長期金利が上がるとどうなる?預金・国債・保険・株価への影響と銀行株の実績

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こんな疑問を持つ方へ
  • 長期金利が上がるとどうなるの?メリットとデメリットは?
  • 預金の金利や個人向け国債の利率は上がる?保険は?
  • 株価はどうなる?銀行株やREIT(不動産投資信託)は?
  • 景気や住宅ローンへの影響は?自分は何をすればいい?

長期金利が上がると、預金や個人向け国債の金利は上がり、住宅ローンの固定金利や会社の借入の負担は重くなります。お金を預ける人には追い風、借りる人には向かい風です。株価では銀行株が上がりやすく、REIT(不動産投資信託)は下がりやすい傾向があります。この記事では、預金・国債・保険・株価への影響を、hiro-fx.comが集計した2022年以降の値動きとあわせて解説します。

長期金利が上がるとどうなる?メリット・デメリットの早見表

対象長期金利が上がるとあなたにとって
預金・個人向け国債金利(利率)が上がるメリット:受け取る利息が増える
貯蓄型の保険(新しく入る契約)予定利率が上がり、保険料が下がることがあるメリット:同じ保障を安く買える
住宅ローン(固定金利)新しく借りる人の金利が上がるデメリット:返済額が増える
持っている債券・債券の投資信託値段が下がるデメリット:途中で売ると損が出ることがある
株価銀行株は上がりやすく、REIT・不動産株は下がりやすい業種によって分かれる
景気・国の財政借入の負担が増え、景気を冷ましやすい。国の利払いも増える長く続くとデメリット

※hiro-fx.com作成。実際の影響は商品・時期・上がった理由によって違う

長期金利は、期間が1年を超えるお金の貸し借りの金利で、ふつうは10年国債の利回りを指します。お金を長く貸すときの値段なので、上がれば「預ける・貸す」側の受け取りが増え、「借りる」側の支払いが増えます。日本の10年国債の利回りは、財務省のデータで2024年3月19日の0.744%から2026年10月13日には3.019%まで上がりました。

長期金利が上がると、預金金利と個人向け国債はどうなる?

商品何に連動するか2026年10月の例
普通預金主に政策金利(短期金利)大手銀行3行は11月2日から年0.5%に引き上げ(税引前)
定期預金期間に応じた市場の金利長い期間ほど長期金利の影響を受けやすい
個人向け国債(変動10年)10年国債の利回り×0.6610月募集分は年2.05%(基準金利3.10%×0.66)
個人向け国債(固定5年・固定3年)5年・3年の国債の利回りから少し引いた値募集のときの利率がずっと続く

※大手銀行の普通預金は三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の発表、個人向け国債は財務省の発表(2026年10月7日)による

預金のうち、普通預金の金利は主に日銀の政策金利に合わせて動きます。大手銀行3行は、日銀が2026年9月に政策金利を1.25%程度に上げたのを受けて、普通預金の金利を0.4%から0.5%に上げると発表しました。期間の長い定期預金ほど、長期金利の動きが金利に反映されやすくなります。

長期金利の上昇がそのまま届くのが、個人向け国債の「変動10年」です。利率は、半年ごとに「基準金利(10年国債の利回り)×0.66」で決まります。2026年10月募集分は、基準金利3.10%から計算した年2.05%でした。100万円なら1年の利息は税引前で約20,500円、税金(20.315%)を引くと約16,335円です。

個人向け国債は「変動」と「固定」どちらが有利?

この先も長期金利が上がると考えるなら、利率が見直される変動10年のほうが上昇の恩恵を受けられます。金利が下がると変動10年の利率も下がりますが、最低0.05%が保証されています。どちらが得かは金利の行方しだいなので、予想に頼りすぎず、使う予定の時期に合わせて選ぶのが基本です。

長期金利が上がると保険はどうなる?

保険の種類長期金利が上がると
一時払い終身保険・養老保険など貯蓄型(円建て)予定利率が上がり、新しく入る人の保険料が下がることがある
すでに入っている契約予定利率は契約したときのまま変わらないのが一般的
掛け捨ての保険(医療・定期保険)影響は小さい

※hiro-fx.com作成。商品ごとの扱いは保険会社の説明で確認できる

保険会社は集めた保険料の多くを国債などで運用しています。長期金利が上がると運用で得られる利回りが増えるため、貯蓄型の保険では「予定利率」(保険会社が約束する運用の利回り)を引き上げる動きが出ます。予定利率が上がると、同じ保険金を受け取るのに必要な保険料が下がります。

たとえばかんぽ生命は、告知のいらない一時払終身保険の予定利率を、2026年1月2日の契約から1.25%から1.75%に引き上げました。ただし、すでに入っている契約の予定利率はふつう変わりません。解約して入り直すと、解約時の払い戻しが少なかったり、年齢で保険料が上がったりするので注意が必要です。

【データ】長期金利が上がった月、株価・銀行株・REITはどう動いた?

図1 長期金利が動いた月の株価・銀行株・REITの平均の値動き 2022年2月〜2026年10月(10月は13日まで)の57か月。10年国債の利回りの月間の変化で3つに分けた 利回りが0.1%以上上がった月(20か月) ほぼ横ばいの月(32か月) 0.1%以上下がった月(5か月) −6% −4% −2% 0% +2% +4% +6% +8% −0.6% +2.9% +4.2% 日経平均 +5.3% +2.5% −4.5% 銀行株(TOPIX銀行業) −1.2% +0.3% +0.2% REIT

図: 財務省「国債金利情報」の10年の利回りと、Yahoo!ファイナンスの日足(日経平均、NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型ETF、NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型ETF)の月末の値をもとにhiro-fx.comが集計。ETFは分配金を含まない値段

2022年2月から2026年10月までの57か月を、10年国債の利回りの動きで3つに分けました。0.1%以上上がった月・ほぼ横ばいの月・0.1%以上下がった月で、その月の値動きを比べています。長期金利が上がった20か月では、銀行株は18回上昇し、平均+5.3%でした。一方、日経平均は平均−0.6%、REITは平均−1.2%とマイナスでした。

長期金利が上がった月(20か月)ほぼ横ばいの月(32か月)下がった月(5か月)
日経平均−0.6%(上昇8回)+2.9%(上昇24回)+4.2%(上昇4回)
銀行株+5.3%(上昇18回)+2.5%(上昇21回)−4.5%(上昇1回)
REIT−1.2%(上昇8回)+0.3%(上昇18回)+0.2%(上昇4回)
2024年3月19日→2026年10月13日日経平均 +69.4%銀行株 +136.5%REIT −6.0%

※平均は月ごとの値動き(%)の平均。下の行は同じ期間に10年国債の利回りが0.744%→3.019%に上がったあいだの値動き。hiro-fx.comが集計

銀行は、預金で集めたお金を貸し出したり国債で運用したりして利ざやを得ます。金利が上がると利ざやが広がりやすいため、銀行株は長期金利の上昇と同じ向きに動きやすくなります。2024年3月のマイナス金利の解除から2026年10月までに、銀行株のETFは+136%と、日経平均の+69%を大きく上回りました。

反対にREITは、借入で不動産を買う仕組みのため、金利が上がると借入の負担が増えます。分配金の利回りの魅力も国債に比べて薄れるため、売られやすくなります。同じ期間のREITのETFは−6.0%でした。ただし、株価は金利以外の要因でも大きく動くので、長期金利だけで売り買いを決められるものではありません。

ひとことで言うと:長期金利の上昇は「銀行株に追い風、REITに逆風」。株価全体は、金利が上がった理由(景気が良いのか、財政の不安なのか)で変わる

長期金利が上がると景気や住宅ローンはどうなる?

影響を受けるところどうなる
住宅ローン(固定金利・フラット35)長期金利を目安に毎月決まるので、新しく借りる人の金利が上がる
住宅ローン(変動金利)長期金利ではなく、日銀の利上げで上がる
会社の借入・設備投資借りる費用が増え、投資を控えやすくなる
国の財政新しく発行する国債の利払いが増える
景気全体お金を借りて使う動きが鈍り、景気を冷ましやすい

※hiro-fx.com作成

長期金利の上昇は、お金を借りる費用を増やすので、景気にはブレーキになりやすい面があります。住宅ローンでは、固定金利(フラット35など)が長期金利に合わせて毎月見直されるため、新しく借りる人の負担が増えます。毎月のフラット35の金利と長期金利の動きは住宅ローン金利ウォッチで確認できます。

一方、変動金利の住宅ローンは、長期金利ではなく日銀の政策金利の影響を受けます。日銀の利上げで返済額がいつから・いくら増えるかは日銀の利上げで住宅ローンはいつから・いくら上がる?で早見表にしています。

長期金利の上昇に備えて、自分でできること

図2 長期金利の上昇に備えて確かめたい5つ 長期金利が上がると、借りる人は負担が増え、預ける人は受け取りが増える □ 住宅ローンは固定か変動か 固定は長期金利、変動は政策金利に連動。借り換え・新規なら金利のタイプを比べる □ 普通預金に置きっぱなしのお金はないか 定期預金・個人向け国債など、金利が上がる商品と比べる □ 個人向け国債は「変動10年」か「固定」か 変動10年は半年ごとに利率が見直され、長期金利が上がると利率も上がる □ 持っている債券・債券の投資信託 長期金利が上がると値段が下がる。満期まで持つかどうかで影響が違う □ これから入る貯蓄型の保険の予定利率 長期金利の上昇で予定利率が上がる商品がある。既に入った契約は変わらないのが一般的

図: hiro-fx.com作成

長期金利が上がる時期は、お金を「借りる」より「預ける」側が有利になります。普通預金に置いたままのお金があれば、定期預金や個人向け国債と金利を比べてみる価値があります。住宅ローンを借りる予定があるなら、固定と変動の金利の差と、この先の返済額の増え方を確かめておきましょう。

債券や債券の投資信託を持っている場合は、長期金利の上昇で値段が下がることを知っておくことが大切です。国債の値段と金利の関係は国債の含み損はなぜ?金利上昇で値段が下がる仕組みで解説しています。

よくある質問

Q. 長期金利が上がると円高になりますか、円安になりますか?

A. 日米の金利差が縮めば円高の要因になります。ただし、日本の財政への不安で長期金利が上がる場合は、円が売られることもあります。日米の金利差とドル円は日米金利差ウォッチで毎日確認できます。

Q. 長期金利が上がると、すぐに普通預金の金利も上がりますか?

A. すぐには上がりません。普通預金は主に日銀の政策金利に合わせて動くためです。長期金利の影響が出やすいのは、期間の長い定期預金や個人向け国債です。

Q. 長期金利が上がると、持っている個人向け国債は損をしますか?

A. 個人向け国債は、発行から1年たてば国に買い取ってもらえ、元本は割れません(直前2回分の利子相当額は差し引かれる)。値段が下がって損をする普通の債券とは違います。

Q. 長期金利が上がると、日本の株価は下がりますか?

A. 一概には言えません。当サイトの集計では、長期金利が上がった月の日経平均は平均でわずかなマイナスでしたが、20回中8回は上昇していました。景気が良くて金利が上がるときは、株価も上がることがあります。

まとめ:預ける人に追い風、借りる人に向かい風

  • 長期金利が上がると、預金や個人向け国債の金利は上がり、住宅ローンの固定金利や会社の借入の負担は増える
  • 個人向け国債の変動10年は「10年国債の利回り×0.66」。2026年10月募集分は年2.05%
  • 貯蓄型の保険は予定利率が上がることがある。すでに入っている契約はふつう変わらない
  • 長期金利が上がった月(2022年以降の20か月)の銀行株は18回上昇・平均+5.3%、REITは平均−1.2%
  • 景気にはブレーキになりやすく、国の利払いも増える。株価全体への影響は上がった理由しだい

長期金利と政策金利の最新の動きは日銀ウォッチで確認できます。

※この記事の情報は2026年10月15日時点のものです。主な出典: 財務省「国債金利情報」「個人向け国債」(2026年10月7日発表)、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行(普通預金金利の改定)、かんぽ生命(一時払終身保険の保険料率の改定)。株価・ETFはYahoo!ファイナンスの日足をもとにhiro-fx.comが集計しました。過去の値動きは将来の値動きを示すものではありません。この記事は投資を勧めるものではありません。