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FXでなかなか勝てない人の特徴の一つとして「相場において冷静で合理的な判断ができない」ということがあげられます。
投資で勝つ為にはマインドセットが大事であるとはよく言われますが、その理由は適切なマインドセットが合理的な判断を生み出すからです。
トレードとなるとついつい冷静さを欠いてしまったり、自分本位の狭い視野でしかトレードできなくなったり、合理的な判断ができなくなってしまう人は人間が元々持っている「ヒューリスティック」という思考プロセスが原因となっています。
ここではヒューリスティックとは何か?そしてヒューリスティックが相場において合理的な判断の妨げになる理由についてわかりやすく解説していきます。
ヒューリスティックとは?
ヒューリスティックというのは人間が複雑な問題を解決する際や、何らかの意思決定をする際に暗黙のうちに用いている簡便な思考プロセスのことです。
分かりやすく言うと「直感」とか「経験則」みたいなものです。
人間が何かを判断する際には必ず「直感」とか「経験則」というものを踏まえて判断をしていきます。
必ずしも正しい判断ができるわけではありませんが、結論に至るまでの時間を大幅に短縮することができる判断方法です。
例えば、スーパーで野菜を購入する際に数ある野菜の中からできるだけ「美味しそうな野菜」を瞬時に判断するような場面があったとします。
その際、過去の経験則などから以下のような情報に絞って判断していくと思います。
- 形が綺麗
- 色が綺麗
- 適度な大きさ
- ハリがある
- 傷がない
こういった情報に絞って、まずは数ある野菜の中からいくつかの野菜にある程度の目星をつけていきますよね。
本来であれば全ての野菜を一つずつチェックしていかなければ判断はできないのですが、わざわざ全ての野菜をチェックするということはせずに、こういった情報に絞って効率的に判断をしていこうとするはずです。
それは過去に「そういった野菜が美味しい確率が高い」ということを経験していることから、そういった判断基準を下すようになるのです。
この判断方法がまさに「ヒューリスティック」の影響を受けていると言えます。
つまり人間にはヒューリスティックがあることによって、過去の経験則や直感を頼りに物事をより効率的に判断していこうとする心理が働いているわけです。
FXトレード時にも当然ヒューリスティックは大きく影響する
FXトレードなどはまさに複雑な意思決定が必要となる行為です。
トレードのように複雑な意思決定が必要となる場面では必ずヒューリスティックが働きます。
無意識のうちに過去の経験を活かして判断をしたり、自分が手に入れられる範囲の情報で判断をしたり、自分が分析できるデータの範囲から判断をしたりしますよね。
これらは全てヒューリスティックによる判断と言えます。
つまり、全てのトレーダーは無意識のうちに必ずヒューリスティックを元にトレード判断を行っているというのが大前提となるのです。
合理的な判断を鈍らせる3つのヒューリスティック
ヒューリスティックには人間の合理的な判断を鈍らせる原因となる3つのヒューリスティックがあります。
- 利用可能性ヒューリスティック
- 代表性ヒューリスティック
- 固着性ヒューリスティック
人間が何か物事を判断するときにはこれらのヒューリスティックが無意識レベルで働いて、結果的に合理的な判断ができない時があるのです。
それではこれらのヒューリスティックの意味や相場心理にどのような影響を及ぼすのかを次の項目から具体的に解説していきます。
利用可能性ヒューリスティックとは?
利用可能性ヒューリスティックというのは自分の記憶から簡単に取りだせる情報だけに頼って物事を判断することを意味します。
当然と言えば当然なのですが、人間は「すぐに思いつくこと」や「強く記憶に残っている事」などの情報を元に物事を判断していきます。
そして利用可能性ヒューリスティックは以下の3つのバイアスから形成されます。
1. 想起容易性バイアス
想起容易性バイアスというのは「強く記憶に残っていること」を基準に物事を判断してしまうことを意味します。
例えば「飛行機は事故で死亡する可能性が高く危険だから車で移動しよう」という判断をする人がいるとします。
これは過去の飛行機事故などのニュースや映像が強く記憶に残っていることによる判断です。
しかし実際には統計データ上、飛行機よりも車移動の方が圧倒的に死亡事故に合う確率は高いのです。
なるべく危険を避けて移動したいのであれば、本来であれば車ではなく飛行機移動を選択するのが合理的な判断です。
しかし飛行機事故の映像などが強く記憶に残り、想起容易性バイアスによって合理的な判断ができなくなってしまっているのです。
2.検索容易性バイアス
検索容易性バイアスとは「すぐに手に入れられる情報」や「すぐに思いつく記憶」を基準に物事を判断してしまうことを意味します。
例えば、たまたま見たテレビで「これからは円高になる」という情報を目にすると、「そうか、これからは円高になるのか!今のうちに円を買っておこう」とすぐに手に入れられる情報だけで判断をしてしまうことがあります。
合理的に判断をするのであれば、これから円高になるのかどうかはテレビの情報だけでなく、様々な視点から多角的に捉えて慎重に判断する必要があります。
しかし、人間は検索容易性バイアスがあるので、簡単に手に入れられる情報だけで物事を判断してしまう傾向があるのです。
3.具体性バイアス
具体性バイアスとは近しい人からの情報やより具体的な情報を優先して判断してしまうことを意味します。
例えばこれから起業をしてビジネスを始めたいと考えている人が、ビジネスについて会社の友人や家族に相談し、そういった人達の意見を元に判断をしてしまうことがあります。
しかし、実際には会社の友人も家族も自分でビジネスを始めたことがなく、ビジネスに関しては素人であり、そういった人の意見はほとんどあてにならないのです。
合理的な判断をするのであれば、自分が起業したいのであれば、既に起業をしていてある程度上手くいっている人達の意見を聞いたり、起業の専門家などの意見を聞いて判断をする方がいいはずです。
しかし人間には具体性バイアスがある為、遠くの専門家の意見よりも、身近な素人の間違った意見を元に判断をしてしまうことがあるのです。
利用可能性ヒューリスティックが相場での判断に与える影響
利用可能性ヒューリスティックは相場での判断に大きな影響を与えます。
利用可能性ヒューリスティックによって合理的な判断ができない例をいくつかあげてみましょう。
- テレビなどの情報をそのまま鵜呑みにする
- 特にFXで勝っているわけでもない友人や家族の意見をトレード判断の参考にしてしまう
- 直近の安値など、すぐに目に入った情報だけでトレードをしてしまう
投資で勝ち続ける為には、自分の記憶から簡単に取り出せる情報だけで判断するのではなく、客観的で広い視野を持った判断ができるようになることが大切です。
代表制ヒューリスティックとは?
代表制ヒューリスティックというのは代表的なものほど過大評価をしてしまう人間の心理のことを意味します。
例えばコインを10回投げたところ、なんと10回中10回表がでたとします。では次にコインを投げた時に出るのは表と裏どちらでしょうか?
この問いをすると多くの人は「10回投げて10回表がでている」という代表的な事実に意識が向いてしまい、次も表がでると答える人が多くなります。
本来であれば表と裏がでる確率は常に2分の1なので、回答も半分ずつにならなければいけません。
しかし代表制ヒューリスティックという人間の心理によって回答が表に偏ってしまうわけです。
代表制ヒューリスティックが相場での判断に与える影響
FXトレード時にも同じような場面というのは多々あります。
例えば今まで勝ち続けてきた手法でトレードをしたところ、直近の調子が悪くたまたま10回連続負けてしまったとします。
すると、この「10連敗をした」という事実にばかり意識が向いてしまい、実際に今まで勝ち続けていた手法であっても「もうこの手法は使えない」と判断してしまうことがあります。
確かに実際にその手法が使えなくなった可能性がないわけではありませんが、たった10連敗程度では確率はまだまだ収束しません。
多くのトレーダーが連敗によって崩れてしまうのは代表制ヒューリスティックが影響しています。
実際にトレードを続けていけば連敗や連勝というのは必ず起きます。
連敗や連勝によってコロコロと手法を変えたり、ロット数を変えたりした経験はないでしょうか?もしあるのであれば、それはまさに代表制ヒューリスティックという心理によるものです。
連敗や連勝という代表的な事実を強く意識しすぎているからこそ、いつも通りのパフォーマンスを発揮できなくなってしまっているわけです。
あなたが連敗や連勝をしたという出来事は相場には一切関係がありません。
連敗していようが連勝していようが相場には全く関係ないにも関わらず、その出来事を意識してトレード手法やロット数を変えてしまうのは全く合理的な判断ではありません。
固着性ヒューリスティックとは?
固着性ヒューリスティックとは最初に与えられた情報や直感的に正しいと判断した情報に大きく左右される人間の心理のことです。
「アンカリング」とも呼ばれます。
例えば「10,000円の商品が50%OFFで今なら5,000円」と表示されていると、「この商品は元々10,000円するものなんだ」という情報に影響を受けて5,000円が安く感じてしまうという心理があります。
これはまさに固着性ヒューリスティックを利用した販売方法で、最初に「元々10,000円する商品である」という情報を与えて、直観的に5,000円を安く感じさせようとしているわけです。
また、本来必要でもなかったようなものを直観的に衝動買いをしてしまった人がいたとします。
例え衝動買いしてしまったものが客観的に見て不必要なものでも、その人は固着性ヒューリスティックによって無理やり理由付けをして「買う意味があった」「買った判断は正しかった」と衝動買いを都合の良いように解釈をする傾向があります。
人間というのは最初に与えられた情報や最初に正しいと思った情報に対して都合のいいように解釈をして、後から得た情報を否定的に捉えてしまう傾向があるのです。
固着性ヒューリスティックが相場での判断に与える影響
実際のトレードでもよくあるのですが、客観的にみると間違った判断だと言える場面でも自分が正しいと思ったことにあれこれと正しい理由づけをして間違ったトレードを続けてしまうようなことがあります。
機能していないような抵抗線を無理やり引いて「ここで反発して戻ってくるはずだ」とか、「前は100円だったんだから絶対に100円までは戻ってくるに違いない」とか、あれこれとあたかも正しそうな理由をつけてなかなか損切りをせずに、自分の最初の判断を覆さないのはまさに固着性ヒューリスティックという心理が影響している為です。
実際の相場で生き残る為に大切になるのは「間違いを即座に認めてすぐに軌道修正(損切り)をすること」です。
これができなければ相場で生き残ることはできないと言っても過言ではありません。
にも関わらず自分の最初の判断が絶対的に正しいと勘違いしたままトレードを続けてしまうと、どこかで必ず強制ロスカットが待っています。
そうならない為にも最初に与えられた情報や直感的に感じたことに過信しすぎずに、客観的に情報を捉えて柔軟な判断をしていく視点が大切です。
トレードに大きな影響を与える「アンカリング」
例えば「少し前まで1ドル100円だったのに今は1ドル90円になったからドルは割安だ」といったのも無意識のうちに1ドル100円という基準点をアンカリングしていると言えます。
元々100円だったものが90円になったから割安と判断してしまうのではなく「今現在90円は妥当なのかどうか」を考えなければいけないんです。
自分の中で勝手にアンカリングした判断基準なんていうのは相場には全く関係がないということをしっかり認識しておくことが大切です。
また、直近の高値や安値が強く意識されるのもアンカリングによる影響が大きいとされています。
相場で正しい判断をしていく為には、まずは全ての人間にはここで紹介したヒューリスティックという心理が存在することをしっかり認知することが重要です。
そもそもこういった心理になるということを認知していなければ、そこに対して意識することも直すこともできません。
「人間がどのような考え方に陥りやすいのか」といった部分を理解しておくことができれば「そうならないように」意識することもできます。
全ての人間はヒューリスティックという心理を持っていることを理解して、その上で上手くコントロールしていくことで相場でも冷静で合理的な判断ができるようになるはずです。