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FXで大きなお金を運用するつもりなら「信託保全」についてもしっかりと理解しておくことが大切です。
今回は信託保全についてわかりやすく解説していきます。
信託保全とは?
信託保全とは顧客が口座へ入金したお金をFX業者とは別の信託銀行等が管理し保全する仕組みのことです。
FXでは金融商品取引法に基づいて「証拠金をFX業者の固有財産とは区分して管理すること」が義務付けられているので信託保全という仕組みを採用しています。
信託保全という仕組みがあることで、もしFX業者が破綻をした場合でも口座に入れていた資金を信託銀行から返却してもらうことができます。
つまり、信託保全の仕組みは以下のようになります。
トレーダーがFX業者の口座に入金をするとそのお金は信託銀行に信託されます。
そしてトレーダーが出金をする際には信託銀行からFX業者の口座へ返却され、そしてFX業者からトレーダーの口座へ出金されます。
通常時はこのような流れなのですが、ここで万が一FX業者が破綻してしまった場合は以下のようになります。
信託銀行がお金を管理しているので、万が一FX業者が破綻した場合でも、信託銀行から外部弁護士を通じてトレーダーへ資金が返還されるようになっています。
このように、信託保全という仕組みは顧客の資産を守るための大切な制度です。
もし信託銀行が破綻をしたらどうなる?
FX業者が破綻した場合は信託銀行から顧客へ資金が返却されますが、もし信託銀行が破綻をした場合はどうなるのでしょうか?
この場合も信託法によって顧客の資金は守られます。
信託銀行は信託法によってFX業者から託されている顧客の証拠金は固有の資産と分別して管理しなければならないことが義務付けられています。
ですので、万が一信託銀行が破綻した場合でも顧客の資金は守られるということになります。
また、銀行が破綻をするということは通常であれば「ペイオフ」の対象になることを想像する方もいるかもしれません。
銀行が破綻した際に預金者のお金を1000万円まで保証してくれる制度
通常の銀行預金として仮に1憶円を預けていた場合は、ペイオフによって1,000万円までしか戻ってきません。
しかしFXの場合は通常の銀行預金とは異なり、金額に上限はなく信託保全によって全額保護されます。
銀行が破綻した場合 | |
通常の銀行預金 | ペイオフによって上限1,000万円まで保全 |
外貨預金 | 保全対象外 |
FX | 信託保全によって全額保全 |
1,000万円という上限がないので、ある意味で通常預金よりも信託保全によって守られるFXの方が安全とも言えます。
含み損益がある状態でFX業者が破綻したらどうなる?
仮に1,000万円を口座に入金していたとして、1,000万円の含み益がある状態でFX業者が破綻したらどうなるのでしょうか?
この場合も基本的に信託保全は適用されます。
FX業者にもよりますが、基本的にはFX業者が破綻をしたら原則として顧客の全てのポジションが一度決済されます。
つまり1,000万円の含み益がある状態で決済されますので、証拠金の残額は2,000万円になり、この2,000万円に対して信託保全が適用されます。
基本的な考え方は上記の通りなのですが、正確には「決済後の証拠金残額」と「その時点での信託保全額」が一致しないこともあり、多少の誤差が生じる可能性はあります。
海外のFX業者を使う場合はどうなるの?
海外のFX業者の場合は国内のFX業者と違い信託保全の導入が義務化されていません。
つまり海外のFX業者の場合は、信託保全を導入している業者もあれば、導入していない業者もあるということです。
海外のFX業者を使う際には信託保全の有無をチェックすることが大切となります。
安全なFX業者を選ぶコツ
ひとえに信託保全と言っても、FX業者によって細かい部分が異なります。
FX業者ごとにどんな所が違い、そしてどんなFX業者を選べばいいのかを紹介していきます。
信託先の銀行はどこか
FX業者によって信託先の銀行が異なります。
FX業者 | 信託先銀行 |
DMM FX | 日証金信託銀行株式会社、株式会社SMBC信託銀行、FXクリアリング信託株式会社 |
外為オンライン | 三井住友銀行、みずほ信託銀行 |
FXプライムbyGMO | みずほ信託銀行 |
アイネットFX | 日証金信託銀行 |
上記のFX業者は一例ですが、FX業者によって信託先銀行はこれだけ異なります。
判断基準としては、信託先となっている銀行自体の信頼度が高ければ高いほど、資産の安全性も高くなるといえます。
銀行の信頼度に関してはJRCの銀行格付けなどが参考になるかと思います。
保有中のポジションに生じている損益やスワップが保全に含まれるか
FX業者が破綻した場合、その時に保有しているポジションの損益やスワップ分が保全に含まれるかどうかも一つのポイントです。
仮にかなり多くの含み益を抱えていた状態だったのに、その含み益分は保証されないとなると結構痛いですよね。
信託保全の対象となる金額が保有中の損益やスワップも含まれるかどうかも確認しましょう。
信託内資産が保全すべき金額を上回っている状態を維持しているか
最近では「信託保全+α」などと表記しているFX業者もありますが、中には顧客へ保全すべき金額を上回った状態で資金を維持することを約束しているFX業者もあります。
できればそういった信託保全+αの資金を維持してくれているFX業者を選びましょう。
完全信託保全か
2010年2月1日以降、国内のFX業者は全て完全信託保全が義務付けられました。
これによって今では国内のFX業者であれば全て完全信託保全になっているはずです。
それ以前は「一部信託保全」やそもそも「信託保全なし」なんていう業者もありました。
今は「完全信託保全か一部信託保全か」みたいなことを気にする必要はありませんが、大金を運用する際は一応確認しておいてもいいと思います。
自己資本規制率は高いか
信託保全は、万が一FX業者が破綻しても口座に入金してある資金を守ってくれる制度なわけですが、それでもその「万が一」が起こらないことがベストではありますよね。
なので、なるべく破綻しにくいであろうFX業者を選ぶのも一つのリスクヘッジと言えます。
なるべく破綻しにくいであろうFX業者を見極めるひとつの目安としてその会社の「自己資本規制率」などが参考になります。
この自己資本規制率が高ければ高いほど破綻しにくいと言えるからです。
金融商品取引法では以下のように定められています。
自己資本規制比率 | 金融商品取引法等 |
140%を下回ったとき | 金融庁に届出を要する |
120%を下回ったとき | 金融庁は、業務の方法の変更を命じ、財産の供託その他監督上必要な事項を命ずることができる。 |
100%を下回ったとき | 金融庁は、3月以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。 |
つまり、自己資本規制率が低い業者の場合はこのような規制に引っ掛かる可能性が高くなってしまうということです。
ほとんどのFX業者は自己資本規制率情報を開示しています。
FX業者 | 自己資本規制比率 |
DMM FX | 867.2 |
外為オンライン | 704.1 |
FXプライムbyGMO | 676.8 |
アイネットFX | 1024.5 |
自己資本規制比率が高ければ高いほど破綻リスクも低いと言えます。
ただし、この数値は常に変動しますので必ずFX業者のサイトから最新の情報を確認するようにして下さい。