関税と為替相場の関係性をわかりやすく解説!関税を引き上げるとどうなる?影響は?

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為替相場を大きく動かす要因の一つとして「関税」の存在があります。

FXトレードをする人であれば「関税」と「為替相場」の関係性は気になるところですよね。

ということで今回は関税と為替相場の関係性について詳しく解説してきます。

この記事について動画でも解説しておりますので是非ご覧ください。(動画が見づらいという方はそのままテキストを読み進めて下さい)

関税とは?

関税とは?

一般的に関税とは国境を通過する貨物に対して、輸入国政府によって課せられる税のことです。

例えば日本政府がトウモロコシに対して15%の関税をかけるとすると、上記のように海外で100円で売られているトウモロコシが国内では15%上乗せされて115円になります。

このように関税というのは外国からの輸入品に対してかかるので、その分国内では値段が上がります。

また、関税は動物、植物、食品、 化学工業品、プラスチック製品、自動車など、あらゆる品目ごとに細かく設定されます。

なぜ関税が必要なのか?関税を行う理由は?

関税を行う理由は大きく分けて2つあります。

  1. 国家収入を確保する為
  2. 国内産業の保護・振興・育成の為

まず一つ目の理由が単純に輸入品に対して税金をかけることで、その分国の収入を増やす為です(大体先進国の場合は関税による収入は国家全体の収入の5%以下と言われています)。

そしてもう一つの理由が国内産業の保護・振興・育成の為です。

例えば、海外で大量生産された安い野菜をそのまま大量に輸入してしまうと、価格競争によって日本国内で育てられた野菜が売れなくなってしまい、国内の農家の人達は食べていけなくなってしまいます。

そうなると国内の農家は軒並み廃業になり、国内で野菜を育てる人がいなくなってしまいます。

そこで野菜に対して関税をかけることで、日本国内の野菜と販売価格を均等にする(もしくは上げる)ことで国内で育てられた野菜が売れなくなってしまうのを防ぐのです。

このように国策上保護すべき産業や、国際競争力の低い産業を中心に関税を課して保護をしていくのが目的です。

関税を引き上げることに対する懸念点・デメリット

関税を引き上げると国家の収入も増えるし、国内産業も保護できるしいいことづくしじゃん!どんどん関税を引き上げよう!

なんて思ってしまいますが、関税を引き上げることによるデメリットも当然あります。

関税を引き上げると当然国内の物の値段が上がります。

上記の例で言えば、本来100円で買えるトウモロコシを115円で買わなければいけないということです。

つまり、関税を引き上げすぎると国内消費者の負担が増える為、物が売れなくなり、結果的に国内の景気を悪化させてしまう原因になるのです。

闇雲に関税を引き上げることは、国内景気を悪化させ、結果的に自分達の首を絞めてしまうことになるのです。

その他関税の引き上げによって起こりうるデメリット
  • 貿易量の減少
  • 企業のコストアップ
  • 物価上昇
  • 消費減少
  • 企業業績悪化
  • 資産価格下落
    など

hiro

関税を引き上げすぎず、なおかつ引き下げすぎず、国内の厚生が最大になる割合のことを「最適関税」と言うよ

関税と為替相場の関係性

関税と為替相場の関係性

さて、何となく関税について理解して頂けたら「関税の引き上げ、引き下げがなぜ為替相場に影響を与えるのか?」というところを解説していきたいと思います。

注意
ここではあくまで関税と為替相場の「基本的な関係性」について解説します。基本的に円高や円安が起こるメカニズムは複雑であり、こんなに単純なものではないということは頭の片隅に入れておいて下さい。

為替相場は「輸出」や「輸入」といった貿易の影響を受けやすい

そもそも為替相場というのは国の「輸出量、輸入量の増減」の影響を非常に受けやすいです。

例えば、日本から海外への輸出量が増えると日本製品を買う為の円需要が増えます。円の需要が増えるということはそれだけ円高になりやすいということです。

反対に海外から日本への輸入量が増えると海外の通貨の需要が増える為、円が売られやすくなります。つまり円安になりやすいということです。

ちなみに日本の輸出額と輸入額の合計は2018年時点で164兆円を超えます。日本だけでもこの金額ですが、これに加えアメリカ、中国、ロシアなど世界各国がそれぞれ市場にインパクトを与えるわけですから、為替相場にも当然大きな影響を与えるわけです。

輸出、輸入の増減が為替相場に大きな影響を与えるということは、その輸出、輸入に大きな影響を与える「関税の引き上げ、引き下げ」というのが世界の貿易バランスを変動させる大きな要因となるわけです。

例えば「アメリカが中国への関税を引き上げた」となれば、中国製品やアメリカ製品の輸出量が減ったり、相対的に他国の輸出量が増えたりするので、当然世界の貿易バランスは変動し、それに伴い各国の通貨需要が変動(=すなわち為替相場の変動)するわけです。

アメリカが中国への関税を引き上げても日本には関係ないんじゃ?

このように思う人もいるかもしれませんが、基本的に貿易というのは2国間だけの簡単な話ではなく、様々な国の影響を互いに受けます。

アメリカと中国が互いに関税を引き上げれば、アメリカと中国の輸出量は減り、それ以外の国からの輸入が増えたりします。

今まで中国製品を買っていた企業が、中国製品の関税引き上げによって今後は日本製品に変更したりすることもあるわけです。すると、日本製品の輸出量が増えたりしますよね。

アメリカの輸出量が減るということはそれだけドルの需要が減るということであり(ドルが売られやすくなる)、相対的に円高になるわけです。

以下の記事でアメリカが中国に対する関税を引き上げた際の実際の為替相場の動きをチャートで解説しております。

アメリカの中国に対する関税引き上げで為替相場は実際にどのように動いたのか確認したい人は是非以下の記事も読んでみて下さい。

【チャートで比較】アメリカの中国に対する関税引き上げで為替相場への影響はどうなる?実例で解説

hiro

輸出額や輸入額は各国の通貨需要に大きな影響を与えるよ

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