FOMCとは?為替市場への影響をわかりやすく解説

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為替相場を動かす重要な経済指標の一つに「FOMC」というものがあります。FXを行っていくのであれば最低限FOMCについての理解を深めておくことは必須です。

今回はFOMCについて初心者の方でもわかりやすく解説していきたいと思います。

FOMCとは?

FOMCとは?

FOMCとはFederal Open Market Committeeの略で、日本語で連邦公開市場委員会という意味になります。読み方はエフオーエムシーと読みます。FOMCはアメリカの金融政策を決定する会合のことで、日本で言う日銀金融政策決定会合に当たるものです。

英語ですが、会見の様子はこんな感じです。

アメリカの政策金利の利上げや利下げの判断を行う非常に重要な会合で、全世界のマーケットに非常に大きな影響を与えます。会合の議事録は開催の3週間後に公開されますが、基本的にはFOMCの開催と同時に出される声明文によって市場が大きく反応をします。

これはFOMCで声明が発表された直後の米ドル/円チャートですが、このように大きく価格が動くことも珍しくありません。その為、FOMCが開催される時間は世界中の投資家達から注目が集まります。

FOMCの構成員

FOMCの構成員はアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)の理事7名と地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成されています。

5名の地区ごとの連邦準備銀行総裁のうち、1枠はニューヨーク連邦準備銀行総裁が投票権を持っています。残り4枠の投票権は1年ごとに対象となる地区が交代していきます。

2019年のFOMCボードメンバーは以下の通りです。

氏名 役職・地区 金融姿勢
パウエル FRB議長 ややタカ派
クォールズ FRB副議長 タカ派
クラリダ FRB副議長 中立
プレイナード FRB理事 ハト派
ボウマン FRB理事 ハト派
グッドフレンド FRB理事 タカ派
ウィリアムズ ニューヨーク連銀総裁 中立
ブラード セントルイス連銀総裁 中立
エバンス シカゴ連銀総裁 中立
ローゼングレン ボストン連銀総裁 タカ派
ジョージ カンザスシティ連銀総裁 タカ派

投票権を持つメンバーがタカ派優勢なのかハト派優勢なのかによってその時の政策シナリオも変化してきます。FOMCボードメンバーの構成から今後の動向を読み解いていくヒントが得られます。

タカ派ハト派とは?

タカ派=強硬派、金融引き締め派

ハト派=慎重派、金融緩和派

FOMCはいつ開催される?時間や日程は?

FOMCは基本的に年に8回開催されます。2019年のFOMC開催スケジュールは以下の通りです。

日本時間
1月 29日-30日 31日午前4時
2月
3月 19日-20日 21日午前3時
4月 30日-1日
5月 2日午前3時
6月 18日-19日 20日午前3時
7月 30日-31日
8月 1日午前3時
9月 17日-18日 19日午前3時
10月 29日-30日 31日午前3時
11月
12月 10日-11日 12日午前4時

基本的には6週間毎の火曜日 (2日間の場合は火・水) に開催されます。また、金融危機などの際は臨時で追加開催されることもあります。

この中でも特に重要なのが3の倍数月に開催されるFOMCで、3の倍数月のFOMCではFRB議長の記者会見が行われたり、SEPという具体的な経済予測データが発表される為マーケットへのインパクトも大きくなります。

具体的な発表時間は夏時間では日本時間午前3時頃、冬時間では日本時間午前4時頃となりますので、多くの日本人にとっては真夜中の時間帯になります。

FOMCが為替相場に与える影響

FOMCが為替相場に与える影響

FOMCでは主にアメリカの政策金利が発表されます。政策金利というのはこれから金利を上げるのか下げるのかといったことです。

金利の上げ下げは為替相場の動きに直結します。以下は政策金利と為替レートの相関関係が一目でわかるチャートです。

提供元:Bloomberg

このように政策金利と為替レートには強い相関関係があります。

投資家目線で見ると金利の高い通貨を保有している方が受け取れるスワップも多くなるので、できるだけ金利の高い通貨を保有したいと考えます。その為、政策金利によって金利が上げられると対象の通貨が買われることが多くなり、反対に金利が下げられると対象の通貨が売られることが多くなるのです。

上記のチャートを見るとわかりますが、政策金利の推移と為替レートの推移は非常に近い動きをしていますよね。

世界の基軸通貨でもある米ドルの政策金利発表というのは全世界の通貨に影響を与える為、FOMCは為替市場に非常に大きな影響を与えるのです。

米ドル/円の5分足チャート

このようにFOMCの発表時間には大きく為替レートが動くことも多いです。上記の例では発表時間の日本時間午前3時に急激に下落しています。

FOMCの発表時間は為替レートも乱高下しやすいので、心配な方は一度ポジションを手仕舞いしてリスクヘッジをすることも大切です。

予想と結果による為替相場への影響

FOMCの時期になると毎回政策金利の予想がされます。「上限金利予想2.50%、下限金利予想2.25%」などと事前に予想値が発表されます。

この事前予想と実際の結果に乖離があると市場へのインパクトも大きくなりやすいです。例えば2.50%予想だったのに対して結果が2.00%だったときは大きく市場が反応して為替レートが一気に動くこともあります。

基本的には上記で説明した通り、金利が上がっていれば米ドルは買われ、下がっていれば米ドルが売られるという展開になりやすいです。

先行きの政策シナリオによる為替相場への影響

また、今後の政策シナリオによっても為替相場へ大きな影響を与えます。

例えば「年内の想定利上げ回数」や「量的緩和の実施」などといった発表も為替相場に大きな影響を与えます。

当然ですが、これから金利を上げていく方針なのか下げていく方針なのかによって、実際の政策金利も概ね決まってきます。すなわち、今後の政策シナリオの発表は実際の政策金利にも直結してくる重要な発表なのです。

つまりFOMCでは「予想と実際の結果」と「今後の政策シナリオの方針」が為替市場に大きな影響を与えるということです。

FOMCを読み取るヒントになるドットプロップチャートとは?

FOMCを読み取るヒントになるドットプロップチャートとは?

FOMCでは3の倍数月にSEPという資料が公開されます。

SEPとは(Summary of Economic Projections)の略で FRBのエコノミスト達によって今後の経済、及び政策予測が書かれた資料のことです。投票権をもつ各メンバーの方針を予測し集計したりしています。

このSEPの中で公開されているドットプロットチャートは各メンバーの具体的な政策金利における予測をグラフで表示していて、FOMCを読み解く重要なヒントになります。

ドットプロップチャートとは以下のようなものです。

ドットプロップチャート

グラフの見方は簡単で、青い点が各メンバーの予測金利となります。

2019年は多くのメンバーが2.50%付近ですが、2020年予測は若干3.00%寄りになっているのがわかります。このドットプロップチャートから中長期的な今後の金利予測を立てていくこともできるわけです。

ドットプロップチャートはFRBのホームページで閲覧することができます。

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