長期金利はなぜ上がる?3%は約30年ぶり、5つの理由とどこまで上がるか

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こんな疑問を持つ方へ
  • 長期金利はなぜ上がっているの?財政悪化や高市政権の影響は?
  • 3%は何年ぶり?どれくらい高いの?
  • 長期金利はどこまで上がる?2026年以降の見通しは?
  • 長期金利が下がるのはどんなとき?住宅ローンや預金はどうなる?

長期金利が上がるのは、日銀の利上げ予想・物価の上昇・国の財政への不安・国債の買い手の減少・海外の金利の上昇が重なるためです。2026年9月1日には新発10年国債の利回りが一時3%をつけ、約30年ぶりの高い水準になりました。この記事では、財務省と日銀のデータをhiro-fx.comが集計しました。上がる理由と、政策金利との差から見た「どこまで上がるか」の目安を解説します。

長期金利が上がる理由は5つ

図2 長期金利が上がる5つの理由 長期金利=将来の短期金利の予想+上乗せ分。どちらかが増えると上がる ▲ ① 日銀の利上げが続きそうだ 将来の短期金利の予想が上がる。2026年は9月の利上げの前から織り込まれた ▲ ② 物価が上がっている(インフレ) 物価が上がると、お金を長く貸す人はより高い金利を求める ▲ ③ 国の財政への不安 借金が増えそう・減税の財源がない、と見られると国債が売られる ▲ ④ 国債を買う人が減った 日銀が国債の買い入れを減らし、保有は2024年2月の600.8兆円から減少 ▲ ⑤ 海外の金利が上がった 米国や欧州の長期金利の上昇が、日本の国債の売りにつながる

図: hiro-fx.com作成

長期金利(10年国債の利回り)は、「この先10年の短期金利の予想」と「長く貸す不安に対する上乗せ分」の2つでできています。日銀の利上げ予想は前者を、物価や財政の不安、国債の買い手の減少は後者を大きくします。どちらかが増えると、国債が売られて値段が下がり、利回り(長期金利)が上がります。

2024年からの上昇では、このすべてが同じ方向に働きました。日銀は2024年3月にマイナス金利を解除してから利上げを続け、同じ年の7月からは国債の買い入れを段階的に減らしています。日銀の国債の保有額は、2024年2月の600.8兆円から2026年9月には504.0兆円に減りました。最大の買い手が買う量を減らしたぶん、ほかの投資家がより高い利回りを求めるようになっています。

財政悪化で長期金利が上がるのはなぜ?

国の借金が増えると、国債がたくさん発行され、売りたい人が増えます。また「この先も借金が増え続けるのでは」という不安があると、投資家は国債を買う見返りとして高い利回りを求めます。どちらも国債の値段を下げ、長期金利を押し上げます。特に、20年・30年などのより長い国債ほど、財政の不安の影響を受けやすいと言われます。

2026年に長期金利が3%台になった理由(高市政権の財政・利上げ観測)

時期出来事10年国債の利回り
2026年6月16日日銀が政策金利を1.0%に引き上げ2.655%
2026年7月30日〜31日円買い介入(31日は日米の協調介入と報道)。日銀の早期利上げ観測が強まる2.801%
2026年8月政府が飲食料品の消費税率を2年に限り1%に下げる方針。代わりの財源は示されていないと報道2.943%(8月31日)
2026年9月1日新発10年国債が一時3%。1996年10月以来、約30年ぶり(報道)2.987%
2026年9月18日日銀が政策金利を1.25%に引き上げ2.981%
2026年10月7日2026年の最高(財務省のデータ)3.111%

※利回りは財務省「国債金利情報」の10年(その日の終わりの値)。出来事は日本銀行の公表文、共同通信などの報道をもとにhiro-fx.com作成

共同通信などの報道によると、2026年9月の上昇の主な材料は、高市政権の積極的な財政への懸念でした。政府は8月に飲食料品の消費税率を下げる方針を決めましたが、10兆円近い税収減の代わりの財源は示していないと伝えられています。2027年度予算の概算要求も、過去最大の143兆円前後に膨らむ見通しです。

同じ時期に、日銀の利上げ観測も強まりました。7月末の円買い介入のあと、米国の財務長官が日本の利上げの重要性に触れたことも、早めの利上げの見方を後押ししたと報じられています。中東の情勢による原油高や、欧米の長期金利の上昇も重なりました。

3%は何年ぶり?

報道では、2026年9月1日の一時3%は1996年10月以来、約30年ぶりです。財務省のデータ(その日の終わりの値)では、3%台は2026年9月2日の3.006%が最初で、1996年9月6日以来でした。2026年の最高の3.111%(10月7日)も、1996年8月27日以来の高さです。

【データ】長期金利は政策金利より何%高い?どこまで上がるかの目安

図1 長期金利(10年国債)と政策金利(無担保コール翌日物) 1998年1月〜2026年10月・週ごと。2本の線の間が「上乗せ分」 長短金利操作 −0.5% 0% 0.5% 1% 1.5% 2% 2.5% 3% 3.5% 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 10年国債 3.03% 政策金利 1.23%

図: 日本銀行(無担保コール翌日物の平均)と財務省(10年国債の利回り)のデータを週ごとに並べてhiro-fx.com作成。1998年1月〜2026年10月9日

長期金利と政策金利の差(上乗せ分)を時期ごとに比べました。日銀が長期金利に目標を置いていなかった1998〜2008年の中央値は1.37%です。マイナス金利の解除後(2024年3月〜)は1.05%、2026年だけでは1.77%でした。2026年は、財政の不安などで上乗せ分が過去より大きくなっています。

日銀の政策金利上乗せ1.05%(2024年3月〜の中央値)上乗せ1.37%(1998〜2008年の中央値)上乗せ1.77%(2026年の中央値)
1.25%2.3%2.6%3.0%
1.50%2.5%2.9%3.3%
1.75%2.8%3.1%3.5%
2.00%3.0%3.4%3.8%

※政策金利に、過去の時期ごとの「10年国債の利回り−無担保コール翌日物」の中央値を足した目安。週ごとのデータ(日本銀行・財務省)からhiro-fx.comが計算。予想ではない

この表は「政策金利がここまで上がり、上乗せ分が過去のどの時期くらいなら、長期金利はこのくらい」という目安です。たとえば日銀が政策金利を1.75%まで上げ、上乗せ分が2026年並みの1.77%なら、長期金利は約3.5%になります。上乗せ分が1998〜2008年並みに縮めば、約3.1%です。

ひとことで言うと:長期金利がどこまで上がるかは、日銀がどこまで利上げするかと、財政の不安などの上乗せ分の大きさの2つで決まる

長期金利の見通しは?2026年末以降の予想

出しているところ見通し時点
三井住友DSアセットマネジメント10年国債の利回りは2026年末に3.0%、年内の上振れは3.3%まで2026年9月1日
大和総研2030年に3.1〜3.4%程度、2035年に3.3〜4.0%程度(海外の投資家の保有が増えればさらに上がる可能性も指摘)2026年8月12日

※各社の公表資料による。2026年3月ごろの予想は東洋経済の報道による。見通しは公表した時点のもので、その後の情勢で変わる

専門家の見通しは、2026年末で3%前後、より長い先で3〜4%程度とするものがあります。ただし、2026年3月ごろの債券の専門家の予想は、年末で1.7〜2.55%と報じられており、実際の長期金利はそれを上回りました。見通しは前提が変わると大きく外れるので、1つの数字だけで判断しないことが大切です。

この先の材料は、日銀の会合での利上げの判断、政府の予算と財源の示し方、米国の長期金利です。2026年中の日銀の会合は、10月29日・30日と12月17日・18日に予定されています。日銀の政策金利と10年国債の利回りは日銀ウォッチで毎日更新しています。

長期金利が下がるのはどんなとき?(低下の理由)

下がるきっかけなぜ下がる
景気の悪化・株価の急落安全な資産として国債が買われる。利上げの予想も遠のく
日銀が利上げを急がない姿勢を見せる将来の短期金利の予想が下がる
物価の上昇が落ち着く長く貸すときに求める金利が下がる
財政の不安が和らぐ(財源が示されるなど)上乗せ分が縮む
海外の金利の低下米国債などの利回りが下がると、日本の国債も買われやすい

※hiro-fx.com作成

長期金利が下がるのは、上がる理由の逆が起きたときです。特に、景気の悪化や株価の急落が起きると、安全な資産として国債が買われ、長期金利は短い期間で大きく下がることがあります。日本では1998年や2003年、2016年に、長期金利が当時の最低まで下がりました。

長期金利の上昇で、自分のお金はどうなる?

身近なお金長期金利が上がると
固定金利の住宅ローン(フラット35など)新しく借りる人の金利が上がりやすい
変動金利の住宅ローン長期金利ではなく政策金利の利上げで上がる
定期預金・個人向け国債金利が上がりやすい
すでに持っている債券・債券の投資信託値段が下がる
為替(ドル円)日米の金利差が縮めば円高、財政の不安なら円安になることもある

※hiro-fx.com作成

長期金利の上昇は、お金を借りる人には負担、預ける人には追い風です。住宅ローンの固定金利と長期金利の関係は住宅ローン金利ウォッチで、毎月の金利と比べて見られます。債券の値下がりのしくみは国債の含み損はなぜ?で解説しています。

為替では、日本の長期金利が上がっても、上がった理由が財政の不安なら円が売られることがあります。日米の金利差とドル円の動きは日米金利差ウォッチで確認できます。

よくある質問

Q. 長期金利が上がると、日本は財政破綻するのですか?

A. すぐにそうなるとは言えません。日本の国債の多くは国内で持たれており、金利の上昇が利払いの増加に効くまでには時間がかかります。ただし、金利の上昇が続けば国の利払いは増え、予算を圧迫します。

Q. 高市政権になってから長期金利が上がったのはなぜですか?

A. 報道では、積極的な財政で国債の発行が増えることへの警戒が大きいとされています。2026年8月の消費税率の引き下げ方針で、代わりの財源が示されていないことも材料になりました。日銀の利上げ観測や海外の金利の上昇も同時に起きています。

Q. 長期金利3%は高いのですか?

A. 1986年以降の日本の10年国債の利回りの平均(財務省のデータ)は約2.1%で、1990年には8%を超えていました。歴史の中では極端に高いわけではありませんが、約30年ぶりの水準です。

Q. 長期金利が上がると円高になりますか?

A. 日米の金利差が縮むので円高の要因になりえますが、2026年のように財政の不安で上がる場合は、円が売られることもあります。上がった理由で向きが変わります。

まとめ:利上げ予想と財政の不安が重なって長期金利が上昇

  • 長期金利が上がる理由は、日銀の利上げ予想・物価・財政への不安・国債の買い手の減少・海外金利の5つ
  • 2026年9月の3%台は、高市政権の財政への懸念と利上げ観測が重なった(報道)。3%台は1996年以来
  • 日銀の国債保有は2024年2月の600.8兆円から2026年9月の504.0兆円に減った
  • 長期金利と政策金利の差は2026年の中央値で1.77%。政策金利+上乗せ分がどこまで上がるかの目安
  • 景気の悪化や利上げ観測の後退、財政の不安の緩和で、長期金利は下がる

長期金利と政策金利の最新の動きは日銀ウォッチで確認できます。

※この記事の情報は2026年10月15日時点のものです。主な出典: 財務省「国債金利情報」、日本銀行(金融政策決定会合の公表文・時系列統計データ)、共同通信(2026年9月1日)、三井住友DSアセットマネジメント「市川レポート」(2026年9月1日)、大和総研(2026年8月12日)。データはhiro-fx.comが集計しました。この記事は投資を勧めるものではありません。