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FXでは様々な分析方法を用いてトレードを有利に進めていくわけですが、その分析方法は大きく分けて2種類あります。
それが「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」です。
今回はそのうちのひとつである「ファンダメンタルズ分析」について解説していきます。
ファンダメンタルズ分析とは?
ファンダメンタルズ分析とは世界各国の経済状況を分析して相場の動きを予測していく方法のことです。
「ファンダメンタルズ」という言葉を日本語に訳すと「経済の基礎的条件」という意味になります。
経済の基礎的条件と言われてもいまいちピンとこないと思うので、更にわかりやすくシンプルに言うと世界各国の「経済状況」ということです。
世界各国の経済状況というのは強く為替レートの変動に影響を与える為、経済状況を分析することで為替相場の動きをある程度予想することができるのです。
各国の経済状況は経済指標(経済成長率・物価上昇率・失業率・国際収支など)や金融政策などから分析されます。
株とFXでは少しニュアンスが違う?
ファンダメンタルズ分析というのは株でもよく使われる分析方法なのですが、株とFXではややニュアンスが違います。(もちろん、経済状況から判断するという本質的な意味は同じです)
株でいうファンダメンタルズ分析というのは、主に企業の業績や財務状況などからその企業の株が割安であるとか、割高であるといったことを判断していきます。
そしてその企業が今後どれだけ成長していく可能性があるのかといったことを含みにして投資を行っていくのです。
これに対してFXでいうファンダメンタルズ分析というのは、ある一国の経済状況だけを分析するというよりは「相対的な通貨価値の変動」を見ることが重要とされます。
株とFXの大きく違う点の一つとして、株は一つの企業の株を取引するだけですが、FXの場合は必ず二国間における「通貨ペア」で取引をするので相対的な価値の変動を分析することが重要になってくるのです。
例えば株だったら、ある企業がこれからさらに成長が見込める場合は無条件にどんどん買われて価格が上昇していきます。
しかしFXの場合、日本の経済状況が良くてこれからさらに成長しそうだと分析できたとしても必ず円が買われるわけではありません。
その要因は様々なものがありますが、例えば円高になり過ぎないように政府や日銀が金融緩和をしたり、仮に日本以上にアメリカが成長したら相対的に「ドル/円」のトレードにおいては円よりもドルが買われたりするからです。
FXでいうファンダメンタルズ分析というのは、その国の通貨が割安か割高かといったようなことを判断するというよりは、それこそ世界中の通貨価値のバランスを分析するという意味となります。
ある国が財政破綻したから相対的に別の国の通貨が買われたり、ある国でテロ事件が起きたから相対的に別の国の通貨が買われたりするのです。
FXでいうファンダメンタルズ分析では、そういった世界中の通貨価値のバランスを見ることが重要になります。
ファンダメンタルズ分析のメリット
1.重要な経済指標の発表に対して準備ができる
重要な経済指標は為替レートの変動に大きく影響を与えるわけですが、ファンダメンタルズ分析を理解しておけば重要な経済指標の発表に対してしっかり準備をすることができます。
例えば、今日の夜に米雇用統計など重要な経済指標が発表されるとした場合、発表されること自体を知らないとなぜ急に価格が動いたのかもわからず、慌てて対応しなくてはいけなくなります。
しかし事前に重要な経済指標の発表を認知していれば、例えば発表前に一度ポジションを決済しておいたりすることもできます。
事前にある程度の準備ができるわけです。
重要な経済指標の発表というのは基本的には発表される時間が決まっていて、全世界のトレーダー達が注目しています。
そんな重要な経済指標の発表に対して準備ができるのは大きなメリットです。
2.おおよその中長期的な展望が見える
ファンダメンタルズ分析は経済状況を分析するものです。
その為、重要な経済指標の発表時などを除くと、基本的には「少しだけ遠い未来」を予測することに適した分析方法です。
少しだけ遠い未来というのは、要するに「これからしばらくは円高になりそう」とか「利上げの影響でしばらくドル安になりそう」といったことを漠然と考えることができるということです。
「すぐ先の未来」ではなく「少しだけ遠い未来」を予測しやすいので、トレードにおいては中長期的な動きを読むのに適しています。
例えば「イギリスがユーロを離脱した」というファンダメンタルな要因があった時に、「しばらくはユーロ安になる可能性が高い」という漠然とした予測はできますよね。
ただし、注意するべきなのはファンダメンタルズはどの時点で相場に織り込み済みになっているのかの判断が難しく、イギリスがユーロを離脱したというニュースが出た時点では既にユーロ安になった後である可能性もあります。
「~だから絶対に円高になる」みたいな考え方は相場においてはマイナスになります。
あくまで漠然とした方向性が何となく見える程度としてとらえるようにしましょう。
3.リスク回避ができる
ファンダメンタルズ分析をすることで、リスクを少しでも減らすことができます。
例えば、ある国の経済状況があまり良くないことがわかれば「しばらくはその国の通貨をトレードするのはリスクが高いからやめておこう」と判断したりすることもできます。
他にも、重要な経済指標の発表を控えていることを把握していれば「指標発表時にどちらに動くかわからないので、一旦今のポジションを決済しておこう」と判断することもできます。
これらはいずれもテクニカル分析だけでは判断ができないことです。
FXで最も簡単にできるリスクの回避方法は「トレードをしない」ということです。
ファンダメンタルズ分析によってあまりよくない情報がでた場合は一旦はリスクを回避する為にポジションを持たないということもできます。
ファンダメンタルズ分析をすることで、トレードにおける選択肢が増えるのです。
ファンダメンタルズ分析のデメリット
1.情報を知るまでにタイムラグがある
発表時間が決まっているような経済指標に関してはそこまでラグはありませんが、それ以外の全世界の役人の発言、ニュース、事件、事故などは基本的にリアルタイムで全て知ることは不可能です。
ほとんどはもう為替レートが動いてしまって、後から情報を知るようなことが多くなります。
どうしてもファンダメンタルズな情報は個人トレーダーの耳に入ってくるまでにタイムラグが発生するので、スキャルピングなどの短期売買にはあまり向きません。
2.全てが正確な情報とは限らない
ファンダメンタルズな情報はどうしても人間を介して情報が伝達していくので、100%正確な情報とは限りません。
例えば、役人の発言やニュースなどはメディアによって切り取る部分が違えばニュアンスも違ってくるのです。
同じ出来事が起きても、メディアによって、もっと言うとそれを伝えるライターや記者によっても情報の捉え方は変わります。
チャート等とは違いデータではないので、人間の主観がどうしても介入してしまい、100%正確な情報とは限らないのです。
3.どのように為替レートが動くのかわかりづらい
ファンダメンタルズな情報というのは非常に複雑です。
例えば「アメリカの大統領がドナルド・トランプ氏に決定」という情報があった時に、果たして円高になるでしょうか?それとも円安になるでしょうか?
為替レートというのは本当に様々な要因が複雑に絡み合って決まっていくので「トランプ氏が大統領になったからどうなる」みたいに明確に方向性が決まるわけではありません。
実はこの辺りは専門家でも判断は難しく、実際にどう動くのかは非常にわかりづらいんです。
というのも、ファンダメンタルズな情報というのはどのタイミングで相場に織り込まれるのかが非常にわかりにくいからです。
「アメリカの大統領はトランプ氏に決定」というニュースが出たとしても、すでに選挙中から相場には影響が出始めていますし、もっと言うと候補者になった段階でも相場に影響はでています。
つまり、為替相場を動かすような大きなニュースがあったとしても、そのニュースの情報を元にどのタイミングでどのくらい相場に影響を与えるのかの判断がかなり難しいということです。
4.世界中の全ての経済指標を知ることは不可能
ファンダメンタルズ分析を完全に極めることはできません。
なぜなら、今この瞬間世界中で何が起きているのか全ての情報を知ることは不可能だからです。
自分の知らない世界のどこかで、何か重要な出来事が起きたりすることはどうしても避けれません。
そしてそういった世界中の様々な出来事に影響を受けて相場は常に動き続けているのです。
ファンダメンタルズ分析だけをしていても、全ての情報を網羅することはできない以上、ある程度のところでファンダメンタルズに対して線引きをして考えていかないといけません。
5.具体的なエントリーポイントを判断しづらい
実際にこれからしばらくは円高傾向になるだろうとファンダメンタルズ分析をしたとしても、じゃあ実際に今買うべきなのか、1分後に買うべきなのか、1時間後に買うべきなのか、具体的なエントリーポイントというのはどうしても判断しづらいです。
ファンダメンタルズ分析では漠然とした方向性は予測できても、今この瞬間のトレードに対しての判断材料としてはやや弱いのです。
その為、具体的なエントリーポイントに関してはファンダメンタルズではなくチャートなどのテクニカルな情報を元にするトレーダーが圧倒的大多数です。
重要な経済指標は何?
日々、発表される経済指標はたくさんあります。
この例のようにざっと見ても1日に発表される経済指標だけでもこれだけあります。
これだけ数があるので、全ての指標を追いかけるのは大変です。
そこで、最低限抑えておくべき特に重要な経済指標を紹介します。
米FOMC(金融政策会合)
重要度 | ★★★★★ |
発表時間目安 |
年8回 |
最も重要な経済指標と言えるのが金融政策会合です。
アメリカで行われる金融政策会合のことを「FOMC」と言います。
FOMCは「Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)」の略で、政策金利の利上げや利下げの判断をしています。
金利の変動は為替相場の動きに直結するくらい重要な経済指標となります。
FOMCは年に8回、日本時間の午前3:30~4:30頃発表されます(サマータイムなどによって発表時間が異なるので直近のFOMCの発表時間は常に最新の情報を確認するようにしましょう)。
米雇用統計
重要度 | ★★★★★ |
発表時間目安 |
毎月第一金曜日 |
米雇用統計とはアメリカの労働省が毎月発表している雇用情勢を調べた景気関連のデータのことです。
失業率や非農業部門就業者数などの重要データも発表され、これらのデータがFOMCに大きな影響を与えることから、FOMC同様に為替相場に大きな影響を与える経済指標となります。
日銀金融政策決定会合
重要度 | ★★★★ |
発表時間目安 |
年8回 |
日本の中央銀行である日本銀行による金融政策を決定する為の会合です。
FOMCの日本版ですね。
日本円も世界的に見ても主要通貨の一つなので、日本円に対する金融政策が為替相場に与える影響は非常に大きいです。
欧州中央銀行(ECB)政策金利発表
重要度 | ★★★★ |
発表時間目安 |
年8回 |
ECB政策金利発表とは欧州中央銀行による金融政策を決定する為の会合です。
米ドル、円も影響力がありますが、当然ユーロ圏の金利政策も為替市場に非常に大きな影響を与えます。
ファンダメンタルズ分析の情報源
ファンダメンタルズ分析をする上で情報源をしっかりと確保することは非常に大切です。
主な情報源として以下のようなものがあります。
- テレビやラジオ
- 新聞や雑誌
- インターネット
- 口コミ
この中でも最も情報の伝達が早いのが「インターネット」です。
ですので、最も重要視すべき情報源はインターネットということになります。
基本的にはほとんどのFX会社が最新のニュースを配信してくれているので、自分が使用しているFX会社のニュースをチェックしていけばいいと思います。
その他は以下のようなサイトも有名です。
事例から見るファンダメンタルズ分析の重要性
経済指標は為替レートに大きな影響を与えます。
以下のチャートをご覧ください。
例えばこれは米雇用統計が発表された時のチャートです。
赤くハイライトされている22時30分に米雇用統計が発表されたのですが、発表と同時に一気に価格が動いているのがわかると思います。
このように重要な経済指標の発表時にはこのくらい価格が動くこともあります。
このような時もファンダメンタルズ分析を行っていれば、しっかり準備をすることができますし戦略を立てることもできます。
しかし、ファンダメンタルズを無視してチャートしか見ていなければこの急激な値動きについていけず慌ててしまうのです。
ファンダメンタルズ分析をすることで、少しでもチャンスを増やすことができると同時に、リスクを減らすこともできるのです。