ノミ行為とは?国内FX業者はしているのか協会調査と10社の開示で検証

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こんな疑問を持つ方へ
  • 「ノミ行為(呑み行為)」ってどういう意味?違法なの?
  • 国内のFX業者は客の注文を市場に出さずに呑んでいるって本当?
  • DD方式・カバー取引・マリーの違いがよく分からない
  • 自分の使っているFX会社が大丈夫か、どこを見れば分かる?

ノミ行為(呑み行為)とは、客から受けた注文を本来の市場に出さず、業者が自分で引き受けてしまうことです。競馬などのノミ行為は法律で禁じられた犯罪ですが、国内の店頭FXでFX会社が客の相手方になるのは、登録を受けた業者に認められた取引の形です。

ただし、客同士の注文を社内で相殺する「マリー」は広く行われています。金融先物取引業協会(FFAJ)の調査では、2025年4月に外の銀行などへカバー取引された金額は、客の取引額の30.5%でした。この記事では、協会の調査と各社が毎月開示している数字をもとに、FX業者の「ノミ行為」の実態を解説します。

ノミ行為(呑み行為)とは?意味と、違法な競馬のノミ行為との違い

図1 「ノミ行為」と店頭FX・取引所FXの違い 言葉は似ていても、FXの相対取引は法律で認められた取引の形 競馬のノミ行為 店頭FX(DD方式) 取引所FX(くりっく365) 誰が客の相手? 私設の胴元 FX会社 市場(取引所) 法律上は? 違法(競馬法) 登録業者なら適法 適法 客の注文の行き先 どこにも出さない 相殺→残りをカバー 取引所で約定 胴元・業者のもうけ 客の負け分 主にスプレッド 手数料 hiro-fx.com作成。店頭FXは顧客同士の注文を社内で相殺(マリー)し、残りを銀行などにカバーするのが一般的

図: 競馬のノミ行為・店頭FX・取引所FXの比較(hiro-fx.com作成)

ノミ行為は「呑み行為」とも書きます。もとは、客の注文や賭け金を正規の市場や主催者に通さず、業者が自分の懐に「呑み込む」ことを指す言葉です。よく知られるのは競馬のノミ行為で、私設の胴元が客から馬券代を受け取り、外れれば丸ごと自分のもうけにします。

競馬のノミ行為は競馬法で禁止され、罰則があります。胴元の利益は客の負けそのものなので、客が負けるほど胴元がもうかる仕組みです。

FXで「ノミ行為」と言われるのはなぜ?

国内の多くのFX会社は「店頭FX」という形で、客と1対1で売買します(相対取引)。客がドルを買うと、その瞬間はFX会社が売り手になります。注文が市場にそのまま出るわけではないため、「業者が呑んでいる」「客が負けた分が業者のもうけになる」と言われてきました。

ただし、店頭FXは金融商品取引法にもとづく登録業者が行う取引で、違法なノミ行為とは別物です。問題になるのは「相手方になること」ではなく、業者が為替の値動きのリスクをどれだけ自分で抱えているかと、価格や約定が公正かどうかです。

FX業者のDD方式・カバー取引・マリーとは?注文の流れを図で解説

図2 店頭FXで注文が処理される流れ(DD方式) FX会社が客の相手方になり、社内で相殺してから外へ出す 1 客がFX会社に 注文を出す (相対取引) → 2 FX会社が 相手方として 約定させる → 3 客同士の買いと 売りを社内で相殺 (マリー) → 4 残った偏りを 銀行などに カバー取引

図: 店頭FX(DD方式)で客の注文が処理される流れ(hiro-fx.com作成)

DD方式(ディーリング・デスク方式)では、FX会社がいったん客の相手方になります。そのうえで、ある客の「買い」と別の客の「売り」を社内でぶつけて相殺します。これがマリー(社内での相殺)です。相殺しても残った偏りは、銀行などのカバー先と反対の取引をして打ち消します。これがカバー取引です。

たとえば客全体でドルの買いが100万ドル、売りが80万ドルだとします。80万ドル分は社内で相殺でき、残りの20万ドル分をカバーすれば、FX会社は値動きの影響を受けません。このとき外に出る金額は、客の取引額よりずっと小さくなります。「市場に出していない=呑んでいる」と見えるのは、この部分です。

NDD方式との違い

NDD方式(ノー・ディーリング・デスク方式)は、客の注文をそのままカバー先へ流す形です。業者は手数料やスプレッドの上乗せで収益を得ます。国内では、ほかのFX会社の仕組みを借りて自社の名前でサービスする「ホワイトラベル」の会社に、マリーをしない形が多く見られます(協会の調査)。

あわせて読みたい:DD方式とNDD方式の違いとは?FX業者の仕組みとメリット・デメリット

【データ】国内FX業者はどれくらいカバーしている?協会調査と10社の開示

図3 国内の店頭FX:客の取引額のうち外にカバーされた割合(2012〜2025年) 各年4月の1か月分。残りは社内での相殺(マリー)など 0% 20% 40% 60% 2012年4月 54.8% 2013年4月 45.8% 2014年4月 41.4% 2015年4月 40.1% 2016年4月 41.3% 2017年4月 39.6% 2018年4月 41.1% 2019年4月 43.3% 2020年4月 33.4% 2021年4月 45.1% 2022年4月 37.6% 2023年4月 33.6% 2024年4月 33.1% 2025年4月 30.5% 出典:金融先物取引業協会「店頭FX取引の実態調査」2020年版・2025年版(hiro-fx.com計算)

図: 国内の店頭FX業者全体で、客の取引額に対してカバー取引額が占める割合(2012〜2025年の各4月・金融先物取引業協会の調査をもとに hiro-fx.com 計算)

金融先物取引業協会は毎年4月を基準に、会員の店頭FX業者(2025年は46社)の実態を調べています。2025年4月の客の取引額は約1,473兆円で、そのうち外へカバーされたのは約448兆円、割合は30.5%でした。2012年の54.8%から下がり、ここ数年は3割台で推移しています。

残りの約7割は、客同士の注文の相殺などで社内に収まった取引です。ただし、この7割がすべて「業者が客の反対側でリスクを取った取引」という意味ではありません。買いと売りが相殺されていれば、業者は値動きの影響を受けないからです。

取引の多い大手ほど社内で相殺している

客の取引額の順位客の取引額(2025年4月)カバーされた割合
1〜3位約722兆円7.4%
4〜10位約560兆円47.4%
11〜20位約164兆円65.2%
21〜30位約20兆円76.9%
31〜40位約5兆円109.4%
41位〜約5,075億円142.4%

※出典:金融先物取引業協会「店頭外国為替証拠金取引の実態調査結果について」(2025年10月31日)表7・表8をもとに hiro-fx.com 計算。100%を超えるのは、カバー先の変更による建玉の移し替えなどのため(協会の注記)

取引額が上位1〜3位の会社は、業界全体の客の取引額の49%を占め、カバーされた割合は7.4%でした。客が多い会社ほど買いと売りが社内でぶつかりやすく、相殺だけで済む割合が大きくなります。逆に小さな会社ほど、ほぼ全量をカバーしています。

協会の分類では、2025年4月に「ホワイトラベルではなく、カバー先が複数で、マリーを行う」形が延べ22社、「ホワイトラベルで、カバー先が1社、マリーを行わない」形が延べ16社でした(回答は延べ52件)。

各社が毎月出している「未カバー率」

図4 国内10社の「未カバー率」(2026年6月30日) 相殺しても残る客の売買の偏りのうち、銀行などにカバーしていない割合 0% 10% 20% 30% 40% DMM.com証券 34% トレイダーズ証券(みんなのFX) 5.97% 松井証券 4% GMOクリック証券 2.14% ヒロセ通商 0.4% 三菱UFJ eスマート証券 0.2% 外為どっとコム 0% SBI FXトレード 0% SBI証券 0% OANDA証券 0% 出典:各社「店頭FX取引に係るリスク情報に関する開示」(内閣府令で毎月の開示が義務)を hiro-fx.com が集計

図: 国内のFX会社10社が公表した2026年6月30日の未カバー率(各社の法定開示を hiro-fx.com が集計。DMM.com証券はDMM FXとTOSSY FXの合算)

業者が本当に抱えている為替リスクを示すのが「未カバー率」です。客同士で相殺しても残る売買の偏りのうち、カバーしていない部分の割合で、店頭FX業者は内閣府令にもとづき毎月の開示が義務づけられています。多くの会社は月末日の23時・25時・27時のうち、最も大きい時点で測っています。

2026年6月30日は、10社中8社が5%未満、うち4社が0%でした。DMM.com証券は34%と高めで、2025年9月〜2026年8月の12か月では28〜68%でした。同じ期間、GMOクリック証券は2.14〜9.92%、トレイダーズ証券(みんなのFX)は2.97〜8.77%です。

未カバー率が高いことは、不正をしている証拠ではありません。業者がすぐにカバーせず、為替リスクの一部を自分で持つ方針だということです。相場が急変したときに業者自身が損をする可能性が高い、という経営上のリスクを示す数字だと考えるとよいでしょう。

FX業者のマリー(社内での相殺)は違法?法律とルール

図5 店頭FX業者に課されている主なルール 社内で相殺する業者にも、透明性と健全性のルールがある ルール 中身 ねらい・時期 業者の登録 金融商品取引業の登録 無登録の業者は違法 未カバー率などの開示 毎月の開示が義務 2019年の内閣府令改正 取引データの保存・報告 提示レート・カバーレート等 不正な約定を検証するため ストレステスト 急変時の損失に耐えるか 協会規則に基づき実施 証拠金の管理 信託銀行などに区分管理(信託保全) 業者が破綻しても客の資産を守る 金融庁「店頭FX業者の決済リスク管理の強化に向けた対応」(2019年)ほかをもとに hiro-fx.com 作成

図: 店頭FX業者に課されている主なルール(金融庁・金融先物取引業協会の資料をもとに hiro-fx.com 作成)

マリーやDD方式そのものを禁じる法律はありません。店頭FXは、業者が客の相手方になることを前提にした取引で、その代わりに業者には登録・開示・データの保存などのルールが課されています。

金融庁は2018年の有識者検討会の報告を受けて、2019年に内閣府令を改正しました。未カバー率・カバー取引先の格付・平均証拠金率の開示が始まりました。あわせて、客に示したレートやカバー取引のレートなどの取引データを保存・報告する仕組みも整えられました。客に不利な価格で約定させるといった不正を、後から検証できるようにするためです。

実際に2020年には、スリッページについて事実と異なる広告をした店頭FX業者が、業務改善命令を受けています(証券取引等監視委員会の勧告による)。スリッページとは、注文時と約定時の価格のずれのことです。ルール違反は監督の対象になるということです。

あわせて読みたい:FXの信託保全とは?FX業者が破綻したらどうなるの?

ノミ行為・マリーは利用者に損?メリットと注意点

図6 社内での相殺(マリー)が多い業者:利用者から見た良い点・注意点 仕組みそのものは不正ではない。気になるのは急変時の扱い 項目 良い点 注意点 スプレッド 狭くしやすい — 約定の速さ 社内で即約定しやすい 急変時に約定拒否・滑りが起きることも 業者と客の関係 — 相殺しきれない分は利害が逆になる 業者の経営 カバー費用を抑えられる 未カバーが多いと相場急変で損失を抱える

図: 社内で相殺する割合が大きい業者について、利用者から見た良い点と注意点(hiro-fx.com作成)

社内で相殺できれば、カバー取引の手間や費用が減り、狭いスプレッドを出しやすくなります。国内のドル円のスプレッドがごく狭いのは、この仕組みに支えられている面があります。

一方で、相殺しきれずカバーもしていない部分は、客がもうかると業者が損をする関係になります。このため、相場の急変時に約定しにくくなったり、スリッページが大きくなったりしないかを気にする人がいるのは自然です。

ただ、急変時の約定のしにくさは、カバー先の銀行でも価格が出にくくなるなど、仕組みに関係なく起きることがあります。「約定が滑った=ノミ行為の証拠」と決めつけず、記録を残して確かめることが大切です。

FX業者の仕組みが気になる人がやること:チェックリストと取引所FX

図7 FX会社の仕組みが気になる人のチェックリスト 口座を開く前・使っている会社を見直すときに ✓ 金融庁の登録業者か(金融商品取引業者登録一覧で確認) ✓ 「店頭FX取引に係るリスク情報」の未カバー率を数か月分見る ✓ カバー取引先の格付(投資適格かどうか)を見る ✓ 証拠金が信託保全されているか確かめる ✓ 急変時のスリッページ・約定の扱いを取引説明書で読む ✓ おかしな約定は画面を保存し、会社→FINMACの順に相談する

図: FX会社の仕組みを確かめるためのチェックリスト(hiro-fx.com作成)

まずは、使っている会社が金融庁の登録業者かを確かめ、各社のサイトにある「店頭FX取引に係るリスク情報に関する開示」を数か月分見てみましょう。1か月だけだと月末の偶然で数字が動くので、並べて見るのがコツです。

約定に納得できないときは、注文画面や約定履歴を保存して、まずFX会社に問い合わせます。解決しなければ、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に相談できます。

相手が業者でない「取引所FX(くりっく365)」という選択肢

業者が客の相手方になる仕組みがどうしても気になる人には、東京金融取引所の取引所FX「くりっく365」があります。複数の金融機関(マーケットメイカー)が出した価格から、取引所が客に有利な価格を合成して示す仕組みで、FX会社が自分で価格を決めることはありません。

証拠金は法令で全額を取引所に預けることになっており、スワップポイントも受け取りと支払いが同じ額(一本値)です。一方で、スプレッドや取引単位、取扱通貨ペアは店頭FXと違うので、取引の仕方に合うかを比べて選びましょう。

くりっく365は、GMOクリック証券などの取引参加者を通じて取引できます。2026年10月1日時点で、GMOクリック証券の公式サイトにはくりっく365の取扱いが30通貨ペアと書かれています。

GMOクリック証券

店頭FXの「FXネオ」とくりっく365のどちらが合うかは、GMOクリック証券はNDD方式?FXネオとくりっく365の比較でくわしく解説しています。取引所FXの口座を検討する場合は、GMOクリック証券の公式サイトで条件を確かめてください。

GMOクリック証券の口座開設ページを見る

よくある質問

Q. FXのノミ行為は違法ですか?

A. 国内で登録を受けたFX会社が客の相手方になる店頭FXは、法律で認められた取引の形で、違法ではありません。違法なのは、競馬法などで禁じられた私設の胴元によるノミ行為や、無登録でFXを営むことです。

Q. 未カバー率が0%なら、その会社はマリーをしていないのですか?

A. いいえ。未カバー率は「相殺しても残った偏り」のうちカバーしていない割合なので、社内で相殺したうえで残りを全部カバーしていれば0%になります。0%は、業者が為替リスクをほぼ抱えていないことを示す数字です。

Q. 客が勝つと、FX会社は口座を止めたり約定を不利にしたりしますか?

A. 公的な資料で、国内業者が勝っている客の約定を一律に不利にしていると確かめられた事実はありません。取引データの保存・報告の制度は、こうした不正を後から検証できるようにするためのものです。なお、短時間の売買の繰り返しを約款で制限している会社はあります。

Q. 「呑み行為」と「ノミ行為」は同じ意味ですか?

A. 同じ意味です。漢字では「呑み行為」と書き、カタカナやひらがなで「ノミ行為」「のみ行為」と書かれることも多い言葉です。

Q. 海外FXの業者もマリーをしていますか?

A. 海外の業者は日本の開示義務の対象外のため、未カバー率のような数字で確かめることができません。日本で登録を受けずに日本の居住者に勧誘する業者には、金融庁が注意を呼びかけています。

あわせて読みたい:スキャルピング禁止は何分から?国内FX9社の約款・FAQを比較

まとめ:国内FX業者のノミ行為は「違法な呑み」ではなく、相殺とカバーの仕組み

  • ノミ行為(呑み行為)は、客の注文を市場に出さず業者が自分で引き受けること。競馬などのノミ行為は違法
  • 店頭FXは業者が客の相手方になる取引で、登録業者が行う限り法律で認められている
  • 国内の店頭FX全体で外へカバーされたのは、客の取引額の30.5%(2025年4月)。残りの多くは客同士の相殺
  • 業者が実際に抱えるリスクを示す未カバー率は、2026年6月末で10社中8社が5%未満
  • 気になる人は、各社の月次開示・信託保全・取引説明書を確かめ、取引所FX(くりっく365)も比べる

「ノミ行為をしているか」を外から断定することはできませんが、各社が毎月出している数字で、業者がどれだけリスクを抱えているかは確かめられます。スプレッドなどの取引コストとあわせて、自分に合う会社を選ぶ材料にしてください。

※この記事の情報は2026年10月1日時点のものです。出典:金融先物取引業協会「店頭外国為替証拠金取引の実態調査結果について」(2020年版・2025年10月31日版)、金融庁「店頭FX業者の決済リスク管理の強化に向けた対応」(2019年)、証券取引等監視委員会「市場へのメッセージ」(2020年9月17日)、各社「店頭FX取引に係るリスク情報に関する開示」(2025年9月〜2026年8月分)、東京金融取引所「くりっく365」公式サイト。特定のFX会社がノミ行為をしていると判断するものではありません。この記事は情報提供を目的としたもので、投資の助言ではありません。取引の判断はご自身でお願いします。

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