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FXは一般的にゼロサムゲームであると言われています。
為替相場では誰かが得をしているということは必ず誰かが損をしているからです。
が、個人的には「視点によっては」FXは必ずしもゼロサムゲームではないと思っています。
なぜゼロサムゲームではないと思うのか?そのあたりの理由についてお話させて頂きます。
ゼロサムゲームとは?
ゼロサムゲームとは参加者全員の得点と失点の合計(サム)がゼロになるゲーム性のことです。
一方に利益がでるということは他方にとっては損失になっているという状態です。
FXは基本はFX会社を含めた相対取引ですので、誰かが売りに出した分を誰かが買うことで取引が成立します。つまり誰かが10万円分売りに出しているから、誰かが10万円分買えますし、誰かが100万円分買いたいと言っているから、誰かが100万円分売れるわけです。
その為、ゼロサムゲームになると考えるのはいたって普通ではあります。
ゼロサムゲームの定義
ゼロサムゲームの定義として重要なのが「パイが決まっている中で参加者全体の利益と損失の合計がゼロになる」というところです。

ある投資家が100万の利益を出したのであれば、他の誰かが100万円分の損失を出していなければゼロサムゲームとは言えません。
ある投資家が100万円の利益を出しているのに、他の誰かが10万円の損失しかだしていないという状態では計算が合わず、90万円がどこからでてきたのか説明がつきませんよね。
要するにゼロサムゲームでは「利益の奪い合い」をしているわけですね。
上記の例で言えば、決められた100万円というパイの中で参加者達がその100万円を奪い合う形になるわけです。
その為、FXは投資としても難しいと言われたりもするわけです。
株式投資は
ゼロサムゲームではない?
話は一旦それますが、一般的に株式市場はゼロサムゲームではないと言われることが多いです。
その理由として株式市場は時価総額が増えた分だけパイも増える為、全員が利益を得られることもあるからです。
景気が良くなると日経平均も上がり、ほとんどの会社の株も上がるため、参加者の多くが利益を出せるわけです。
参加者同士で利益を奪い合うのではなく、パイ自体が増えていくのでゼロサムゲームではないと言っているわけですね。
確かにパイが増えていくのであれば、ゼロサムゲームの定義とは違ってきますので、株式投資はゼロサムゲームではないという考え方もわかります。
FXはパイが決まっているのか?
さて、ここからが重要です。
「FXは参加者同士で決められたパイの中で利益を奪い合っているからゼロサムゲームだ」
「株式投資は市場全体が成長してパイが広がるからゼロサムゲームではない」
という考え方が一般的ですが、果たして本当にそうでしょうか?
FXは本当にパイが決まっているのでしょうか?
視点によってはパイは決まっていないとも言えるのではないかと思う理由をお話ししていきます。
外国為替市場は政府や中央銀行が「介入」できる
まず大前提として、外国為替市場というものは政府や中央銀行などの通貨当局が介入をして為替レートに影響を与えることができます。
このように政府や中央銀行が相場に影響を与えるために通貨を売買することを、為替介入と言います。
為替介入とは?
引用元:日本銀行「為替介入(外国為替市場介入)とは何ですか?」
為替介入(外国為替市場介入)は、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。
わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされています。日本銀行は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。
為替介入とはつまりどうゆうことかと言うと、急激な円安が起きた時には国のお金で大量に円を買って急激な円安を防いだりするということです。
これは何を意味するかというと、それだけ大量の国のお金が為替市場に流れ込むということです。
つまり、それだけ為替市場のパイも大きくなるということです。
そうなるとこのような構図になる可能性もあります。

投資家全員が国のお金で得をする可能性もあるわけです。
ただ、これでも「結局国が400万円損をしているからゼロサムゲームなのでは?」と思うかもしれません。
ここで重要になるのがこの400万円の出所です。
この400万円は結局国のお金です。
あくまで考え方として簡単に理論だけ説明すると、国が自分達の国の通貨の価値を保つ為の投資金額として為替介入をし、そしてその国そのものが経済成長をしてその国の時価総額が上がれば結局はプラスになり、パイが広がるということになるのです。
国そのものが経済成長する→為替介入できる金額も増える→為替市場のパイも広がる
という考え方です。
為替市場は1日650兆円以上の取引高
それに、為替市場は国際決済銀行が公表している統計によると2016年4月時点で1日あたり約5.1兆ドル(当時のレートで約550兆円)の取引高がありました。2025年4月の調査では1日平均9.6兆ドル(1ドル150円で約1,440兆円)に増えています。
日本の株式市場の取引高は1日平均で3.4兆円ですので、規模の違いがわかると思います。
まぁ為替は世界規模なのに対して日本の中だけの株式市場を比較するのはナンセンスではあるのですが、それでも世界中の国が現在進行形で介入をし続けていますので、市場規模自体は非常に大きいのがわかります。
そしてその市場規模の推移を確認すればパイが一定ではないこともわかります。
| 2010年 | 2013年 | 2016年 | |
| 1日あたりの取引高 | 5兆430億ドル | 6兆6839億ドル | 6兆5455億ドル |
これは為替市場の1日あたりの平均取引高の推移です。
2010年から2016年までで市場規模は1兆5000億ドル以上の拡大をしています。
市場規模そのものが拡大しているのがデータからもわかります。
FXもパイが広がっている
株式市場は各会社の時価総額が上がることによってパイが広がり投資家全員が利益を得られる可能性があるのでゼロサムゲームではないということであれば、FXも国そのものの経済成長がそのまま為替市場の拡大になりパイが広がることからゼロサムゲームではないと考えることもできます。
いずれにせよゼロサムゲームの定義である「パイが決まっている中で参加者全体の利益と損失の合計がゼロになる」というところとは若干異なってくるのではないかと思います。
FXは金融商品取引法上のデリバティブ取引で、登録を受けた会社が扱う金融商品の取引です。競馬や宝くじとは別の法律で決められていて、仕組みも違います。ただ、仕組みを知らずに大きな数量で取引すると、結果はギャンブルに近くなります。
| 項目 | 競馬(JRA) | 宝くじ | FX |
|---|---|---|---|
| 決めている法律 | 競馬法 | 当せん金付証票法 | 金融商品取引法 |
| 払い戻されない分 | 売上の20〜30%(払戻率70〜80%) | 売上の5割以上(当せん金は5割まで) | 決まった割合はない。主なコストはスプレッド |
| 途中でやめる | できない | できない | 平日はほぼいつでも決済できる |
| 損の大きさ | 買った額まで | 買った額まで | 急変時は証拠金を超えることもある |
※JRA「勝馬投票法ごとの払戻率について」(2014年6月7日以降の設定)、当せん金付証票法第5条、金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」をもとに hiro-fx.com 作成。
競馬や宝くじは、売上のうち決まった割合が、最初から払い戻されない仕組みです。JRAの払戻率は券種ごとに70〜80%で、宝くじの当せん金は法律で発売総額の5割までと決められています。買った人全体で見ると、平均して2割から5割以上が戻りません。
FXには、このような決まった割合はありません。損益は為替レートの動きで決まり、主なコストは売値と買値の差(スプレッド)です。一方で、レバレッジをかけると小さな値動きでも損益が大きくなります。金融庁も、相場が急に動いたときは証拠金の額を上回る損失が生じることがあると注意しています。
実際の成績もばらつきます。金融先物取引業協会の統計では、国内の店頭FXで四半期のあいだに預託金が増えた口座は、2015年度からの45四半期の平均で44.8%でした。最も高い四半期は60.8%、最も低い四半期は24.2%です(FXトレーダー・データベース、2026年10月12日更新)。
FXがギャンブルのようになるのは、資金に比べて大きすぎる数量で取引したり、損切りをせずに負けを取り返そうとしたりするときです。取引の前に数量と損切りの位置を決めておけるかどうかが、両者を分ける境目になります。
FXは市場参加者が完全に投資家だけで、その投資家間での相対取引を行っているのであればゼロサムゲームになると思います。
しかし実際には
- 世界各国の銀行
- 中央銀行
- 外貨ブローカー
- 機関投資家
- ヘッジファンド
- 公的金融機関
など様々な参加者がいて、そしてそれぞれにお金の流れがあり、様々な思惑で市場にお金を投入し、市場規模を拡大させている以上、必ずしも単純なゼロサムゲームの定義に当てはまらないのではないかと思います。
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