FXの信託保全とは?FX業者が破綻したらお金は戻るのか【2026年】

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こんな疑問を持つ方へ
  • FXの信託保全とは何?どんな仕組み?
  • FX会社が破綻したら、預けたお金や含み益は戻ってくる?
  • 自分が使っているFX会社の信託先はどこ?本当に信託されている?
  • 海外FXの業者でも信託保全で守られる?

信託保全とは、FX会社がお客さまから預かった証拠金を、自社の財産と分けて信託銀行などに預けておく仕組みです。国内で登録を受けたFX会社には法令で義務づけられています。会社が破綻しても、信託されたお金は弁護士などの受益者代理人を通じてお客さまに返されます。

この記事では、制度ができた経緯と実際の破綻例を金融庁の公表資料で確かめました。国内主要7社の信託先は各社の公式サイトで確認しています(2026年10月2日時点)。業界全体で本当に信託されているのかは、金融先物取引業協会の統計を hiro-fx.com が集計したデータで示します。

信託保全とは?FX会社が証拠金を信託銀行に分けて預ける仕組み

図1 信託保全のしくみ(ふだん と FX会社が破綻したとき) 証拠金は FX会社の財産と分けて、信託銀行などに預けられている ① 入金 お客さまが FX会社に入金 → ② 信託 FX会社が毎日計算し 信託銀行などに預ける → ③ 破綻したら 弁護士などの 受益者代理人が受け取る → ④ 返還 お客さまの口座の額に 応じて返す

図: 信託保全のしくみ。ふだんはFX会社が毎日計算して信託し、破綻したときは受益者代理人がお客さまに返す(各社の信託保全ページをもとに作成)

FXでは、お客さまが入金したお金(証拠金)をFX会社がいったん預かります。もしFX会社がこのお金を自社の運転資金と混ぜていると、会社が倒産したときに他の借金の返済に回され、戻ってこないおそれがあります。

そこで国内のFX会社は、預かった証拠金を信託銀行や信託会社への金銭信託で、自社の財産と分けて管理しなければなりません。根拠は「金融商品取引業等に関する内閣府令」の第143条です。金融庁も、FXの注意点の説明で「信託銀行等への金銭信託により…区分して管理することが求められています」と書いています。

信託される金額は「証拠金+含み損益+スワップ」

信託しなければならない金額(区分管理必要額)は、入金した証拠金だけではありません。金融先物取引業協会によると、持っているポジションの評価損益やスワップポイントの損益も合計した額です。FX会社はこの額を毎日計算し、足りなければ2日以内に信託を追加します。

たとえば証拠金100万円で、含み益が20万円あれば、120万円が信託の対象です。反対に含み損が30万円なら、対象は70万円になります。

くりっく365(取引所FX)と投資者保護基金

東京金融取引所の「くりっく365」のような取引所FXでは、証拠金はFX会社ではなく取引所に預けられます。また、株などの証券会社の破綻に備える日本投資者保護基金は、店頭FXの証拠金を補償の対象にしていません(GMOクリック証券の説明)。店頭FXのお金を守るのは信託保全の仕組みです。

あわせて読みたい:FXの証拠金とは?必要証拠金・有効証拠金・証拠金維持率の違いと計算

FX業者が破綻したらどうなる?お金が戻る流れと戻らない場合

図2 こんなとき、預けたお金はどうなる? 国内の登録業者(店頭FX)の場合。各社の信託保全ページと金融庁・協会の説明をもとに整理 場面 どうなる 注意点 FX会社が破綻した 信託された分は受益者代理人を通じて返る 計算日と信託日のずれで全額とは限らない 信託先の銀行が破綻した 信託財産は銀行の財産と分けて扱われる 銀行預金のペイオフとは別の仕組み 含み益・スワップがあった 評価損益・スワップも信託の対象 破綻時はポジションを清算した額が基準 損失が出た 守られない(元本保証ではない) 証拠金以上の損失が出ることもある 海外の無登録業者だった 日本の信託保全の義務はない 出金できないトラブルの例がある 出典:金融先物取引業協会、DMM.com証券・GMOクリック証券・外為どっとコムの信託保全ページ、金融庁(2026年10月2日確認)

図: 場面ごとの信託保全の扱い(国内の登録業者・店頭FX)

FX会社が破綻すると、お客さまのポジションは清算され、その時点の口座の額に応じて、信託財産から返還されます。手続きをするのは受益者代理人で、今回確認した会社の多くは社外の弁護士を選んでいます。お客さまが信託銀行に直接「返して」と請求することはできません。

ただし、全額が戻るとは限りません。GMOクリック証券は、信託額の計算が毎営業日1回で、信託口座への入金に2銀行営業日かかると説明しています。そのため「破綻時点におけるお客様の資産の全額が返還されるとは限らない」としています。返還にかかる弁護士費用などが差し引かれることもあり、外為どっとコムやOANDA証券はその費用を別に信託内に積み立てています。

信託先の銀行が破綻したら?

信託されたお金は、信託銀行自身の財産とは分けて扱われます。DMM.com証券は、信託先が破綻した場合も「信託法により信託先銀行固有の財産から切り離して取扱われる」と説明しています。

銀行預金のペイオフ(預金保険)は、1つの銀行につき1人あたり元本1,000万円とその利息までが保護の範囲で、外貨預金は対象外です。FXの信託保全はこれとは別の仕組みで、1,000万円という上限はありません。ただし守られるのは「信託された額」で、相場で出た損失は守られません。

あわせて読みたい:FXで借金になるのはなぜ?ロスカットがあっても起きる仕組みと防ぎ方

返ってくるまでの期間

返還にどのくらいかかるかは、各社とも「多少のお時間を要する」としていて、日数は示していません。破綻したときは、すぐに出金できるわけではないと考えておきましょう。

実際にFX業者が破綻・登録取消になった例

図3 FX業者の破綻・処分と、信託保全が義務になるまで 金融庁・証券取引等監視委員会の公表資料から hiro-fx.com が作成 時期 できごと 2007年12月 日本ファースト証券に業務停止6か月(区分管理違反・自己資本規制比率100%未満) 2007年12月 国泰キャピタル:顧客の証拠金を社長の友人への貸付けに流用(監視委が勧告) 2008年3月 日本ファースト証券の登録取消し。金融庁長官が破産手続開始を申し立て 2008年7月 監視委:73社を検査し7社に処分を勧告。証拠金が費消された例も 2009年4月 監視委の建議:破綻して顧客に損害が出た例→金銭信託に限るべき 2009年8月 改正内閣府令を施行:区分管理を金銭信託に一本化(既存業者は6か月猶予) 2010年2月 既存のFX業者にも信託保全の義務が全面適用 出典:金融庁(2008年3月19日・2009年4月28日・2009年7月3日)、証券取引等監視委員会(2007年12月18日・2008年7月2日・2009年4月24日)

図: 2007年〜2010年のFX業者の破綻・処分と、信託保全の義務化(金融庁・証券取引等監視委員会の公表資料から作成)

信託保全が義務になったきっかけは、2007〜2008年に相次いだFX業者の破綻と不正です。当時は、証拠金を銀行預金や、取引の相手先(カバー取引先)に預ける方法でも区分管理と認められていました。

金融庁によると、日本ファースト証券は2007年12月3日に6か月の業務停止を命じられました。理由は、顧客の証拠金の区分管理違反と、自己資本規制比率の100%割れです。改善できず、2008年3月19日に登録を取り消され、金融庁長官が裁判所に破産手続開始を申し立てています。

証券取引等監視委員会は2008年7月、FXを扱う73社を検査して7社に行政処分を勧告したと公表しました。預かった証拠金が業者に「費消されている」状況も見つかっています。社長の友人への貸付けに証拠金を流用していた例(国泰キャピタル)もありました。

2009年4月には、自己勘定の取引で損失を広げて破綻し、顧客に損害を出した例があったとして、監視委が「金銭信託に限る」ことを建議しました。これを受けて改正内閣府令が2009年8月1日に施行されました。既存の業者にも6か月の経過措置のあと適用され、2010年2月から信託保全が全面的に義務になりました。

国内主要FX会社の信託先一覧(2026年10月2日確認)

FX会社(サービス)信託先特徴(公式サイトの記載)
DMM.com証券(DMM FX)日証金信託銀行、SMBC信託銀行、SBIクリアリング信託毎営業日の終了時に評価損益・スワップを含めて計算
GMOクリック証券(FXネオ)三井住友銀行、三井住友信託銀行、日証金信託銀行毎営業日計算し、2銀行営業日後に信託
外為どっとコム三井住友銀行、みずほ信託銀行、あおぞら銀行、SBIクリアリング信託、三井住友信託銀行返還費用を別に信託内に積立
みんなのFX(トレイダーズ証券)三菱UFJ信託銀行、SBIクリアリング信託、三井住友銀行、日証金信託銀行サービス概要に信託先を掲載
ヒロセ通商(LION FX)三井住友銀行毎営業日計算し、2営業日後に信託
SBI FXトレードSBIクリアリング信託、三井住友銀行入金を直接信託する「即時信託保全」(2017年12月〜)
OANDA証券三井住友銀行、SBIクリアリング信託、日証金信託銀行返還費用を別に信託内に積立

※2026年10月2日に各社の公式サイト(信託保全・サービス概要のページ)で確認。信託先は変わることがあります。掲載の順番は会社名の並びで、優劣ではありません。

7社とも、信託先は1〜5の銀行・信託会社でした。三井住友銀行・日証金信託銀行・SBIクリアリング信託など、複数の会社で同じ信託先が使われています。多くの会社は、毎営業日の終わりに信託額を計算し、2営業日ほどで信託します。

SBI FXトレードは2017年12月から、入金したお金がFX会社を通らずに信託会社へ直接入る「即時信託保全」を取り入れています。入金から信託までの時間差をなくす工夫で、ほかの会社との違いを見るときの目安になります。

「完全信託保全」「一部信託保全」はもう気にしなくてよい?

2010年2月より前は、証拠金を銀行預金やカバー取引先への預託で管理する業者もあり、信託するかどうかは業者しだいでした。現行のルールでは、国内の登録業者は信託すべき額を金銭信託で管理する義務があります。見るべきなのは「全額かどうか」より、評価損益やスワップを含むか、何営業日後に信託されるかといった運用の違いです。

【データ】国内の店頭FXでは約2兆円が信託されている

図4 店頭FXで信託されているお金の推移(毎月末) 2015年4月〜2026年8月。信託すべき額(区分管理必要額)と、実際に信託された額 1兆 1.25兆 1.5兆 1.75兆 2兆 2016年 2018年 2020年 2022年 2024年 2026年 信託額 1兆9,859億円 必要額 1兆9,207億円 信託すべき額(区分管理必要額) 実際に信託された額 出典:金融先物取引業協会「預託額情報」(会員の店頭FX・137か月)を hiro-fx.com FXトレーダー・データベースが集計

図: 店頭FXの信託すべき額と、実際に信託された額の推移(2015年4月〜2026年8月・毎月末)。金融先物取引業協会の統計を hiro-fx.com が集計

金融先物取引業協会の統計では、2026年8月末に会員のFX会社が信託すべき額(区分管理必要額)は1兆9,207億円でした。実際に信託されていた額は1兆9,859億円です。信託すべき額に対する割合(信託保全率)は103.39%で、約652億円多く信託されていたことになります。

統計がある2015年4月からの137か月で、信託保全率が100%を下回ったのは2016年1月(98.64%)の1回だけでした。真ん中の値は103.9%です。協会は、計算日と信託を追加する日がずれるため、きちんと信託していても100%を下回る月があると説明しています。

信託すべき額は2015年4月末の1兆2,870億円から約1.5倍に増えました。同じ協会の四半期統計では、2026年6月末の店頭FXの口座数は約1,243万口座、預り証拠金は2兆648億円です。取引所FXのくりっく365にも、2026年8月末で5,740億円の証拠金が預けられています。

FXの口座数や、資金が増えた口座の割合などは、当サイトのFXトレーダー・データベースで毎週更新しています。

海外FXは信託保全の対象?無登録業者は日本の義務の外

図5 国内の登録業者と海外の無登録業者の違い 日本に住む人を相手にFXを提供するには、海外の業者でも金融庁の登録が必要 国内の登録業者 海外の無登録業者 金融庁の登録 あり(登録番号を公開) なし 証拠金の信託保全 法令で義務(金銭信託) 日本の法令の義務はない レバレッジ 個人は最大25倍 日本の規制の外 金融庁・監視委の監督 受ける 受けない(警告の対象) トラブルの相談先 FINMAC(あっせん)など 日本の業界団体の仕組みの外 出典:金融庁「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」「いわゆる外国為替証拠金取引について」、金融先物取引業協会(2026年10月2日確認)

図: 国内の登録業者と海外の無登録業者の違い(金融庁の注意喚起などをもとに作成)

信託保全の義務は、日本で金融商品取引業の登録を受けた業者に対するものです。金融庁の登録を受けていない海外の業者には、日本の法令による信託保全の義務がありません。海外業者のサイトに「信託保全」「分別管理」と書かれていても、日本の内閣府令にもとづく信託とは別のものです。

金融庁は、海外の業者でも日本に住む人を相手にFXを提供するには登録が必要で、無登録の営業は違法だと注意を呼びかけています。注意喚起のページには、海外業者とのFX取引の例として「利益が出ているのに出金に応じてもらえず、そのうち業者と連絡が取れなくなった」が挙げられています。

金融庁は、警告書を出した無登録の海外業者の名前を公表しています(2026年9月25日更新)。口座を開く前に、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で登録の有無を確かめるのが確実です。

安全なFX会社を選ぶには?信託保全で確認したいポイント

図6 FX会社の「お金の安全性」を確かめるチェックリスト 口座を開く前・大きな金額を入れる前に見ておきたいこと ✓ 金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に載っている ✓ 信託先の銀行・信託会社の名前を公式サイトで確認した ✓ 評価損益・スワップも信託の対象か、何営業日後に信託されるかを確認した ✓ 自己資本規制比率など、会社の財務の開示を見た ✓ 「元本保証ではない」こと(相場の損失は守られない)を理解している ✓ 海外の無登録業者・SNSで勧誘された業者には入金しない

図: 信託保全と会社の安全性を確かめるときのチェックリスト(hiro-fx.com 作成)

国内の登録業者なら、信託保全があること自体はどこも同じです。違いが出るのは、信託先、信託までの日数、評価損益やスワップを含むか、返還費用の準備といった運用の部分です。各社の「信託保全」のページに書かれているので、口座を開く前に一度読んでおきましょう。

もう1つの目安が自己資本規制比率で、FX会社の財務の余裕を表します。監視委が2008年に処分を勧告した業者には、この比率が120%を下回っていた例がありました。各社は比率を公式サイトなどで開示しているので、極端に低くないかを見ておくと安心です。

信託保全は、会社が破綻したときにお金を守る仕組みで、相場の損失を守るものではありません。FX会社がどうやって利益を出しているかを知っておくと、会社選びの見方も広がります。

あわせて読みたい:DD方式とNDD方式の違いとは?FX業者の仕組みとメリット・デメリット

よくある質問

Q. 信託保全があれば、FXで損をしても守られますか?

A. 守られません。信託保全はFX会社が破綻したときに預けたお金を返す仕組みで、元本保証ではありません。相場で出た損失はお客さまの負担で、急な値動きでは証拠金以上の損失が出ることもあります。

Q. FX会社が破綻したとき、ポジションはどうなりますか?

A. 清算され、その時点の評価損益を反映した口座の額をもとに返還額が決まります(外為どっとコム・OANDA証券などの説明)。含み益も返還額の計算に含まれます。

Q. 信託保全とペイオフ(預金保険)はどう違いますか?

A. ペイオフは銀行が破綻したときに預金を元本1,000万円とその利息まで守る制度です。FXの信託保全は、FX会社が預かったお金を信託銀行などに分けて預ける仕組みで、金額の上限はありません。

Q. 信託されているか、自分で確かめられますか?

A. 個人の口座ごとの信託額は見られませんが、各社は信託先や計算方法を公式サイトで公開しています。業界全体の信託額と信託保全率は金融先物取引業協会が毎月公表しています。

Q. 海外FXの業者で「信託保全あり」と書かれていれば安全ですか?

A. 日本で登録を受けていない業者なら、日本の法令にもとづく信託保全ではありません。金融庁の登録業者一覧に名前があるかを先に確かめてください。

まとめ:信託保全は「破綻したときに預けたお金を返す」仕組み

  • 信託保全は、FX会社が預かった証拠金を自社の財産と分けて信託銀行などに預ける仕組み
  • 国内の登録業者には2010年2月から全面義務化。証拠金に評価損益・スワップを加えた額が対象
  • 破綻したら受益者代理人(弁護士など)を通じて返還。信託までの時間差などで全額とは限らない
  • 店頭FX全体では2026年8月末に1兆9,859億円が信託され、信託保全率は103.4%
  • 海外の無登録業者は日本の信託保全の義務の外。相場の損失は信託保全でも守られない

FXの口座数や預り証拠金の推移はFXトレーダー・データベースで確認できます。証拠金とロスカットの関係は証拠金の解説記事で詳しく説明しています。

※この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。出典:金融庁「『金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの結果等について」(2009年7月3日)、同「規制の事前評価書」(2009年4月28日)、同「日本ファースト証券株式会社に対する行政処分等について」(2008年3月19日)、同「外国為替証拠金取引業者に対する一斉点検の結果について」(2007年12月7日)、同「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」「いわゆる外国為替証拠金取引について」、証券取引等監視委員会(2007年12月18日・2008年7月2日・2009年4月24日)、金融先物取引業協会「顧客区分管理必要額関連情報(預託額情報)」とその解説、DMM.com証券・GMOクリック証券・外為どっとコム・トレイダーズ証券(みんなのFX)・ヒロセ通商・SBI FXトレード・OANDA証券の各公式サイト、三菱UFJ銀行「預金保険制度」。この記事は制度の解説で、特定のFX会社をすすめるものではなく、投資の助言でもありません。取引の判断はご自身でお願いします。

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