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- テクニカル分析とは?そもそも何をする分析なの?
- 「テクニカル分析は意味ない」「オカルト」と言われるのはなぜ?
- ゴールデンクロスやRSIは、実際どのくらい当たっているの?
- 意味がないなら、なぜみんなチャートを見ているの?
テクニカル分析は「必ず当たる予言」ではありませんが、「まったく意味がない」とも言い切れません。ドル円の日足20年で有名なサインを数えると、多くは偶然と見分けがつかない一方で、使い道がはっきりしている場面もありました。
この記事では、まずテクニカル分析とは何かを短く説明し、「意味ない」「オカルト」と言われる理由を整理します。そのうえで、当サイトのテクニカル条件付き確率DB(ドル円日足5,172日)で、サインのあとの値動きを「でたらめに選んだ日」と比べます。
テクニカル分析とは?チャートから次の動きを考える方法
図: テクニカル分析の主な種類(hiro-fx.com 作成)
テクニカル分析とは、過去の値動き(チャート)から、この先の値動きの傾向を考える方法です。移動平均線やRSIのような「指標」を計算したり、何度も止まった価格に線を引いたりして、売り買いの判断材料にします。
これに対して、金利や景気、要人の発言など、値動きの「理由」から考える方法をファンダメンタルズ分析と呼びます。FXでは、数分〜数日の短い取引ほどテクニカル分析、数か月以上の長い見通しほどファンダメンタルズ分析が使われやすいとされています。
テクニカル分析の前提は「値動きには人の心理がのっていて、似た場面では似た動きが起きやすい」という考え方です。この前提が正しいかどうかが、「意味ない」かどうかの分かれ目になります。
「テクニカル分析は意味ない」「オカルト」と言われる3つの理由
図: テクニカル分析が否定される主な理由(hiro-fx.com 作成)
①値動きはランダム(予測できない)という考え方
否定する側の土台にあるのがランダムウォーク理論です。値動きは酔っぱらいの千鳥足のように行き先が決まっておらず、過去の動きから次の一歩は予測できない、という考え方です。
米国の経済学者バートン・マルキール氏は、著書『ウォール街のランダム・ウォーカー』でこの考え方を広めました。同書では、テクニカル分析には効果がないという立場をはっきり示しています。株の世界で「テクニカル分析は意味ない」と言われるときも、多くはこの議論がもとになっています。
②当たった例だけが語られる「後付け」
チャートの解説では、サインがきれいに当たった場面が例として選ばれがちです。外れた場面は語られにくいので、実際より当たるように見えます。線の引き方や設定を後から変えれば、どんなチャートにも「当たっていた形」を見つけられてしまいます。
「テクニカル分析はオカルト」「科学的根拠がない」と言われるのは、このように件数と割合で確かめられていない話が多いからです。占いと同じで、当たった話だけを集めれば、どんな方法も当たって見えます。
③わずかな優位は、コストや負けの連続で消える
仮に少しだけ当たりやすいサインがあっても、スプレッド(売値と買値の差)や、損切りが続く時期を乗り切れなければ利益は残りません。「当たる割合が数ポイント高い」ことと「その方法で利益が出る」ことは別の話です。
【データ】ドル円20年で、有名なサインのあと予想どおりに動いた割合
図: ドル円日足(2006年10月〜2026年9月・5,172日)で、各サインが新しく出た日の終値から5日後・20日後の終値が、サインの向き(買い=上、売り=下)に動いた割合。hiro-fx.com 計算
当サイトのテクニカル条件付き確率DBで、ドル円の日足20年分(5,172日)を数えました。サインが新しく出た日の終値と、5日後・20日後の終値を比べ、サインの向き(買いのサインなら上、売りのサインなら下)に動いた割合を出しています。
比べる相手は「何もサインがなくても、すべての日で見たら何%か」です。ドル円はこの20年で上がった日のほうがやや多く、5日後に上がっていた日は52.8%、20日後は53.2%でした。買いのサインは52〜53%、売りのサインは47%前後を超えて、はじめて「サインのおかげ」と言えます。
| サイン(日足) | 向き | 回数 | 5日後 | 20日後 | でたらめに選んだ日(5日後・95%の範囲) |
|---|---|---|---|---|---|
| ゴールデンクロス(25日線が75日線を上抜け) | 買い | 37回 | 43.2% | 56.8% | 38〜68% |
| デッドクロス(25日線が75日線を下抜け) | 売り | 38回 | 47.4% | 52.6% | 32〜63% |
| 長期のゴールデンクロス(75日線が200日線を上抜け) | 買い | 15回 | 60.0% | 40.0% | 27〜80% |
| 長期のデッドクロス(75日線が200日線を下抜け) | 売り | 15回 | 40.0% | 53.3% | 20〜73% |
| MACDがシグナルを上抜け | 買い | 216回 | 49.1% | 53.5% | 46〜59% |
| MACDがシグナルを下抜け | 売り | 216回 | 46.3% | 47.4% | 41〜54% |
| RSIが30以下(売られすぎ) | 買い | 58回 | 67.2% | 52.7% | 40〜66% |
| RSIが70以上(買われすぎ) | 売り | 82回 | 48.8% | 44.4% | 37〜58% |
※「5日後」「20日後」はサインの向きに動いた割合(変わらずを除く)。すべての日の割合は、買いの向き=5日後52.8%・20日後53.2%、売りの向き=47.2%・46.8%。出典:https://hiro-fx.com/tools-kx52/tech/stats.json(2026-10-01 10:10更新)。日足はYahoo Financeの値をNY引け基準に整えたもので、金曜の終値は月曜の寄り付きで代用しています
8つのサインのうち、5日後にすべての日より予想どおりに動いた割合が高かったのは4つでした。たとえばゴールデンクロスは37回出て、5日後に上がっていたのは43.2%と、すべての日の52.8%より低い結果です。20日後では56.8%と高くなりましたが、灰色の帯(偶然でも起きる範囲)の中に収まっています。
図3の16個の点(8サイン×5日後・20日後)のうち、帯の外に出たのは1個だけでした。RSIが30以下になったあと、5日後に上がっていた67.2%(58回)です。同じRSI 30以下でも、10日後は56.9%、20日後は52.7%と、すべての日と変わらない水準に戻っています。
あわせて読みたい:テクニカル判定ボード【毎時更新】(28のサインの過去の成績を通貨ペア別に表示)
ランダムと比べると?「当たった」に見える数字の落とし穴
図: ドル円日足(2006年10月〜2026年9月)の全日から、でたらめに58日を選んで5日後に上がった割合を出す試行を1万回くり返した分布。hiro-fx.com 計算
「67%も当たった」と聞くと、よく効くサインに見えます。そこで、サインと関係なくでたらめに58日を選び、5日後に上がった割合を1万回出してみました。結果は図4のように35%前後から70%前後まで散らばり、67.2%以上になったのも1万回中165回ありました。
つまり、RSI 30以下の結果は「偶然だけでは100回に2回ほどしか起きない」珍しい数字です。ただし、当サイトのDBは28種類のサインを4つの期間で調べています。そのうち104通り(向きのない十字線を除く)を同じように確かめると、帯の外に出たのは6通りでした。偶然でも5%、つまり約5通りは帯の外に出るので、ほぼ偶然どおりの数です。
たくさんのサインを調べれば、偶然だけでも「よく当たるサイン」はいくつか見つかります。1つの好成績だけを見て「このサインは効く」と決めるのが、テクニカル分析でいちばん多い落とし穴です。
1時間足でも同じ傾向
同じDBの1時間足(2024年10月1日〜2026年10月1日・12,253本)でも、24時間後に上がっていた割合は、すべての時間が56.4%、ゴールデンクロスのあとが60.4%でした。主な6つのサインで、すべての時間との差は最大でも4.0ポイントにとどまっています。
それでもテクニカル分析が使われる理由と、意味がある使い方
図: テクニカル分析でできること・できないこと(hiro-fx.com 作成)
「次の動きを当てる道具」として見ると、テクニカル分析の効果は小さいか、偶然と見分けがつきません。それでも多くのトレーダーが使い続けているのは、当てる以外の使い道があるからです。
多くの人が見ている価格が分かる
1988年にイングランド銀行の依頼で、ロンドンの為替ディーラーに行われた調査(Taylor・Allen、1992年発表)では、少なくとも90%がどこかの期間でテクニカル分析を判断材料にしていると答えました。短い期間ほどテクニカル分析を重視する傾向でした。また、かなりの割合が「テクニカルの見方は自己実現的かもしれない」と答えています。みんなが同じ所を見るので、そのとおりに動くという意味です。
当サイトの集計(ドル円1時間足2年・1,777回)では、前日の高値・安値やキリ番に届いた回を数えました。約7割は、20pips抜ける前に反対へ20pips戻っていました。多くの人が注文を置く価格が分かることは、テクニカル分析のはっきりした使い道です。
あわせて読みたい:サポートラインとレジスタンスラインの引き方|ドル円2年で反発と抜けを検証
値動きの大きさを測り、損切りの位置を決められる
ボリンジャーバンドやATR(平均的な値幅)は、方向ではなく「その時点の値動きが大きいか小さいか」を測る物差しです。値動きが大きい時期は損切りの幅を広げて取引量を減らすなど、リスク管理に使えます。
判定ボードのような「買い・売り」の表示も、予言ではなく「その時点の状態の整理」として見ると、実態に合った使い方になります。
あわせて読みたい:ボリンジャーバンドの使い方|±2σに95%は本当?ドル円15年で検証
テクニカル分析と付き合うときのチェックリスト
図: テクニカル分析を使う前のチェックリスト(hiro-fx.com 作成)
テクニカル分析を使うなら、まず「そのサインは何回中何回、どちらに動いたのか」を件数つきで確かめましょう。比べる相手は「すべての日」です。上昇が続いた時期は、どんな買いのサインも当たって見えます。
次に、サインが出たら何日(何時間)見るのか、どこで損切りするのかを、入る前に決めます。サインの成績が偶然と見分けがつかなくても、損切りを決めておけば1回の負けを小さく抑えられます。
最後に、雇用統計・FOMC・日銀会合のような大きく動く予定はチャートには出てきません。テクニカル分析とファンダメンタルズ分析は、どちらかを選ぶものではなく、組み合わせて使うのが一般的です。
あわせて読みたい:移動平均線とは?見方と使い方、期間の設定とゴールデンクロスの注意点
よくある質問
Q. テクニカル分析はオカルトなのですか?
A. 「必ずこう動く」と言い切る使い方はオカルトに近いと言えます。一方で、件数と割合で確かめ、偶然と比べる使い方は統計の考え方そのものです。当サイトの集計では、多くのサインは偶然と見分けがつきませんでしたが、前日高値やキリ番で跳ね返されやすいなど、数字で確かめられる傾向もありました。
Q. 株のテクニカル分析も意味ないのですか?
A. 株も「ランダムウォーク理論」をめぐる議論は同じです。ただし株は決算や増資など個別の材料で動き、出来高も見られるなど、為替とは条件が違います。この記事の数字はドル円のものなので、株にそのまま当てはめることはできません。
Q. 勝てるテクニカル指標はありますか?
A. 当サイトで調べた範囲では、それだけで勝てると言えるサインは見つかりませんでした。指標を探すより、自分の売買ルールを過去データで確かめ、損切りと取引量を決めることのほうが結果に直結します。
Q. テクニカル分析とファンダメンタルズ分析は、どちらが大事ですか?
A. 取引する期間によります。数分〜数日の短い取引では値動きそのものを見るテクニカル分析、数か月以上では金利や景気を見るファンダメンタルズ分析が使われやすいとされています。指標発表の日などは、両方を見る必要があります。
Q. テクニカル分析に科学的根拠はありますか?
A. 「必ず当たる」という意味での根拠はありません。ただ、為替ディーラーの多くが参考にしているという調査があり、多くの人が同じ価格を見ること自体が値動きに影響しうる、という説明はあります。効くかどうかは、指標ごとに数えて確かめるしかありません。
まとめ:テクニカル分析は「当てる道具」より「確かめて使う道具」
- テクニカル分析は、過去の値動き(チャート)からこの先の傾向を考える方法。移動平均線・RSI・ボリンジャーバンド・ラインなどがある
- 「意味ない」と言われる理由は、ランダムウォーク理論・後付けの成功例・コストの3つ
- ドル円日足20年では、8つの有名なサインの16個の結果のうち、偶然の範囲を超えたのは1個だけ(RSI 30以下の5日後 67.2%)
- 28種類のサインを4つの期間で調べた104通りでも、偶然の範囲の外は6通りで、偶然で予想される約5通りとほぼ同じ
- それでも、多くの人が見る価格を知る・値動きの大きさを測る・損切りを決める道具としては使い道がある
テクニカル分析は「必ず勝てる方法」でも「まったく意味のない占い」でもありません。サインを信じる前に、件数と割合を確かめ、すべての日と比べる習慣をつけることが、テクニカル分析と上手に付き合う近道です。
※この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。出典:hiro-fx.com テクニカル条件付き確率DB(https://hiro-fx.com/tools-kx52/tech/stats.json・ドル円日足2006年10月〜2026年9月・1時間足2024年10月1日〜2026年10月1日、Yahoo Finance のデータから計算)、Mark P. Taylor・Helen Allen「The use of technical analysis in the foreign exchange market」(Journal of International Money and Finance、1992年)、バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』(内容は山崎元「テクニカル分析は有効なのか」楽天証券トウシル・2013年5月24日でも確認)。この記事は過去のデータとテクニカル分析の一般的な考え方の紹介で、投資の助言ではありません。取引の判断はご自身でお願いします。
hiroのFXデータベース 

テクニカル分析の「意義」
・人間の直感で買うより理性が働き、損しにくくなる
テクニカル分析の意味
・値動きの推移を元に、数学的な要素や過去に大儲けした人の経験則などを元に構成した傾向分析。実際にはプロと呼ばれてる人や、テクニカル分析で儲けたトレーダーの実績を分析しても、偶然以上の結果は出てないとされてる。
相場に勝つ分析方法って、昔からいっぱい出てるけど、そんなもん100%の必勝法なんか無いよ。お金の取り合いで勝つには、より多くの人に「欠陥のある、一見勝てそうな仕組みを信じ込ませる」こと、およびそれを利用した「本当のテクニック」を「バレずに使う」が正しいのでは?
そもそもの株式の仕組みを理解してたら、テクニカル分析を「信仰」して相場で儲けようとかは、あんま考えない気がする。でも、何もしないよりははるかにまし。
一番の問題は、テクニカル分析を声高に広めようとする声の大きい人達の人柄や、知識や、認知能力や、理解力に大きな問題があること。
コメントありがとうございます。
僕自身、相場はほとんどの場合でランダムウォークであると思いますし、ほとんどのテクニカル分析はあてにならないと思っています。
なのでおっしゃる通りテクニカル分析を「信仰しすぎる」のは良くないと思います。
しかし、だからといって100%テクニカル分析に意味が無いかと言うとそれも違うと思っています。
過去のバブル相場などはことごとく同じようなチャートの形をしていますし、ボラティリティクラスターという現象も過去の値動きが未来の相場の動きに影響を与える良い例です。
これらはサイコロをふるような完全なランダム相場では起こり得ない動きです。
そういった部分からテクニカル分析(過去の値動きの分析)には多少なり意味があると考えています。
ただ、おっしゃる通り「テクニカル分析を声高に広めようとする声の大きい人達の人柄や、知識や、認知能力や、理解力に大きな問題がある」というのは間違いないと思います。