※記事内に広告を含む場合があります
- CPIの総合・コア・コアコアは何が違うの?
- なぜ生鮮食品やエネルギーを除いて計算するの?
- 米国の「コアCPI」と日本の「コアCPI」は同じもの?
- スーパーコア・ヘッドラインって何?どれを見ればいい?
CPI(消費者物価指数)の総合はすべての品目、コアは生鮮食品を除いたもの、コアコアは生鮮食品とエネルギーを除いたものです。天候や原油価格で大きく上下する品目を除くと、物価の大きな流れ(基調)が見やすくなるためです。ただし、米国でいう「コアCPI」は食料とエネルギーを除いたもので、日本のコアとは中身が違います。この記事では、総務省・米労働省の公表データをhiro-fx.comが集計し、総合とコアが実際にどれくらい離れるのかも確かめます。
CPIの総合・コア・コアコアの違い
| 呼び名 | 正式な名前 | 除くもの | ウエイト(1万分比) | 2026年8月の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 総合(ヘッドライン) | 総合 | なし(すべての品目) | 10,000 | +1.9% |
| コア | 生鮮食品を除く総合 | 生鮮食品(魚介・野菜・果物) | 9,621 | +1.7% |
| コアコア | 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 生鮮食品+エネルギー(電気・ガス・灯油・ガソリンなど) | 8,872 | +1.9% |
| 欧米型コア | 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合 | 食料すべて+エネルギー | 6,609 | — |
※総務省統計局「消費者物価指数(2025年基準)」。ウエイトは家計の支出に占める割合で、生鮮食品は379、エネルギーは749
日本のCPIは、総務省統計局が毎月発表しています。ニュースで「物価が◯%上がった」と言うときは、総合かコアのどちらかを指すことがほとんどです。日銀は物価の見通しを「生鮮食品を除く総合」で示しているため、日本ではコアが最もよく使われます。
コアコアは、生鮮食品に加えてエネルギーも除いた指数です。家計の支出のうち、生鮮食品は約4%、エネルギーは約7.5%しかありませんが、この2つは値段の上下が大きいため、総合の数字を大きく動かします。
なぜ生鮮食品を除く?天候で値段が大きく動くから
| 総合 | コア(生鮮食品を除く) | 差(生鮮食品の影響) | |
|---|---|---|---|
| 2025年1月 | +4.0% | +3.2% | +0.8ポイント |
| 1974年2月(1971年以降で最大) | — | — | +2.1ポイント |
| 1992年11月(1971年以降で最小) | — | — | −1.4ポイント |
※総務省統計局「消費者物価指数(2025年基準)」の前年同月比をhiro-fx.comが集計。2025年基準に改定された値のため、発表当時の値と0.1ポイントほど違う月がある
生鮮食品を除くのは、野菜・果物・魚の値段が天候や不漁で大きく上下するからです。台風や猛暑で野菜が高くなっても、しばらくすると元に戻ることが多く、物価全体の流れとは関係のない一時的な動きになります。
たとえば2025年1月は、天候不順でキャベツなどの野菜が高騰し、生鮮食品が前年比21.9%上がりました(発表当時の2020年基準)。このため総合は4.0%でしたが、生鮮食品を除いたコアは3.2%でした。コアを見れば、野菜の高騰を除いた物価の伸びが分かります。
なぜエネルギーも除く?原油価格や補助金で動くから
| コア | コアコア | エネルギー | できごと | |
|---|---|---|---|---|
| 2008年8月 | +2.4% | +1.1% | +17.0% | 原油の高騰 |
| 2009年7月 | −2.2% | −0.6% | −17.5% | 金融危機後の原油の急落 |
| 2023年1月 | +4.2% | +3.2% | +14.6% | 円安と資源高 |
| 2026年1月 | +1.9% | +2.5% | −5.1% | ガソリン税の暫定税率の廃止・電気ガス代の支援 |
※総務省統計局「消費者物価指数(2025年基準)」の前年同月比
エネルギーを除くのは、ガソリンや電気代が原油価格・為替・政府の補助金で大きく動くからです。これらは国内の需要や賃金の動きとは別の理由で上下するため、除いたほうが「物価が持続的に上がっているか」を判断しやすくなります。
2026年1月は、ガソリン税の暫定税率が2025年12月31日に廃止されたことなどで、エネルギーが前年比で5.1%下がりました。コアは1.9%まで下がりましたが、エネルギーを除いたコアコアは2.5%で、物価の基調は2%台を保っていたことが分かります。政策で物価が上下する時期ほど、コアコアの意味が大きくなります。
日米で「コア」の意味が違う:米国のコアCPIは日本のコアコアに近い
| 日本 | 米国 | |
|---|---|---|
| 発表する機関 | 総務省統計局 | 米労働省労働統計局(BLS) |
| 総合(ヘッドライン) | すべての品目 | すべての品目(All items) |
| 「コア」と呼ぶもの | 生鮮食品を除く | 食料とエネルギーを除く(All items less food and energy) |
| 日本の指数でいうと | — | 「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」が最も近い |
| 発表時刻(日本時間) | 午前8時30分 | 夏は午後9時30分、冬は午後10時30分 |
| 中央銀行が重視する物価 | 日銀は生鮮食品を除く総合で見通しを示す | FRBの目標はCPIではなくPCE(個人消費支出)の物価 |
※総務省統計局、米労働省労働統計局、日本銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)の公表資料をもとに作成
同じ「コアCPI」でも、日本は生鮮食品だけを除き、米国は食料全体とエネルギーを除きます。米国のコアは、日本でいえばコアコアよりもさらに食料を広く除いた「欧米型コア」に近い指数です。ニュースで日米のコアを並べて比べるときは、中身が違う点に注意が必要です。
ヘッドライン・スーパーコアとは
ヘッドラインは総合のことで、見出し(headline)に使われる数字という意味です。スーパーコアは、米国で使われる言葉で、コアのうちサービスの物価から住居費を除いたものを指します。人件費の影響を受けやすいサービスの値段の動きを見るために、FRBのパウエル議長(当時)が2022年ごろから注目したことで広まりました。日本では公式の指数としては使われていません。
【データ】総合・コア・コアコアは実際どれくらい離れる?
日本:2023年2月からはエネルギーが物価を押し下げる側に
図: 総務省統計局「消費者物価指数(2025年基準)」の前年同月比(e-Statのデータをくらしデータ kurashi-data.com で取得)をhiro-fx.comが作図
1971年1月から2026年8月までの668か月を調べました。総合とコアが0.5ポイント以上離れた月は159か月、コアとコアコアが1ポイント以上離れた月は74か月ありました。2000年以降の320か月に限ると、それぞれ31か月と44か月で、最近はエネルギーによる差のほうが大きくなりやすいことが分かります。
図1では、2023年1月まではコア(青)がコアコア(橙)より上にあり、エネルギーの値上がりが物価を押し上げていました。2023年2月からは逆にコアがコアコアより下になり、政府の電気・ガス代の支援などでエネルギーが物価を押し下げています。2026年2月はコア1.5%、コアコア2.4%で、0.9ポイントの差でした。2026年8月は総合1.9%、コア1.7%、コアコア1.9%でした。
米国:総合とコアの差は最大3.6ポイント
図: 米労働省労働統計局(BLS)の「All items」「All items less food and energy」(季節調整前・米国都市平均)の前年同月比をhiro-fx.comが計算・作図
米国では、2007年以降で総合とコアの差が最も大きかったのは2009年7月の3.6ポイントです。総合が−2.1%、コアが+1.5%で、原油の急落で総合だけがマイナスになりました。2022年6月は総合が9.1%まで上がった一方、コアは5.9%で、差は3.2ポイントでした。
2026年8月は総合3.4%、コア2.4%で、総合がコアを1ポイント上回っています。エネルギーの値上がりで総合が押し上げられている状態で、FRBが物価の基調を判断するうえでは、総合よりもコアの動きが重視されます。
FXで見るならどれ?ニュースでの使われ方
FXで影響が大きいのは米国のCPIです。米国のCPIは日本時間の夜に発表され、とくにコアの前月比が市場の予想とずれると、ドル円が短時間で大きく動くことがあります。総合がエネルギーで上振れしても、コアが予想どおりなら反応が限られることもあります。
日本のCPIは朝8時30分の発表で、ドル円への影響は米国のCPIほど大きくありません。ただ、日銀の利上げを予想するうえで、コアとコアコアの伸びは重要な材料になります。次の発表日時はFXイベントカレンダーで、過去の発表でドル円がどう動いたかは経済指標データベースで確認できます。
よくある質問
Q. 日銀が目標にしている2%は、総合とコアのどちらですか?
A. 日銀の物価安定の目標は「消費者物価の前年比上昇率2%」で、指数は総合です。ただし、見通しは生鮮食品を除く総合(コア)などで示しており、判断ではコアやコアコアも重視しています。
Q. コアとコアコア、どちらが物価の実態に近いですか?
A. 目的によります。生活の実感に近いのはエネルギーを含むコアや総合です。賃金や需要による持続的な物価の上昇を見るには、エネルギーを除くコアコアが向いています。
Q. 「新コアコア」とは何ですか?
A. 日本では、生鮮食品及びエネルギーを除く総合を「新コアコア」と呼ぶことがあります。その場合、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合を「コアコア」と呼びます。呼び方は報道や機関によって違うので、正式な名前で確認すると確実です。
Q. 米国のCPIは前年比と前月比のどちらが大事ですか?
A. 前年比は1年間の物価の伸び、前月比は直近1か月の勢いです。市場は直近の勢いを表す前月比、とくにコアの前月比と予想の差に反応しやすいとされます。
あわせて読みたい:経済指標でドル円はどれくらい動く?直近32回の発表を実データでランキングにした
まとめ:コアは生鮮食品を、コアコアはエネルギーも除いた物価
- 総合はすべての品目、コアは生鮮食品を除く、コアコアは生鮮食品とエネルギーを除いた物価。2026年8月は総合1.9%、コア1.7%、コアコア1.9%
- 生鮮食品は天候で、エネルギーは原油・為替・補助金で大きく動くため、除くと物価の基調が見やすくなる
- 日本でコアとコアコアが1ポイント以上離れた月は1971年以降で74か月。2023年2月以降は補助金などでおおむねコアのほうが低い
- 米国の「コアCPI」は食料とエネルギーを除いたもので、日本のコアとは中身が違う。日本の欧米型コアに近い
- FXでは米国のコアの前月比が注目されやすい。日本ではコアが日銀の見通しと同じ指数
※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。主な出典: 総務省統計局「消費者物価指数(2025年基準)」「2025年基準消費者物価指数の解説」、米労働省労働統計局(BLS)「Consumer Price Index」、日本銀行「経済・物価情勢の展望」。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資を勧めるものではありません。投資はご自身の判断で行ってください。

