国内FX業者はノミ行為をしてるのか?金融先物取引業協会の調査で明らかに

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個人がFXトレードをする為には当然ですがFX業者を利用する必要があります。

そんなFX業者ですが顧客の注文処理についてはかなりブラックボックスな部分が多く、顧客の注文はFX業者内でどのように処理されているのかわかりません。

その為「国内FX業者のほとんどはノミ行為を行っている悪徳業者ばかりだ!」…なんていう話はよく聞きます。

しかし、実際のところはどうなのでしょうか?国内のFX業者は呑み行為を行っているのでしょうか?

今回は信憑性の高い「金融先物取引業協会の調査データ」を参照しながら、FX業者のノミ行為について詳しく解説していきます。

「ノミ行為」とは何か?

「ノミ行為」とは何か?

そもそもノミ行為とは一体何なのかと言うと、顧客からの注文をインターバンク市場に取り次がず、FX業者内で処理をすることです。

「ノミ」の由来

所説ありますが、もともとは証券業界の俗語である「呑み行為」が由来となっている説が有力です。
「呑む」というのは自分の懐に入れるという意味があります。

これだけだと少しわかりづらいと思うので、「競馬の馬券を買う」というシーンを例にして呑み行為を説明したいと思います。

顧客が業者に「1番の馬券を1万円分買ってくれ」と頼みます。

業者は顧客から馬券を購入する為の1万円を受け取り、顧客と業者間の取引が成立します。

しかしこの業者は実際には馬券は買わずに、顧客から馬券購入分として預かっていた1万円をポケットに入れます。

結局レース結果は1番はハズレで顧客は1万円の損失となったとします。

顧客側からすれば単純に1番の馬券を買ってハズレただけですが、業者側からすれば本来顧客が馬券を買う分であった1万円が利益になります。

つまり、顧客の注文を実際には取り次がずに業者内で処理をしたということになります。

これが「ノミ行為」です。

このようなノミ行為の場合、この例のように顧客の予想が外れた分が全て業者の利益になります。

しかし、中には実際に顧客の予想が当たることもあり、当たった場合は当然それ相応の配当を顧客にバックする必要があります。となると、仮に顧客のほとんどの予想が的中してしまうと業者は顧客にバックできなくなってしまいます。

つまりこのようなノミ行為というのは「顧客の予想はほとんどの場合で外れる」ということが前提となって成り立っています。

FXの場合も構造は同じで、顧客の注文をインターバンク市場へ取り次がずに業者内で処理をすることができるわけです。

だから顧客が負けた分がFX業者の利益になると言われているわけです。

日本国内のFX業者はノミ行為をしているのか?

日本国内のFX業者はノミ行為をしているのか?


では、実際に日本国内のFX業者がノミ行為を行っているのかどうかを、2020年に金融先物取引業協会が店頭FX業者に対して行った調査結果をもとにお話ししていきたいと思います。

この調査結果からFX業者がどの程度「カバー取引を行っているか」や「マリー取引を行っているか」ということがわかります。

カバー取引とは

カバー取引とはFX業者が顧客の注文と同じ注文をインターバンク市場へ発注する取引のことです。いわゆるノミ行為ではなく、しっかりと顧客の注文をインターバンク市場へ取り次いでいる状態です。

マリー取引とは

顧客の注文をインターバンク市場へ取り次がずに、FX業者が自社内で顧客同士の注文を結びつける(マリーさせる)ことによって持高を相殺することです。FX業者内で顧客の注文を処理する為、これがいわゆるノミ行為に該当すると言えるかと思います。

つまり、マリー取引をノミ行為とするのであれば、内部でマリー取引をしているFX業者がどの程度あるのかを把握することで、ノミ行為をしているFX業者がわかるということです。

内部でマリー取引をしているFX業者

マリー取引をしているFX業者マリー取引をしていないFX業者
非ホワイトラベル業者ホワイトラベル業者非ホワイトラベル業者ホワイトラベル業者
27社2社10社20社
合計29社合計30社

調査に回答をした国内の59のFX業者のうち、マリー取引をしているFX業者は29社、マリー取引をしていないFX業者は30社と大体半分ずつに分かれる結果となりました。

つまり、約半分のFX業者はノミ行為をしているということになります。
逆に言うと、約半分のFX業者はノミ行為をしていないので「FX業者のほとんどはノミ行為をしている」というのはやや過剰表現と言えるかもしれません。

また、ホワイトラベル業者ほど、マリー取引をしていない傾向があるのもわかりました。
ホワイトラベル業者だけで見ると、マリー取引をしているのは2社、マリー取引をしていないのは20社となっています。

ホワイトラベル業者とは

親となるFX業者から取引システムを借りて、独自のブランドとして運営しているFX業者のこと。ホワイトラベル業者は親となるFX業者にランニングコストを支払う必要があります。

FX業者のカバー取引割合

調査年月顧客取引額カバー取引総額カバー取引割合マリー取引総額
2012年4月1,278,975700,28854.8%578,687
2013年4月4,421,1932,025,76045.8%2,395,432
2014年4月2,382,526986,06941.4%1,396,457
2015年4月4,530,4111,818,84340.1%2,711,568
2016年4月4,073,9911,681,38741.3%2,392,604
2017年4月3,192,8131,265,38139.6%1,927,432
2018年4月3,094,4071,271,87341.1%1,822,534
2019年4月2,408,0461,042,45243.3%1,365,593
2020年4月5,277,6381,763,01733.4%3,514,620
(単位:億円)

こちらは調査に回答した全てのFX業者の「顧客取引額」「カバー取引総額」「マリー取引総額」です。
顧客の取引額ベースで見ると、注文全体のおよそ3割~4割程度はカバー取引されていると言えます。

逆に言うと、顧客の注文全体のおよそ6割~7割程度はマリー取引としてFX業者内で処理されているということです。

顧客の多いFX業者ほどマリー取引をしている

調査年月1~3位4~10位11~20位21~30位31~40位41位~
2012年4月11.5%89.0%81.8%88.8%117.8%85.4%
2013年4月22.3%56.7%88.6%74.8%97.0%96.1%
2014年4月20.4%52.4%89.9%84.1%90.2%99.3%
2015年4月16.4%66.0%67.7%95.4%83.7%98.6%
2016年4月16.1%65.2%66.0%101.6%76.3%90.1%
2017年4月9.4%64.9%79.0%90.2%81.1%107.7%
2018年4月12.8%63.0%78.5%101.3%81.3%94.6%
2019年4月13.5%61.3%82.0%88.3%96.9%100.8%
2020年4月7.2%55.0%68.2%96.3%93.0%97.1%
順位別カバー取引割合

こちらは顧客の取引額が多いFX業者を順位別に組み分けし、その中でカバー取引が行われている割合を示したものです。
2020年4月のデータを見ると、最も顧客の多い「1~3位」のグループではカバー取引は7.2%しか行われていません。
そして顧客が少なくなればなるほど(順位が下がれば下がるほど)カバー取引の割合は増えていく傾向があります。

これは何を意味するのかというと「顧客数が多いFX業者ほど顧客同士の注文を内部で相殺するマリー取引がしやすい」ということです。

なので、顧客数の多い人気のFX業者ほどマリー取引をしていると言えます。

この調査結果からわかること

この調査結果からわかることを簡単にまとめると以下のようになります。

  • FX業者別でマリー取引をしているFX業者としていないFX業者は大体半分ずつに分かれる
  • 非ホワイトラベル業者ほどマリー取引をしている
  • 人気の店頭FX業者ほどマリー取引をしている
  • ホワイトラベル業者はほとんどマリー取引をしていない
  • 全体的な顧客の取引額ベースで見ると、注文の約6~7割程度がマリー取引されている

つまり、FX業者はノミ行為をしているのか?という問いに関しては、マリー取引をノミ行為とするのであれば、およそ半分のFX業者がしているという結果と言えます。

全体の取引額ベースで見ても、顧客の注文のうち約6割~7割程度はカバー取引されずにFX業者内で処理をされているということになります。

「ノミ行為」及び「内部マリー取引」が個人トレーダーに及ぼす影響

「ノミ行為」及び「内部マリー取引」が個人トレーダーに及ぼす影響

FX業者が行うマリー取引が個人トレーダーにもたらすメリットとデメリットを紹介します。

マリー取引が個人トレーダーにもたらすメリット

FX業者が内部でマリー取引を行うことで、本来インターバンク市場へ出さなければいけない注文を出さずに済みます。
これによって、本来FX業者側にかかる手数料を節約することができ、その分スプレッドを狭くすることができるのです。
スプレッドを狭く設定できるので、個人トレーダーとしては取引コストを抑えることができるようになります。

また、FX業者の利益率が上がることによって、取引プラットフォームやサービスの向上、倒産リスクの軽減などの恩恵もあります。

マリー取引が個人トレーダーにもたらすデメリット

一番のデメリットはやはり顧客とFX業者側で利益相反が起こることです。
ノミ行為を行うということは、顧客の損失はFX業者の利益になり、顧客の利益はFX業者の損失になるということです。
つまり、内部でマリー取引を多く行っているFX業者としては「できるだけ顧客に負けてもらう必要がある」ということなんです。
なので、あくまで「やろうと思えば」ですが、以下のようなFX業者側が有利になるような不正行為もできてしまいます。

  • 不正にレートを操作される(スプレッドが不自然に開く)
  • 注文がすべりやすくなる
  • 相場の急変動時に注文が出せなくなる

結局のところFX業者とは相対取引ですので、レートやスプレッド等をいくら不正に操作されても、個人トレーダーは何も文句が言えません。

「あくまで悪徳業者の場合は」という前提ですが、内部マリー取引が多いFX業者ほどこのような不正行為によって負かされるリスクが上がると考えられます。

他のFX業者やインターバンクのレートと比較をするとレートに乖離がある場面が多かったり、相場の急変動時に注文画面が固まって注文及び決済ができなくなることが頻発したりする場合は注意しましょう。

FX業者が内部で行っている可能性のあること

FX業者が内部で行っている可能性のあること

FX業者が内部的にどのような処理をしているのかは、どこまでいっても結局のところブラックボックスであり、個人トレーダーにはわかる由もありません。

しかし、これらのデータから「おそらくこういったことをしているであろう」ということは何となく想像できます。
ここではあくまで僕個人の想像としてFX業者が内部でどのようなことをしている可能性があるのかをお話していきます。

顧客をレベル別に分類し内部マリー取引の有無を振り分ける

FX業者は顧客をレベル別に分類して内部マリー取引の有無を振り分けているという話もあります。

よく勝っているトレーダー⇒マリー取引せずにカバー取引をする

よく負けているトレーダー⇒カバー取引をせずにマリー取引する

このようによく勝つトレーダーに関してはそのトレーダーの注文をカバー取引するようにして、よく負けているトレーダーに関してはそのトレーダーの注文をマリー取引することで、FX業者としては損失を極力少なく、利益を最大化することできます。

このように、FX業者は一律でマリー取引するのではなく、トレーダーごとにマリー取引をしたりしなかったりしている可能性があります。

FX業者の利益を最大化する人工知能(AI)の存在も

FX業者の中にはAIを使って顧客の取引傾向を予測し、将来のマリー取引を推測することで、無駄なカバー取引をしないようにしている業者もあるそうです。

ホワイトラベル業者は内部マリー取引がしにくい可能性が高い

先ほどのデータを見るとホワイトラベル業者22社のうち、マリー取引をしている業者はわずか2社のみでした。
つまり、ホワイトラベル業者はほとんどがマリー取引をしていないということになります。

ホワイトラベル業者はシステム上、親となるFX業者から取引システムなどをパッケージとして借りている状態なので、内部で独自の調整ができないことから、マリー取引をしにくい可能性が高いです。

「マリー取引」といっても顧客の注文同士を相殺するのではなく、顧客の損益を相殺している可能性がある

マリー取引は一般的に顧客の同一通貨の売り注文と買い注文を結びつけることで持高を相殺することを意味します。
しかし、そもそもインターバンク市場へ注文を出さないのであれば、顧客の注文同士を相殺する必要すらなく、顧客が出した損益のみをFX業者が内部的に相殺すればいいのです。

なので、実際には注文すら相殺せず、それよって生じた損益のみを相殺している可能性もあります。
もしこれを行っている場合は、完全なノミ行為になると思います。

マーケットリスクがあるので、為替相場の急変動時に顧客が不利になる可能性が高い

マリー取引をしているFX業者は自社内で実質的にディーリングを行うことになる為、基本的にマーケットリスクが発生します。
その為、為替相場が急変動などをした際に、FX業者自身のリスクを下げる為に意図的に顧客に対して不利な操作がされる可能性があります。

具体的に言うと、異常なスプレッドの開きや不自然なスリッページなどを意図的に引き起こされる可能性があると言えます。

内部マリー取引をしているFX業者としていないFX業者の見分け方

内部マリー取引をしているFX業者としていないFX業者の見分け方

マリー取引をしているFX業者としていないFX業者の見分け方を紹介します。
ちなみにマリー取引をしていないFX業者を「A-Book業者」、マリー取引をしているFX業者を「B-Book業者」と呼んだりもします。

A-Book業者(マリー取引なし)B-Book業者(マリー取引あり)
・手数料が高い(スプレッドが広い)
・変動スプレッド
・レートの変動スピードが早い
・マーケットリスクがほとんどない
・顧客と利益相反にならない
・手数料が無料(スプレッドが狭い)
・原則固定スプレッド
・レートの変動スピードが遅い
・マーケットリスクがある
・顧客と利益相反になる

見分け方としては「取引手数料無料で、スプレッドが原則固定で異常に狭いFX業者」はほとんどがマリー取引をしていると言えます。
というのも、マリー取引をしていないFX業者の場合は基本的に手数料がFX業者の利益となるので、「手数料を無料にする」「スプレッドを原則固定にする」「スプレッドを異常に狭くする」といったことができないからです。

これに対して、マリー取引をしているFX業者は、顧客の損失が利益になる為、手数料やスプレッドをほぼ無料にしてもビジネスモデルが成り立つのです。

つまり、「取引手数料無料」「原則固定スプレッド」「スプレッドが異常に狭い」FX業者はマリー取引によって顧客の損失が利益になっているFX業者と言えます。

マリー取引は法律的にOKなのか?

実質的なノミ行為にあたるマリー取引ですが、法律的にはOKなのでしょうか?
2004年以前は証券取引法第129条や金融先物取引法第73条等により禁止されていましたが、2004年以降は「事前に顧客に告知しており、同意を得ていればマリー取引を執行しても良い」ということになっています。

なので、結局のところ利用規約に同意をしてFX業者を利用している以上、顧客は何も文句は言えないという状態です。

マリー取引が無く顧客と利益相反にならないFX業者

マリー取引が無く顧客と利益相反にならないFX業者

FX業者を選ぶ際に、最も重要になるのが取引手数料無料でも狭いスプレッドでもなく「FX業者と利益相反にならないこと」です。

結局のところFX業者と利益相反が起こってしまうと、やはり内部的に何かこちらに不利になることが行われてしまう可能性が残り続けます。

その不安を払拭するには、できるだけ透明性が高く、顧客と利益相反にならないFX業者を選ぶことが大切です。

そこで最も手っ取り早いのが店頭取引のFX業者ではなく、取引所取引のFX業者を利用することです。

取引所取引とは

取引所取引とはマーケットメイク方式によってマーケットメイカーが提示した為替レートでの売買ができる取引所のことです。店頭取引のようにFX業者が独自にレートを決定するわけではないので透明性が高いのが特徴です。

現状、日本国内で取引所取引ができるのは東京金融取引所が行っている「くりっく365」のみです。

FX業者と利益相反にならず、なおかつ為替レートの透明性を重要視したい場合はくりっく365を利用するのがおすすめです。

くりっく365で取引できるFX業者としては「GMOクリック証券」がおすすめです。

くりっく365には以下のようなメリットがあります。

  • 顧客とFX業者が利益相反にならない
  • 顧客の証拠金は全て東京金融取引所に預託される(保全性が高い)
  • くりっく365に参加できるFX業者は厳格な資格要件を満たした業者のみなので信頼度が高い(不正行為が無い)
  • マーケットメイク方式なので価格提示に透明性がある(為替レートを不正に操作されない)
  • マーケットメイク方式なので不自然なスリッページが発生しない
  • スワップポイントが一本値となり、スワップにおいて顧客が不利になりにくい
  • 3年間の損失繰越控除が可能

顧客とFX業者が利益相反にならずに、できるだけ透明性の高いFX業者を使いたい方は「GMOクリック証券」で口座開設することを強くおすすめします。

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