円安だと金は上がる?金の円建て価格をドル建てと為替に分けて検証

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こんな疑問を持つ方へ
  • 円安になると、金の価格はなぜ上がるの?
  • 円安なら金はいつも値上がりする?
  • プラチナや銀、ビットコインも円安で上がる?
  • 円安の今、金を買っても大丈夫?円高になったらどうなる?

円安だと、日本で買う金の値段(円建て価格)は上がりやすくなります。金の国際価格はドルで決まり、円建て価格=ドル建て価格×ドル円で計算されるからです。ただし、円安のときはドル高で金のドル建て価格が下がりやすく、円安の効果が打ち消されることもあります。この記事では、2006年以降の月末データをhiro-fx.comが集計し、円安の月に金が本当に上がったのかを確かめます。

円安だと金は上がる?円建ての金価格の決まり方

ドル円金1グラムの円建て価格158円のときとの差
130円17,622円-3,829円(−17.9%)
140円18,978円-2,474円(−11.5%)
150円20,334円-1,118円(−5.2%)
158.25円21,452円—
170円23,045円+1,593円(+7.4%)

※ドル建て価格を1トロイオンス4,216.3ドル(2026年10月9日のニューヨーク金先物の終値)で固定した計算例。1トロイオンス=31.1035グラム。消費税・手数料を含まない

金は世界中でドル建てで取引されています。日本の金の値段は、ドル建ての国際価格を、その時のドル円で円に直して決まります。計算式は「ドル建て価格(1トロイオンス)×ドル円÷31.1035」で、1グラムあたりの円建て価格になります。

ドル建ての値段が同じでも、ドル円が150円から170円になれば、円建ての金は約13%上がります。逆に円高になれば、同じだけ下がります。円安だと金が上がると言われるのは、この換算のしくみがあるからです。お店で買う金の値段は、これに消費税と手数料が加わるため、上の表より高くなります。

最新の円建て・ドル建ての金価格と、値動きを為替とドル建てに分けた内訳は、当サイトの金価格ウォッチで毎時更新しています。

【データ】円安の月に金は上がった?2006年以降の248か月で検証

図1 円安の月・円高の月の、金の値動き(月平均) 2006年2月〜2026年9月の月末値。ドル円が前月末より上がった月を円安の月とした 円建ての金 ドル建ての金 −3.0% −1.5% 0% +1.5% +3.0% 円安の月(125か月) +1.47% −0.70% 2%以上の円安の月(50か月) +2.54% −1.51% 円高の月(123か月) +0.60% +2.58%

図: ニューヨーク金先物(Yahoo!ファイナンスの日次終値の月末値)と、日本銀行「東京市場 ドル・円 スポット 中心相場/月末」をもとにhiro-fx.comが集計・作図。円建て=ドル建て×ドル円

ドル円が上がった円安の月は125か月あり、円建ての金が上がったのは76か月(61%)でした。平均の値上がりは+1.47%で、円高の月の+0.60%より大きくなっています。2%以上の大きな円安の月に限ると、円建てが上がったのは50か月中37か月(74%)でした。

一方で、円安の月のドル建ての金は平均−0.70%と、下がる傾向がありました。円安はドル高のときに起きやすく、ドル高だと金のドル建て価格は下がりやすいためです。月ごとのドル円とドル建ての金の動きの相関は-0.35で、弱いながら逆向きに動く関係でした。円安の月でも、10か月に4か月ほどは円建ての金が下がっています。

円安が金の値上がりに占める割合は?局面と年で分解

期間ドル円ドル建ての金円建ての金(1g)
アベノミクスの円安
(2012年10月末→2015年6月末)
79.64→122.45円(+53.8%)1,718→1,172ドル(−31.8%)4,398→4,612円(+4.9%)
2021年からの円安
(2020年12月末→2026年9月末)
103.47→157.35円(+52.1%)1,895→4,187ドル(+120.9%)6,304→21,180円(+236.0%)
直近1年
(2025年9月末→2026年9月末)
148.83→157.35円(+5.7%)3,873→4,187ドル(+8.1%)18,533→21,180円(+14.3%)

※月末値で計算。円建て1gは「ドル建て×ドル円÷31.1035」の理論値で、店頭価格とは異なる

同じ円安でも、金の値動きは大きく違いました。2012年10月末から2015年6月末のアベノミクスの円安では、ドル円が53.8%上がりました。ところがドル建ての金が31.8%下がったため、円建ての金は+4.9%にとどまりました。

2020年12月末から2026年9月末は、ドル円の+52.1%とドル建ての金の+120.9%が重なりました。円建ての金は+236.0%(約3.4倍)です。値上がりのうち円安の分は約35%で、残りの約65%はドル建ての金そのものの値上がりです(変化率を対数で分けた割合)。

年ドル円ドル建ての金円建ての金
2013年+21.7%−28.2%−12.7%
2014年+14.6%−1.5%+12.9%
2020年−5.2%+24.7%+18.3%
2021年+11.1%−3.5%+7.2%
2022年+15.3%−0.1%+15.1%
2024年+11.4%+27.5%+42.1%
2025年−1.0%+64.4%+62.8%

※前年12月末からその年の12月末までの変化。主な年を抜き出した

年ごとに見ると、2013年は21.7%の円安でも、ドル建ての金が28.2%下がって円建ては12.7%の下落でした。逆に2025年はドル円がほぼ横ばいでも、ドル建ての金が64.4%上がり、円建ても大きく上がっています。金の円建て価格は、為替よりもドル建ての金そのものの動きに左右される年のほうが多いことが分かります。

プラチナ・銀も円安で上がる?金との違い

金プラチナ銀
円安の月に円建てが上がった割合76/125か月(61%)68/118か月(58%)65/125か月(52%)
円安の月の円建ての平均+1.47%+1.75%+1.52%
円高の月の円建ての平均+0.60%−0.45%+1.03%
1か月の値動きの大きさ(円建て)4.7%7.8%9.3%
2021年からの円建ての上昇+236.0%+140.7%+247.1%
2026年10月9日の円建て(1g)21,451円8,615円311円

※ニューヨーク先物の月末値と日銀のドル円(月末)でhiro-fx.comが集計(金・銀は2006年2月〜、プラチナは2006年3月〜2026年9月)。「1か月の値動きの大きさ」は月間変化率の標準偏差(ふだんのぶれ幅の目安)。円建ての1g価格はhiro-fx.comの金価格ウォッチの理論値

プラチナと銀も、ドル建ての国際価格をドル円で換算するしくみは金と同じです。プラチナは円安の月の円建ての平均が+1.75%、円高の月は−0.45%で、金よりも為替の向きの差がはっきり出ました。

銀は1か月の値動きの大きさが9.3%と金の約2倍で、為替(ドル円の月の値動きの大きさは2.7%)よりも銀そのものの値動きが大きく効きます。円安の月でも円建ての銀が上がったのは52%で、ほぼ半々でした。プラチナと銀は工業用の需要が多く、景気の影響も受けやすい点が金と違います。

ビットコインは円安と関係ある?為替より値動きが大きすぎる

ビットコイン(参考)金
円安の月に円建てが上がった割合44/76か月(58%)61%
円高の月に円建てが上がった割合37/64か月(58%)54%
1か月の値動きの大きさ(円建て)20.3%4.7%
2021年からの円建ての上昇−22.5%+236.0%

※ビットコインはYahoo!ファイナンスのBTC-USDの月末値(2015年2月〜2026年9月の140か月)を日銀のドル円で円に直してhiro-fx.comが集計

ビットコインも、ドル建ての価格×ドル円で円建ての価格が決まります。2021年からの円建ての上昇−22.5%のうち、円安の分は約-22%でした。ただし、ビットコインは1か月の値動きの大きさが20.3%と、ドル円の約8倍あります。円安の月に円建てが上がった割合も58%で、円高の月(58%)とほとんど変わりませんでした。

ビットコインの値動きは、為替より米国株などの動きに左右されやすいのが特徴です。当サイトの暗号資産ウォッチで直近30日の連動の強さ(相関)を見ると、ナスダックとは0.68、ドル円とは−0.18でした(2026年10月11日時点)。円安への備えとしてビットコインを考えるのは、値動きの大きさから見て無理があります。

円安のときに金を買う・持つときの注意点

図2 円安のときに金を買う前のチェックポイント 円建ての金の値段は「ドル建て×ドル円」。両方の動きを見る □ 円高に戻ると円建ては下がる ドル円が158円から140円に戻れば、ドル建てが同じでも約11%下がる □ ドル建ての金そのものも上下する 2026年はドル建てが1月29日の5,318ドルから10月9日には4,216ドルに □ 店頭価格は理論値より高い 消費税と、買うときと売るときの値段の差(手数料)がかかる □ 一度に買わず、時期を分ける 為替と金の両方の上下をならしやすい □ 利息や配当はつかない 値上がりしなければ増えない。保管の費用がかかることもある

円安のときに金を買うと、その後に円高に戻った分だけ円建ての価格は下がります。上のチェックポイントのように、ドル円とドル建ての金の両方が下がると、損失は大きくなります。2026年は、ドル建ての金が1月下旬に過去最高を付けた後に下がり、円建ても3月の高値から2割ほど下がりました。

金は「円安への備え」として持たれることが多い資産ですが、為替の影響を受けるのは外貨預金や外国株と同じです。どの程度を金で持つかは、ご自身の資産全体の中で考えることが大切です。

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よくある質問

Q. 円高になると金の価格は下がりますか?

A. 円建ての価格は、ドル建ての金が変わらなければ円高の分だけ下がります。ただし、円高はドル安のときに起きやすく、ドル安だとドル建ての金は上がりやすいため、実際には下げが小さくなることがあります。2006年以降の円高の月でも、円建ての金が上がった月は54%ありました。

Q. 金の店頭価格と、ニュースの金価格はなぜ違うのですか?

A. ニュースの国際価格は1トロイオンスあたりのドル建てです。店頭価格はそれを円の1グラムあたりに直し、消費税と販売会社の手数料を加えた値段です。

Q. 金とドル円はどちらが値動きが大きいですか?

A. 2006年以降の月ごとの値動きの大きさは、ドル建ての金が約5.0%、ドル円が約2.7%でした。円建ての金の値動きは、ドル建ての金の動きのほうが大きく効いています。

Q. 円安が止まったら金は下がりますか?

A. 円安の分の値上がりは、円高に戻れば減ります。ただ、円建ての金の値動きはドル建ての金の影響のほうが大きいので、円安が止まっても金が上がり続けることも、反対に下がることもあります。

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まとめ:円安は金の追い風だが、ドル建ての金の動きのほうが大きい

  • 金の円建て価格は「ドル建て×ドル円÷31.1035」。ドル建てが同じなら、円安の分だけ円建ては上がる
  • 2006年以降の円安の月に円建ての金が上がったのは125か月中76か月(61%)。円安の月はドル建ての金が平均−0.70%と下がりやすい
  • アベノミクスの円安ではドル建ての金が下がり、円建ては+4.9%だけ。2021年からはドル建ても上がり+236.0%になった
  • プラチナは金より為替の向きの差が出やすく、銀とビットコインは自分の値動きが大きく為替の効果は小さい
  • 円安のときに買った金は、円高に戻ると目減りする。ドル円とドル建ての金の両方を見る

※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。主な出典: ニューヨーク商品取引所の金・銀・プラチナ先物(Yahoo!ファイナンス)、ビットコイン(Yahoo!ファイナンスのBTC-USD)、日本銀行「外国為替市況」。円建ての価格は理論値で、店頭の販売価格とは異なります。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資を勧めるものではありません。投資はご自身の判断で行ってください。