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FXトレードをしていく上では「スプレッド」というものをしっかりと理解しておく必要があります。
スプレッドとは一体何なのか?ここでは、スプレッドについてわかりやすく解説していきます。
スプレッドとは?
スプレッドとは直訳すると「広がる、開く」といった意味なのですが、FXにおけるスプレッドは売値と買値の価格差のことを意味します。
FXでは上記の様に「売値(BID)」と「買値(OFFER)」が同時に表示されます。
そして売値と買値の価格をよく見て頂けるとわかると思いますが、売値と買値の価格に差がありますよね。
上記の例では売値は「110.420円」なのに対して、買値は「110.426円」となっており、「0.006円」の差があるのがわかると思います。
この0.6銭(0.006円)の価格差がスプレッドです。
上記の例では0.006円でしたが、取引に使用するFX会社や通貨ペアによってスプレッドの幅は異なります。
スプレッドが与える影響
スプレッドはトレーダーにいったいどのような影響を与えるのかというと「トレード毎にスプレッド分のコストがかかる」ということになります。
仮に110.426円でドルを買ったとします。そのままレートが変わらない状態ですぐに売ったとしても売値は110.420円なので110.426円-110.420円=0.006円となり売買をするだけで0.006円分損をすることになるのです。(売りからエントリーする場合も同じ)
つまり、上記の例では売買をする度に0.006円のコストがかかるということです。
「0.006円などたいしたことない」と思われる人もいるかもしれませんが、レバレッジをかけるとその分手数料も大きくなることを理解しなければいけません。
例えば1万通貨(1ロット)で取引をしたとすると、単純に金額が1万倍になります。
つまり、ドル円を1万通貨分(1ロット分)取引した場合、0.006円の手数料は、0.006×1万=60円となり、1万通貨で一度取引を行う度に60円のコストがかかるということです。
ということは、額をあげて一度の取引額を10万通貨にするとコストは600円になり、100万通貨にすると、コストは6,000円になるということです。これが売買を行う度にコストとしてかかることになります。
スプレッド0.6銭といってもこのようにレバレッジをかけるとバカにならない金額になるのがわかると思います。
また、金額を上げなくてもスキャルピングやデイトレードのようにトレードスタイルによっては一日の中で何度もトレードを繰り返すような人もいると思います。トレード毎にコストが発生するので、10回、20回とたくさんトレードを繰り返していけばそれだけでもコストは馬鹿になりません。
たかが、0.6銭だと軽くみていると、思わぬ出費に繋がる可能性があるので注意する必要があります。
なぜスプレッドが存在するのか?
スプレッドが存在する理由は大きく分けて二つあります。
1.FX会社が利益を得る為
スプレッドは基本的にはFX会社がある程度自由に設定できるものです。このスプレッドによる価格差がFX会社の利益になります。
「取引手数料無料」と謳っているFX会社でも、実質スプレッドによって取引手数料を差し引いていると言っていいと思います。
その為、FX会社は取引手数料が無料でもしっかりとスプレッドによって利益がでるのです。
2.FX会社によるカバー取引のリスクを無くすため
FX会社は投資家とインターバンク市場の仲介をしてくれている会社です。
そして、カバー取引というのは簡単に説明すると投資家と同じ注文をFX会社がカバー先の金融機関に注文をすることです。
投資家が1万ドルの買い注文を出すと、FX会社はその投資家に対して1万ドルを売ることになります。と、同時にFX会社はインターバンクへ投資家が出した注文と同じ注文をします。こうすることでFX会社は損失を出すことはありません。
そのカバー取引の最中にも為替レートは変動するリスクがあります。
その為、投資家が注文をしてからFX会社がインターバンクへ注文をするわずかな時差による為替レート変動リスクを無くすために、あらかじめFX会社は価格に差をつけて提示させているのです。
FX会社がしっかりとリスク管理をして健全な会社経営をしてくれることで、投資家も安心してトレードができる環境にあるともいえるので、このあたりのコストはFXをする上では仕方のないものです。
FX会社によってスプレッドが異なる理由
FX会社によってスプレッドが異なる理由は上記のように、FX会社がどの通貨ペアからどれくらいの利益を得るかという経営方針や、カバー取引時におけるシステム上の問題、リスクの許容範囲の問題、競合他社のスプレッドや手数料の考慮など、様々な観点から独自に決定している為です。
なるべくスプレッドが小さいFX会社を選ぶことはとても大切ですが、同時にFX会社の信頼度や約定力などもしっかりと考慮する必要があります。
そういった観点からも、ただただスプレッドが安ければ良いというわけではありません。
手数料とスプレッドの違い
手数料とスプレッドの違いがよくわからないという人もいると思いますが、投資家目線で言えば手数料もスプレッドも同じように取引コストがかかるという点ではほとんど意味合いは変わらないと思っていいです。
ただ、正確に言えば手数料とスプレッドは別の意味になります。
手数料とは
手数をかけたことに対する報酬として支払う金銭。「仲介業者に手数料を払う」
引用元:デジタル大辞泉
手数料というのはFX会社が売買の手続をする代わりにかかる金額のことです。
これに対してスプレッドは売値と買値を差のことなので、手数料のように手続きに対してかかる費用というよりはFX会社が為替レートの変動リスクを無くすための費用と言えます。
本来であればFX会社は投資家の取引を代行して行ってくれているのでその分の手数料をとってもいいとは思うのですが、スプレッドというシステムがある為、手数料を取らなくても問題なく利益をだすことができるのです。
「取引手数料0円」などと謳っているFX会社も多いですが、その分しっかりとスプレッドで利益を得ているわけです。
スプレッドの計算方法
スプレッドがいくらになるのか計算する方法は簡単です。
スプレッド×取引数量をすればOKです。
例えば、ドル円のスプレッドが0.6銭のFX会社で1ロット分の取引をした場合は以下の様な計算方法となります。
0.6銭×10,000通貨は6,000銭となります。100銭で1円ですので、つまり6,000銭は60円となります。
同じようにスプレッドの異なる通貨ペアでの取引や、取引数量が異なる場合でもこの式に当てはめればスプレッドは計算できます。
スプレッド0.5銭のユーロ円で5ロットの取引をした場合
0.5銭×5ロット(50,000通貨)=250円
スプレッド1.0銭のポンド円で10ロットの取引をした場合
1.0銭×10ロット(100,000通貨)=1000円
スプレッド0.7銭の豪ドル円で12ロットの取引をした場合
0.7銭×12ロット(120,000通貨)=840円
それぞれの金額が1度の取引でかかるコストとなります。
ただし、これらはクロス円(円を含む通貨ペア)の場合の計算方法となります。
クロス円以外の通貨ペアの場合はスプレッドは「銭」ではなく「pips」と表記され、若干計算方法が異なります。
上記のように、ユーロ/米ドルのような円を絡めない通貨ペアの場合はスプレッドの表記は「銭」ではなく「pips」と表記されているのがわかると思います。
この場合は、それぞれに対応する通貨ペアのその時のレートによって金額が若干変わります。
例えば1ドル110円だった場合、1pipsは「110円×0.0001ドル=0.011円」となります。
つまり、ユーロ/米ドルのスプレッドが0.4pipsの場合はスプレッドは0.011×0.4=0.0044円となります。
現在のpipsを円に換算することができたら、後はクロス円の時の計算と同じです。
スプレッド0.0044円のユーロドルで1ロットの取引をした場合
0.0044円×1ロット(10,000通貨)=44円
スプレッド0.0044円のユーロドルで5ロットの取引をした場合
0.0044円×5ロット(50,000通貨)=220円
クロス円以外の通貨ペアの場合はまずはpipsを円に換算する必要がある為、少しだけ計算が複雑になります。
変動スプレッドと固定スプレッド
変動スプレッド
変動スプレッドはその名の通り、スプレッドが変動することを言います。
売値だけ、もしくは買値だけが動くことがあり、スプレッドに開きが生じます。
価格が大きく動いている局面などではスプレッドが大きくなったりします。
固定スプレッド
固定スプレッドはその名の通り、本来であればスプレッドが固定されることを言います…が、ほぼ全てのFX会社は「原則固定」という表現がされます。
スプレッドが全く変動しない「完全固定」というFX会社は存在しません。
原則固定とは、簡単に説明すると「基本的にはスプレッドは固定だけど、たまに変動するときもあるよ」っていうことです。
「ん?まてよ?それじゃあ固定じゃなくて変動じゃん」
そうです。原則固定という表現は結局は固定ではなく変動スプレッドと意味はほとんど一緒なんです。
「原則固定」という言葉に注意しよう
ほとんどのFX会社は「原則固定」を謳っていて、さもスプレッドは動かないかのような印象を与えますが、上記の通り実際には変動スプレッドも原則固定スプレッドもどちらも変動するので意味はほとんど一緒です。
原則固定はあくまで原則固定であり、固定ではないということをしっかりと理解する必要はあります。
それでもFX会社は「スプレッドは変動する」と表現するよりも「スプレッドは原則固定」という言葉を使った方が投資家に安心感を与えられるので、原則固定というあいまいな表現を使っているのだと思います。
実際、意味は一緒でも「スプレッドは変動します」って言われるよりも「スプレッドは原則固定です」って言われる方が口座開設したくなりますよね。
この辺りはFX会社もビジネスですので、一人でも多くのお客さんを獲得する為の表現の工夫といったところでしょうか。
いずれにせよ「原則固定だからスプレッドは動かないんだ」などと勘違いしないように、しっかりと変動リスクを考慮することが大切です。
スプレッドの配信率である程度の確認ができる
中にはスプレッドの配信率を確認することができるFX会社もあります。
配信率というのはどれくらいの割合で原則固定として提示している価格通りのスプレッドになっているかを表した過去データです。
この数値が95%以上であれば広告などで「原則固定」という言葉を使用しても良いという基準もあります。
その為、原則固定を謳っているFX会社は基本的に配信率95%以上を維持しているFX会社であることが多いと言えます。
それでも計測方法はFX会社によって異なる部分も多く「FX会社が提示している配信率が95%以上だから安心」と、簡単に考えないようにはしていく必要はあり、あくまで目安となります。
スプレッドが広がる理由
そもそも「なぜスプレッドは変動するのか?」ということもしっかりと理解しておくことが大切です。ここではスプレッドが広がる3つの理由について解説します。
1.流動性が低い
流動性とは
ある資産について、損失を被ることなく、しかも直ちに貨幣にかえることができる可能性の度合い。
引用元:goo辞書
流動性というのは上記の通り「直ちに貨幣にかえることができる可能性の度合い」のことです。要するに「取引の成立のしやすさ」のことです。
流動性は「取引の成立のしやすさ」ですので、市場に参加している人数に比例して高くなったり低くなったりします。
市場参加者が多ければ多いほど取引も成立しやすく、直ちに貨幣に変えることができる可能性が高くなります。つまり流動性が高い状態です。
反対に、市場参加者が少なければ少ないほど取引は成立しにくく、直ちに貨幣に変えることができる可能性が低くなります。つまり流動性が低い状態です。
市場参加者が少なく取引が成立しずらい状態であればあるほど、インターバンク市場で顧客の取引を執行する為替ブローカーが自分の望んだレートでの取引ができないリスクは高くなります。
このリスクを抑えるためにも、あらかじめ流動性の低い取引に関してはスプレッドを広げて損をしないように対応をしているわけです。
例えば、上記のようにドル円のスプレッドは0.3銭と狭いですよね。
ドル円のスプレッドが狭い理由は、それだけドル円を取引している人数が多いことによって流動性が高いというのが大きな理由です。
反対にスイスフラン円のスプレッドは1.8銭と広いですが、これはドル円などに比べてスイスフラン円を取引している人数が少なく、流動性が低いというのが大きな理由です。
基本的には人気の通貨ペアほど流動性が高いので、それに比例してスプレッドも狭くなっていくというわけです。
逆に言えば、スプレッドを見ることでそれぞれの通貨ペアのある程度の流動性を図ることもできます。
2.急激な為替レートの動き
為替相場は時に急激にレートが動くことがあります。
国際的な事件やテロ、米国大統領等の要人によるサプライズ発言など、突発的なニュースによって急激に為替レートが動くのです。
そういった為替レートが急激に動く際もスプレッドは大きく広がります。
その理由として価格が一方向へ急激に動くと、注文が売りもしくは買いのどちらか一方に大幅に偏ることがあります。
注文が一方に偏ると取引も成立しずらくなり、一時的に流動性も下がることで、どこまで価格が動くのかもわからなくなります。
そのような時に、FX会社はスプレッドを大幅に広げることで為替レートの変動による損失リスクを抑えようとしているのです。
投資家とすれば、スプレッドが広がることでコストが大幅にかかってしまったり、通常よりも早いタイミングで強制ロスカットを執行されたりすることになるので、損失を被る可能性が高まります。
しかしFX会社からすれば、急激な為替レートの変動によって多くの顧客が口座資金以上の損失を出されては、その損失分を回収できない可能性が高まります。
それはすなわちFX会社の破綻にも繋がるので、急激な変動の時にはスプレッドを広げることでできるだけ早く強制ロスカットをするようにしているわけです。
急激な為替レートの変動時にスプレッドが大きく開くのはFX会社自身のリスクヘッジの為なのです。
3.FX会社のカバー先が少ない
FX会社はカバー先の金融機関から提示されたレートを基準にして顧客へ為替レートを提示します。
つまり、普段個人投資家がFX会社を通じてみている為替レートは以下の様な工程を経て提示されます。
カバー先の金融機関が為替レートをFX会社に提示し、FX会社はカバー先から提示されたレートをもとに顧客へ為替レートを提示します。
これが基本的な形なのですが、カバー先が提示するレートはカバー先によって異なってくるというのが大きなポイントとなります。
そうなった時により多くのカバー先と提携しているFX会社の方が選択肢は増え、より顧客に有利な為替レートを提示することができます。
例えば、上記のようにカバー先が4つあって、それぞれのカバー先が提示するレートが異なっていた場合、FX会社としては一番有利なレートを選択することができます。
選択肢が多ければ多いほど「一番安い所から買おう」「一番高い所に売ろう」ということができるわけです。
上記の例であれば、1ドル100円で売ってくれるところから買って、1ドル100.03円で買ってくれるところに売ることができるわけです。
このようにカバー先の選択肢が多ければ多いほど顧客に有利なレートを提示できるので、すなわちスプレッドを狭くすることができるということになり、反対にカバー先が少なければ少ないほど選択肢も少なくなり、スプレッドは開きやすい傾向にあるということです。
カバー先の数とスプレッドにはこのような関係性があります。
スプレッドは時間帯によって変わる?
スプレッドが広がりやすい時間帯というのも確かに存在します。
スプレッドが広がる理由は基本的には上記で説明した通り「流動性が低い時」であることが主な理由です。
つまり、1日の中で取引の数が少ない時間帯はスプレッドも開きやすくなるということです。
では具体的に取引の数が少ない時間帯とはどの時間帯なのかと言うと、世界の三大市場が開いていない時間帯となります。
世界の三大市場とは「ロンドン」「ニューヨーク」「東京」の3つです。
特にロンドン市場とニューヨーク市場の時間帯が重なる22時~2時の間は取引高が多く流動性が高まります。
反対に世界の三大市場が一つも開いていない朝の6時~8時は取引高も少なく、流動性が低くなりやすい時間帯です。
つまり、突発的な事件やイベントを除いた場合、朝の6時~8時頃は1日の中でもスプレッドが開きやすい時間帯と言えることができます。
この時間帯に取引をする際には少し注意をして見てみましょう。
FX会社のカバー先比較
単純なスプレッドの比較だけではなく急激な為替レートの変動時になるべくスプレッドが開きにくいFX会社を選ぶのも大切なポイントです。
その際の一つの指標として「カバー先の数」も役立ちます。カバー先の金融機関が多いほど有利なレートを提示できる可能性も高くなります。
以下にカバー先の数を比較してみましたので、こちらも合わせて参考にしてみて下さい。
FX会社 | カバー先の金融機関 | カバー先の数 |
|
|
21 |
|
|
15 |
DMM FX |
|
11 |
外為ジャパン |
|
10 |
|
|
7 |
|
|
8 |
|
|
4 |
|
※親会社が複数のカバー先を確保している |
1 |
海外のFX会社だとスプレッドは安い?
海外のFX会社だとスプレッドは安いという話もありますが、結論から言うとそんなことはありません。
海外のFX会社のほとんどは原則固定スプレッドではなく変動スプレッドであることが多く、公開されているスプレッドの平均値で比較しても国内のFX会社より高くなる場合が多いです。
海外のFX会社の多くは上記のようにスプレッドの「最小値」「最大値」「平均値」が表示されていることが多いです。
「最小値」「最大値」で比較をしてもほとんど意味はありませんので、この中で注目すべきなのは「平均値」です。
例えばドル円の平均値を見てみると1.8pipsになっているのがわかると思いますが、国内のFX会社と比較してもそれほど安くはないのがわかります。
また、スプレッドの安いFX会社があったとしてもその代わりに手数料がかかることがほとんどですので、結果的に取引コストは下がりません。
FX初心者の方はまずは国内のFX会社から始めておく方が無難です。
FXトレードでスプレッドは切っても切り離せないものなので、かならずしっかりと理解をしてから実際にトレードをするようにしましょう。
スプレッドの仕組みや、スプレッドが変動する理由などをしっかりと理解しておくことはとても大切なことです。
また、スプレッドは取引業者によってかなり違ってくるので、しっかりと自分のトレードスタイルにあった取引業者を使うことも重要なポイントとなります。
スプレッド一つとっても、細かい所から確実に自分に有利になるような環境を作っていくことが勝ち続ける為には重要なことです。