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- 円安の原因は何?金利差のせいなの?
- 日銀が利上げしたのに、円安が止まらないのはなぜ?
- 新NISAやデジタル赤字も円安の原因って本当?
- 円安はいつまで続く?360円まで戻ることはある?
円安の主な原因は、日米の金利差、貿易・デジタル関連の赤字、新NISAなど家計の海外投資、投機筋の円売り(キャリートレード)の4つです。ただし2025年以降は日米の金利差が縮んでも円安が続いており、金利差だけでは説明できなくなっています。この記事では、財務省・日銀の公表データをhiro-fx.comが集計しました。その数字で、円安が止まらない理由と、過去の円安局面の長さを確かめます。
円安の原因は主に4つ:金利差・貿易赤字・海外投資・投機
| 原因 | 円安になる理由 | 2026年の状況 |
|---|---|---|
| 日米の金利差 | 金利の高いドルで持つほうが利息が多いので、円を売ってドルを買う人が増える | 政策金利は日本1.25%、米国3.75〜4.00%(2026年9月時点) |
| 貿易・サービスの赤字 | 輸入やネットサービスの支払いで、円を売ってドルなどを買う | 2025年はデジタル関連で約6.6兆円の支払い超過 |
| 家計の海外投資 | 外国株の投資信託を買うと、運用会社が円を売って外貨を買う | 財務省統計で確認できる海外株式投資の流出は2024年11.5兆円、2025年9.0兆円 |
| 投機の円売り | 金利の低い円を借りて売り、高い通貨で運用する(キャリートレード) | 2026年7月は投機筋の円売りが16万枚超まで膨らんだ |
※日銀・FRBの発表、総務省「情報通信白書(令和8年版)」、財務省の統計を第一生命経済研究所が集計した値(2026年7月7日公表のレポート)、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細をもとに作成
為替レートは、円を売りたい人と買いたい人の量で決まります。円安とは、円を売ってドルなどを買う動きが、その反対より多い状態です。4つの原因は、どれも「円を売って外貨を買う」理由になっています。
このほか、政府の財政への不安や、日銀が政治に配慮して利上げしにくくなるのではという見方も、円安の理由として挙げられています。ただ、どの原因がどれだけ効いているかは時期によって変わります。2022年から2024年は金利差がよく効いていましたが、2025年以降は金利差以外の要因が目立つようになりました。
円安と金利の関係:金利差が開くとなぜ円安になる?
| 日本円で持つ | 米ドルで持つ | |
|---|---|---|
| 1年間の金利(例) | 1.25% | 3.75% |
| 1,000万円分を1年持つと | 利息 12.5万円 | 利息 37.5万円(為替が動かない場合) |
| 差 | — | ドルのほうが25万円多い |
※政策金利の水準を使った計算例。実際の預金金利・税金・両替手数料は含まない。ドル円が2.5%円高になると、ドルで持つ利点はほぼなくなる
金利差が円安につながるのは、お金が利息の多い通貨に集まりやすいからです。上の例のように、同じ1,000万円分でもドルで持てば利息が多くなります。そのため、機関投資家や企業は円を売ってドルを買い、その動きが円安を進めます。
反対に、日本の金利が上がるか、米国の金利が下がって差が縮めば、円を売る理由が弱まります。「日銀が利上げすれば円高」「FRBが利下げすれば円高」と言われるのはこのためです。ただし、金利差が開いたら必ず円安になるわけではありません。当サイトの20年分の検証では、月単位で向きが一致したのは68.8%でした。
あわせて読みたい:「日米金利差が開けば円安」は本当か?20年分で検証したら月単位では一致率68.8%でした
円キャリートレードとは?円安を速め、巻き戻しで急な円高も起こす
キャリートレードは、金利の低い円を借りて売り、金利の高いドルなどで運用して金利差を稼ぐ取引です。ヘッジファンドなどの投機筋が大きな金額で行うため、円売りが重なると円安が速く進みます。
ただし、相場が逆に動くと一斉に円を買い戻す「巻き戻し」が起き、急な円高になります。2024年7月2日に161.50円だったドル円は、9月24日には142.96円まで下がりました。この間に投機筋は円の買い戻しを進めています(米商品先物取引委員会の集計日の値)。
【データ】円安はなぜ止まらない?金利差が縮んでも円安が続いた
金利差は3.92%から1.73%に縮んだのに、ドル円は149円から162円へ
図: 日本銀行「東京市場 ドル・円 スポット 中心相場/月末」、財務省「国債金利情報」の10年、米国10年国債利回り(Yahoo!ファイナンスの日次終値の月末値)をもとにhiro-fx.comが集計・作図。2019年1月〜2026年9月の93か月
日米10年金利差が最も大きかったのは2023年10月の3.92%で、このときのドル円は月末で149.45円でした。その後、日銀の利上げで日本の10年金利が0.95%から2.69%へ上がり、金利差は2026年6月に1.73%まで縮みました。それでもドル円は162.20円と、逆に円安が進んでいます。
金利差がドル円を引っぱっていた2022年は、金利差の拡大とドル円の上昇がそろって進みました。2025年以降は、金利差が縮む方向なのにドル円は下がらず、2つの線の向きが分かれています。米国の10年金利は2026年9月末で5.29%と高いままです。米国の金利とドル円の連動は保たれている、という分析もあります(第一生命経済研究所、2026年7月)。
投機筋の円売りが巻き戻っても、ドル円は155〜158円台
| 集計日 | 投機筋の円の持ち高 | ドル円 |
|---|---|---|
| 2024年7月2日 | 円売り 184,223枚 | 161.50円 |
| 2024年9月24日 | 円買い 66,011枚 | 142.96円 |
| 2026年7月28日 | 円売り 163,412枚 | 163.86円 |
| 2026年9月15日 | 円買い 120,359枚 | 155.27円 |
| 2026年10月6日 | 円買い 62,325枚 | 158.30円 |
※米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細(非商業部門のネット・毎週火曜集計)をhiro-fx.comのIMMポジション・データベースで集計。ドル円は集計日の値
2024年は、投機筋の円売りの巻き戻しとともにドル円が約18円下がりました。2026年も7月末の円売り163,412枚から、9月15日には円買い120,359枚へと大きく反転しています。しかしドル円は155〜158円台にとどまり、2024年のような大きな円高にはなっていません。
金利差も投機の円売りも弱まったのに円安が続いていることは、それ以外の「円を売る流れ」が大きいことを示しています。次の節で、その中身を見ていきます。最新の金利差・投機筋の持ち高は、日米金利差ウォッチとIMMポジション・データベースで毎日・毎週更新しています。
新NISA・貿易赤字・デジタル赤字は円安の原因?お金の流れで確認
| お金の流れ(2025年) | 金額 | 為替への影響 |
|---|---|---|
| 貿易収支 | 8,487億円の赤字 | 円売り(輸入の支払いが多い) |
| サービス収支 | 3兆3,928億円の赤字 | 円売り |
| うちデジタル関連 | 約6.6兆円の支払い超過 | 円売り(クラウド・広告・ソフトの利用料) |
| うち旅行 | 6兆3,429億円の黒字(過去最大) | 円買い(訪日客の消費) |
| 第1次所得収支 | 41兆5,903億円の黒字 | 円買いのはずだが、海外で再投資される分が多いと言われる |
| 新NISAなどによる海外株式投資 | 9.0兆円の流出(2024年は11.5兆円) | 円売り(外国株・全世界株の投資信託など) |
※財務省「国際収支状況(2025年速報)」(2026年2月9日公表・報道)、総務省「情報通信白書(令和8年版)」、海外株式投資は財務省の対外対内証券投資で確認できる分を第一生命経済研究所が集計した値
日本の経常収支は2025年に31兆8,799億円の黒字で、数字だけ見ると円が買われる側です。ただし黒字の大部分は、海外の子会社の利益や外国債券の利子などの第1次所得収支です。このお金は円に替えられずに海外で再投資されることが多く、円買いにつながりにくいと指摘されています。
一方、デジタル関連の支払いや新NISAの外国株投資は、毎月ほぼ決まって円を売る流れです。新NISAの積み立ては金利差に関係なく続くため、金利差の説明力が落ちた理由の一つと考えられています。ただし、当サイトが週単位で調べた限り、日本の投資家の外国株買いと、その週のドル円の動きの連動はほぼゼロでした。毎週の値動きを決めるというより、長い目で見て円安の土台になっている要因です。
あわせて読みたい:日本の投資家が外国株を買うと円安になるのか?2005年からの1,127週で検証
円安はいつまで・どこまで続く?過去の円安局面は2年前後で終わった
図: 日本銀行「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点/月中平均」(1973年1月〜2026年9月)をhiro-fx.comが集計。月平均の安値から15%以上上がり、その後15%以上下がるまでを1つの円安局面とした。2021年からの円安は、2016年8月から2020年までは月平均101〜116円の範囲で上下していたため、上昇が始まった2021年1月から数えた
1973年に変動相場制になってから、月平均で15%以上の円安が進んだ局面は、2021年以降を除いて8回ありました。続いた長さは短いもので10か月、長いもので44か月、真ん中の値は23.5か月(約2年)です。上がり幅の真ん中の値は+32.2%でした。
2021年1月の月平均103.70円から始まった円安は、2026年7月の162.45円まで66か月続きました。上がり幅は+56.7%で、過去の局面よりかなり長く続いています。2026年9月の月平均は156.23円で、7月の高値から3.8%下がりましたが、過去の局面の終わり方(15%以上の円高)にはまだ遠い水準です。
過去の円安局面は、米国の利下げ、金融危機、キャリートレードの巻き戻しなどをきっかけに終わってきました。「いつまで」の答えは誰にも分かりません。円高に向かう目安は、米国の金利が下がる、日銀の利上げで実質的な金利がプラスに近づく、家計の海外投資の流れが変わる、といった変化です。
どこまで円安が進むかについても、決まった天井はありません。第一生命経済研究所は2026年7月のレポートで、12か月先のドル円を155円程度とみています。一方で、米国の長期金利が急上昇すれば170円に向かう可能性にも触れています。予想は機関によって大きく違うので、1つの数字をうのみにしないことが大切です。
円安の歴史:360円の時代から2026年の約39年ぶりの円安まで
| 時期 | 出来事 | ドル円 |
|---|---|---|
| 1949年4月 | 1ドル=360円の固定相場が始まる | 360円 |
| 1971年12月 | スミソニアン合意でドルを切り下げ | 308円 |
| 1973年2月 | 変動相場制に移る | 1973年1月の月平均301.93円 |
| 1985年9月 | プラザ合意。ここから急な円高に | 直前の山は1985年2月の月平均260.34円 |
| 2011年10月 | 変動相場制で最も円高の月 | 月平均76.72円 |
| 2024年7月 | 約37年半ぶりの円安 | 一時161円台 |
| 2026年7月 | 約39年ぶりの円安。7月30日以降に円買い介入 | 一時163円台後半 |
※ドル円の月平均は日本銀行の統計。2024年・2026年の高値は報道による。2026年の介入は財務省の月次公表(7月30日〜8月26日に15兆3,993億円)
「円安 360円」と調べる人が気にしているのは、昔の360円の時代まで円が弱くなるのかという点でしょう。ドル円の数字だけで見ると、2026年の163円台は360円にはまだ遠い水準です。
ただし、物価の違いも含めた円の実力を見ると話が変わります。日銀の実質実効為替レート(2020年=100)は、2026年7月に65.24と、統計がある1970年1月以降で最も低くなりました。1970年の平均74.6よりも低く、海外のモノやサービスを買う力という意味では、360円の時代より円が弱い状態です。日本の物価や賃金が長く上がらなかった間に、海外の物価が上がったことが主な理由です。
円安が続くかを見極めるチェックポイントと、FXでの注意点
円安が続くかどうかは、原因ごとの数字の変化で判断します。どれか1つではなく、金利・投機・実需(お金の流れ)のどれが変わったかを見ると、ニュースの意味が分かりやすくなります。当サイトでは、金利差などから見たドル円の理論値との差をドル円 割高・割安メーターで毎日更新しています。
FXで円安に乗るときは、介入と巻き戻しの急落に注意
円安が続く局面でも、ドル円が一方的に上がり続けるわけではありません。2026年4月30日の円買い介入では、夕方からの数時間で約5円下がりました。ドル円の買いポジションは、介入や巻き戻しで短時間に大きな損失になることがあります。証拠金に余裕を持ち、損切りの位置を決めてから取引することが大切です。
あわせて読みたい:為替介入でFXはどうなる?ロスカット・スリッページと5円急落の実例
よくある質問
Q. 円安の一番の原因は何ですか?
A. 時期によって違います。2022〜2024年は日米の金利差が最も大きな原因でした。2025年以降は金利差が縮んでも円安が続いており、家計の海外投資やデジタル赤字などのお金の流れ、米国の金利の高さが目立っています。
Q. 日銀が利上げしたのに、なぜ円安が止まらないのですか?
A. 日本の政策金利は1.25%(2026年9月)で、物価上昇率(2026年8月の総合で1.9%)を差し引くとまだマイナスです。米国の金利も高いままで、金利差は縮んでも、ドルを持つ利点は残っています。
Q. 円安の原因は新NISAなのですか?
A. 原因の一つと考えられています。財務省の統計で確認できる海外株式投資の流出は、2024年に11.5兆円、2025年に9.0兆円でした。ただ、週ごとのドル円の動きとの連動は弱く、それだけで円安が決まるわけではありません。
Q. 円安になると誰が困るのですか?
A. 輸入品やエネルギーを多く使う企業と家計です。ガソリン・電気代・食料品が値上がりしやすくなります。輸出企業や訪日客向けの業種には追い風です。
まとめ:円安の原因は金利差だけではない
- 円安の主な原因は、日米の金利差、貿易・デジタル関連の赤字、新NISAなど家計の海外投資、投機筋の円売りの4つ
- 日米10年金利差は2023年10月の3.92%から2026年6月に1.73%へ縮んだが、ドル円は149円台から162円台へ円安が進んだ
- 投機筋の円売りは2026年9月に円買いへ反転したが、ドル円は155〜158円台にとどまった。金利差・投機以外の円売りの流れが大きい
- 1973年以降の円安局面の長さは真ん中の値で23.5か月。2021年からの円安は66か月と過去になく長い
- 物価を含めた円の実力は2026年7月に1970年以降で最低。数字の上では、360円の時代より円が弱い
※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。主な出典: 日本銀行「外国為替市況」「実効為替レート」、財務省「国債金利情報」「国際収支状況」「外国為替平衡操作の実施状況」、総務省「情報通信白書(令和8年版)」、総務省統計局「消費者物価指数(2026年8月分)」、米商品先物取引委員会(CFTC)、第一生命経済研究所「韓国ウォンの下落から考える円安の背景」(2026年7月7日)・「賃上げ率が高まると170円まで円安が進む?」(2026年7月23日)。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資を勧めるものではありません。投資はご自身の判断で行ってください。

