していく可能性も高く、比較的値動きは緩やかになりやすいですが、市場参加者が少ないと例えば100円だったものがいきなり次の取引では96円になってしまうなど荒れた動きになる可能性も高くなるということです。

実際にはここまで極端ではないにしろ、市場参加者が少ない通貨ペアほど荒れた動きをする可能性は高まると言えます。

売買自体ができなくなる

実際にはほとんどありませんが、あくまで可能性としては流動性リスクが極限まで高まれば売買自体ができなくなるリスクもあります。

これは一応FX会社には注文を拒否する権利があるにはあるという程度のことではあります。

ただ、可能性としては売買自体ができなくなるリスクもあるということは頭に入れておきましょう。

FXトレードにおける流動性リスク対策

FXトレードにおける流動性リスク対策

流動性リスクをできる限り抑える為には以下の様なことに気を付けていきましょう。

できるだけ市場参加者の多い通貨ペアを選ぶ

流動性リスクを抑える為には、そもそも市場参加者の絶対数が多い通貨ペアでトレードをしていくことも大切です。

市場参加者が多い通貨ペアというのは単純に「取引高が多い通貨ペア」ということです。

できる限り取引高が多い人気の通貨ペアでトレードをしていくことで流動性リスクを抑えることができます。

取引高の多い通貨ペアは『トレードの勝率が上がる通貨ペアの選び方』で紹介しておりますので是非参考にしてみて下さい。

重要な指標発表時などに気を付ける

市場状況が急変した場合にも流動性リスクは高まります。

ということは、急激に価格が動く可能性のある重要な指標発表時などが控えている時には、あらかじめポジションを持たないようにしておくなどのリスクヘッジをしておくことも大切です。

米雇用統計、米FOMC政策金利、米GDPなどの重要な指標発表時はポジションに注意してリスク管理をしていきましょう。

情報に対してアンテナを張る

基本的には、事件、事故、自然災害など全く予想もできないようなことが突然起こって相場が大きく動くことももちろんありますので、100%のリスク管理はできません。

しかし、それでも大切なことは「できる限りリスクを抑える」という観点です。

その為にも、各国の経済状況など、ある程度主要な情報にはできるだけアンテナを張っておくことも大切です。

急な価格変動が起きても慌てないように、しっかりとファンダメンタルズ的なこともテクニカル的なこともあらゆる情報に対してアンテナを張り続けましょう。

流動性リスクの高いものと低いもの

流動性リスクの高いものと低いもの

これは余談ですが、当然ですが投資商品ごとに流動性リスクは異なります。

例えば、為替市場は1日あたり722兆円もの取引がされていますが、日本の株式市場は1日あたり3.4兆円の取引高と言われています。

つまり、為替市場と日本国内の株式市場を単純に取引高で比較をすると為替市場の方が流動性リスクは低いということが言えます。

また、仮想通貨の中でも代表的な国内ビットコインなども1日あたりの取引高は158憶円となっていて、為替や株式と比較すると流動性リスクは比較的高いと言えます。

ただし、もちろん為替市場全体と国内ビットコイン単体を比較するのはナンセンスですので、例えば為替の代表的な米ドル/円単体の取引高と比較をしても、米ドル/円の取引高は1日あたりおおよそ3.7兆円ですので、それだけでも国内の株式市場全体の取引高よりも多く、国内ビットコインなどと比較してもはるかに取引高は多いです。

このように、為替、株式、仮想通貨など様々な投資がありますが、そもそも投資先によって流動性リスクは大きく変わってくるということもしっかりと理解しておくことが大切です。

取引高という観点で比較をすると、為替は様々な投資商品の中でもトップクラスに流動性リスクが抑えられていると言ってもいいと思います。

まとめ

どんなものでも「売買をする」ということは「買い手」と「売り手」が存在するということです。パソコンを前にして機械的な操作をしていると感じづらいですが、FXトレードも例外ではありません。

流動性リスクというものをしっかり認識しつつ、実際にトレードにどのような影響があるのかを理解しておく必要があります。

細かいようですが、こういった所から「勝ちやすい環境」を少しずつでも積み重ねていくことが相場で生き残る為にはとても重要なことです。

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