長期金利とは?10年国債の利回りの決まり方と政策金利との違い

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こんな疑問を持つ方へ
  • 長期金利とは何?何年の金利のこと?
  • 長期金利は誰が決めるの?国債とどういう関係?
  • 短期金利・政策金利(利上げ)とはどう違う?
  • ニュースの「長期金利が上昇」は自分の住宅ローンや預金に関係ある?

長期金利とは、期間が1年を超えるお金の貸し借りの金利のことです。ニュースで「長期金利」と言うときは、ふつう新しく発行された10年国債の利回りを指します。日銀が決める政策金利と違い、国債の売り買いで市場が決めるのが特徴です。この記事では、財務省の国債金利のデータ(1974年〜)をhiro-fx.comが集計しました。決まり方や短期金利・政策金利との違いを、図と表で解説します。

長期金利とは?10年国債の利回りのこと

短期金利長期金利
期間1年以内1年を超える
代表的な金利無担保コール翌日物(日銀の政策金利)新発10年国債の利回り
主に決めるもの日銀の金融政策国債の売り買い(市場)
関係が深い身近なもの変動金利の住宅ローン・普通預金固定金利の住宅ローン・定期預金・個人向け国債

※日本銀行・財務省の説明をもとにhiro-fx.com作成

金利は、お金を貸し借りする期間の長さで「短期金利」と「長期金利」に分けられます。境目は1年で、1年以内が短期、1年を超えると長期です。

長期金利にも2年・5年・20年など多くの年限がありますが、指標として使われるのは10年国債の利回りです。10年国債は発行額が多く、毎日たくさん売り買いされるため、値段(利回り)がはっきり決まるからです。ニュースの「長期金利が◯%に上昇」は、この10年国債の利回りのことだと考えてかまいません。

「長期金利は何年?」の答え

定義の上では「1年を超える期間」すべてが長期金利です。そのうえで、ふだん「長期金利」と一つの数字で言うときは10年、20年・30年・40年は「超長期金利」と呼び分けることもあります。

長期金利と国債の関係:値段が下がると利回りが上がる

国債を買った値段1年後に受け取るお金もうけ利回り
99円101円2円約2.0%
100円101円1円1.0%
101円101円0円0%

※額面100円・利率1%・残り1年の国債の例(税金・手数料は考えない)。hiro-fx.com作成

国債の利回りとは、国債を買って満期まで持ったときに、1年あたり何%のもうけになるかを表す数字です。満期に受け取るお金は決まっているので、安く買えるほど利回りは高くなります。上の例では、同じ国債でも99円で買えば利回りは約2.0%、101円で買えば0%です。

そのため、国債が売られて値段が下がると利回り(長期金利)が上がり、買われて値段が上がると利回りは下がります。「長期金利の上昇」と「国債の値下がり」は、同じことを別の面から言っているだけです。金利が上がると日銀や銀行が持つ国債に含み損が出るのも、このしくみによります。

あわせて読みたい:国債の含み損はなぜ?金利上昇で値段が下がる仕組みと日銀の45兆円

長期金利は誰が決める?決まり方のしくみ

図1 長期金利(10年国債の利回り)が決まるしくみ 長期金利は日銀が直接決めるのではなく、国債の売り買いの結果として決まる ①将来の短期金利の予想 日銀がこの先 利上げしそうか (10年分の平均) → ②上乗せ分 物価・財政の不安 長く貸す不確かさ (タームプレミアム) → ③国債の売り買い 銀行・保険・海外勢 日銀の買い入れ 国の発行の量 → ④利回りが決まる 売られる=値段↓ 利回り↑ 買われる=利回り↓

図: hiro-fx.com作成

長期金利は、誰か一人が決めるものではありません。銀行・生命保険会社・海外の投資家などが国債を売り買いし、その値段から利回りが決まります。国債の取引は、主に証券会社や銀行どうしの市場で行われます。

売り買いのもとになるのは、大きく2つです。1つは「この先10年、短期金利(日銀の政策金利)がどのくらいになりそうか」という予想で、利上げが続きそうなら長期金利も上がります。もう1つは上乗せ分(タームプレミアム)で、物価が上がりそう、国の借金が心配、といった長く貸す不安が強いほど大きくなります。

日銀は長期金利を決められる?

日銀が直接決めるのは短期金利です。ただし日銀は国債を大量に買い入れることで、長期金利にも影響します。2016年9月から2024年3月までは「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」という枠組みでした。10年国債の利回りを0%程度に抑える目標を置いていたのです。2024年3月にこの枠組みをやめ、長期金利は再び市場で決まる度合いが強くなっています。

長期金利と短期金利・政策金利の違い(利上げとの関係)

2024年3月19日2026年10月13日変化
日銀の政策金利−0.1%→0〜0.1%(マイナス金利を解除)1.25%(2026年9月18日から)約+1.3%
1年国債の利回り(短期に近い)0.060%1.657%+1.60%
10年国債の利回り(長期金利)0.744%3.019%+2.28%
30年国債の利回り(超長期)1.772%4.064%+2.29%

※国債の利回りは財務省「国債金利情報」、政策金利は日本銀行の公表文。hiro-fx.comが集計

政策金利は、日銀が金融政策決定会合で決める短期金利の目標です。2026年10月時点の政策金利は無担保コール翌日物(銀行どうしが1日だけお金を貸し借りする金利)です。日銀は、これが1.25%程度で推移するよう促しています。一方、長期金利は国債の売り買いで決まる市場の金利で、日銀の会合で決まるものではありません。

それでも、利上げと長期金利は深く関係しています。日銀は2024年3月のマイナス金利の解除から2026年9月までに6回利上げしました。そのあいだに10年国債の利回りは0.744%から3.019%へ上がりました。利上げが続くという予想が、先回りして長期金利に織り込まれるためです。逆に「利上げはもう終わり」と見られると、政策金利が高いままでも長期金利は下がることがあります。

あわせて読みたい:日銀はなぜ利上げしない?遅い理由と「できない」説を日銀の決算で確認

【データ】利回り曲線で見る長期金利と短期金利、逆イールド

図2 日本の国債の利回り曲線(年限ごとの利回り) 横軸=お金を貸す期間(国債の年限)。ふつうは期間が長いほど利回りが高い。財務省「国債金利情報」 −1% 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 1年 2年 3年 5年 7年 10年 15年 20年 30年 40年 1990年9月(逆イールド) 2016年7月(マイナス金利) 2025年10月(1年前) 2026年10月(最新)

図: 財務省「国債金利情報」(1990年9月27日・2016年7月27日・2025年10月14日・2026年10月13日)をもとにhiro-fx.com作成。1990年は30年・40年、2016年以前は一部の年限のデータがない

年限ごとの利回りを線で結んだものを「利回り曲線(イールドカーブ)」と言います。ふつうは、長く貸すほど不確かさが増えるぶん、期間が長いほど利回りが高い右上がりの形です。2026年10月13日は、1年1.657%・10年3.019%・30年4.064%と、きれいな右上がりでした。1年前と比べると、曲線全体が1%前後上に動いています。

2016年7月はマイナス金利の時期で、10年でも-0.297%とマイナスでした。反対に1990年9月は、1年8.572%が10年8.078%を上回る右下がりの形です。これを逆イールドと呼び、短期金利が急に引き上げられたときや、市場が先の景気悪化と利下げを予想しているときに起きます。

年1年物が10年物を上回った日その年のデータの日数
1989年108日249日
1990年246日246日
1991年169日246日
2019年8日241日

※財務省「国債金利情報」の1年と10年の利回りを比べた。10年のデータがある1986年7月〜2026年10月13日。hiro-fx.comが集計

日本で1年物の利回りが10年物を上回ったのは、バブル期の利上げが続いた1989〜1991年が中心です。ほかには、世界的な金利の低下で10年物が下がった2019年8〜9月の8日だけで、差も0.03%未満のわずかなものでした。米国では2022年から2024年にかけて2年物が10年物を上回る状態が長く続き、景気後退の前ぶれではないかと注目されました。

長期金利と長期プライムレートの違い

長期金利長期プライムレート(長プラ)
何の金利10年国債の利回り(市場で決まる)銀行が信用の高い企業に1年を超えて貸すときの金利
誰が決める国債の売り買い各銀行(みずほ銀行などが毎月見直し)
変わる頻度毎日・取引の時間中ずっと月1回程度
水準の例3.019%(2026年10月13日・財務省)年3.25%(みずほ銀行・2026年8月12日から)

※長期プライムレートはみずほ銀行の公表による。最新の値は各銀行の発表で確認できる

長期プライムレートは、銀行が優良な企業に長く貸すときの基準の金利です。市場で決まる長期金利そのものではありませんが、銀行は長期金利の動きを見て毎月見直します。そのため、長期金利が上がると長期プライムレートも遅れて上がりやすくなります。みずほ銀行は2026年8月に長期プライムレートを0.1%上げて年3.25%とし、約30年ぶりの高い水準と報じられました。

長期金利が上がると、身近なお金はどう変わる?

身近なお金長期金利が上がると理由
固定金利の住宅ローン(フラット35など)上がりやすい銀行は長期金利を目安に、毎月の固定金利を決める
変動金利の住宅ローンすぐには変わらない短期金利(政策金利)に連動する。利上げで上がる
定期預金・個人向け国債金利が上がりやすい国債の利回りが上がると、預け先の金利も上げやすい
為替(ドル円)円高・円安のどちらもある日米の金利差の変化や、上がった理由で向きが変わる

※hiro-fx.com作成。影響の出方は商品や時期によって違う

長期金利は、固定金利の住宅ローンや定期預金の金利の目安になります。たとえば住宅ローンのフラット35の金利は、長期金利(10年国債の利回り)と近い動きをします。毎月の金利と長期金利の動きは住宅ローン金利ウォッチで見られます。

一方、変動金利の住宅ローンは短期金利の側に連動するので、長期金利が上がってもすぐには変わりません。日銀の利上げとの関係は日銀の利上げで住宅ローンはいつから・いくら上がる?で解説しています。為替では、日本の長期金利だけでなく米国の長期金利との差が大切で、日々の差は日米金利差ウォッチで確認できます。

よくある質問

Q. 長期金利の最新の値はどこで見られますか?

A. 財務省「国債金利情報」で、年限ごとの利回りが毎営業日に公表されています。当サイトの日銀ウォッチでも、10年国債の利回りと政策金利の推移を見られます。

Q. ニュースの長期金利と財務省の数字が少し違うのはなぜですか?

A. ニュースの長期金利は、新しく発行された10年国債の取引の利回り(日本相互証券などの値)を使うことが多いためです。財務省の数字は年限ちょうどの利回りを計算したもので、小さな差が出ることがあります。

Q. 長期金利がマイナスになるとはどういう意味ですか?

A. 国債を満期まで持つと、受け取るお金より高い値段で買っていることになり、損になる状態です。日本では日銀の大規模な国債の買い入れとマイナス金利のもとで、2016年などに10年国債の利回りがマイナスになりました。

Q. 長期金利と短期金利、どちらが高いのがふつうですか?

A. 長期金利のほうが高いのがふつうです。長く貸すほど物価や景気の不確かさが大きいためで、短期のほうが高い状態は「逆イールド」と呼ばれる珍しい形です。

まとめ:長期金利は国債の売り買いで決まる10年の金利

  • 長期金利は期間1年を超える金利で、ふつうは新発10年国債の利回りを指す
  • 国債の値段が下がると利回り(長期金利)が上がる。両者はシーソーの関係
  • 決めるのは国債の売り買い。将来の利上げの予想と、物価・財政などの上乗せ分で動く
  • 政策金利は日銀が決める短期金利。利上げの予想は先回りして長期金利に織り込まれる
  • 日本の10年国債の利回りは2026年10月13日に3.019%(財務省)。逆イールドは1989〜1991年などに限られる

長期金利と政策金利の動きは日銀ウォッチ、日米の長期金利の差は日米金利差ウォッチで毎日更新しています。

※この記事の情報は2026年10月15日時点のものです。主な出典: 財務省「国債金利情報」、日本銀行(金融政策決定会合の公表文・イールドカーブ・コントロール)、みずほ銀行(長期プライムレート)。利回りのデータはhiro-fx.comが集計しました。この記事は投資を勧めるものではありません。