円高でオルカン・S&P500は下がる?過去の円高6回で何%減ったか

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こんな疑問を持つ方へ
  • 円高になると、オルカンやS&P500はどのくらい下がる?
  • 円高の時に、オルカンやドルを買うのは得?
  • NISAで含み損が出た。売るべき?積立は続けていい?
  • 外貨預金は円高で大損する?いくらまでの円高なら大丈夫?

円高になると、オルカンやS&P500の投資信託は、為替の分だけ円で見た評価額が下がります。2024年7〜9月の円高では、全世界株の株価はドル建てで+3.0%と上がったのに、円建てでは−10.5%でした。この記事では、2007年以降の円高6回の値動きを、株価の分と為替の分に分けてhiro-fx.comが集計しました。円高の時に買った場合のその後や、NISA・外貨預金の考え方もあわせて解説します。

円高でオルカンは下がる?評価額は「株価×為替」で決まる

ドル円100万円分(158円台で購入)の評価額変化
150円約94.7万円−5.3%
145円約91.6万円−8.4%
140円約88.4万円−11.6%
130円約82.1万円−17.9%
120円約75.8万円−24.2%

※株価が変わらないと仮定し、為替だけで計算した目安。158.35円は2026年10月14日の日本銀行17時のドル円。オルカンにはドル以外の通貨や日本株も含まれるため、実際の動きとは少しずれる。hiro-fx.comが計算

オルカン(全世界株式の投資信託)やS&P500の投資信託は、海外の株を円で買う商品です。円で見た値段(基準価額)は、海外の株価と為替の掛け算で決まります。基準価額は、前日の海外の株価を、その日の為替レートで円に直して計算されます。

たとえば1ドル=158円台のときに100万円分を買い、株価が変わらないまま140円の円高になると、評価額は約88.4万円になります。株が1割上がっても、円高が1割進めば、円で見た評価額はほぼ横ばいです。

オルカンの中身は日本株が数%で、残りのほとんどは米ドルなど外貨建ての株です。米国株の比率が大きいため、ドル円の動きの影響を特に強く受けます。S&P500の投資信託は中身がすべて米国株なので、ドル円の動きがそのまま効きます。

あわせて読みたい:円高・円安とは?意味と覚え方をリンゴの例でわかりやすく解説

【データ】過去の円高で、オルカン・S&P500は何%下がった?

図1 過去の円高で、全世界株は円で見て何%動いたか 各期間のドル円の高値→安値(日銀17時)の間の値動き。配当込み。灰色=ドル建て(株価だけ)、青=円建て(株価×為替) −50% −40% −30% −20% −10% 0% +10% +20% 2022年10月〜2023年1月 全世界株・ドル円150→128円(−14.9%) +14.2% −2.9% 2024年7〜9月 全世界株・ドル円162→141円(−13.1%) +3.0% −10.5% 2025年1〜4月 全世界株・ドル円158→140円(−11.4%) −7.3% −17.9% 2026年7〜9月 全世界株・ドル円164→153円(−6.5%) +4.2% −2.6% 2007年6月〜2011年10月 米国株・ドル円124→76円(−38.9%) −7.3% −43.3% 2015年6月〜2016年8月 全世界株・ドル円125→100円(−20.1%) +0.7% −19.6%

図: ドル円は日本銀行「東京市場 ドル・円 スポット 17時時点」の高値の日→安値の日。全世界株は全世界株ETF(ACWI・配当を含む調整後終値)、米国株はS&P500配当込み指数(どちらもYahoo!ファイナンス)。投資信託と同じく、前日の米国の終値に当日の為替を掛けて計算した。2007〜2011年は全世界株ETFの上場前なので米国株。hiro-fx.comが集計

円高の期間ドル円株価
(ドル建て)
円建てうち為替の分
2022年10月〜2023年1月−14.9%+14.2%−2.9%−17.1%
2024年7〜9月−13.1%+3.0%−10.5%−13.5%
2025年1〜4月−11.4%−7.3%−17.9%−10.6%
2026年7〜9月−6.5%+4.2%−2.6%−6.8%
2007年6月〜2011年10月(米国株)−38.9%−7.3%−43.3%−36.1%
2015年6月〜2016年8月−20.1%+0.7%−19.6%−20.2%

※「うち為替の分」は円建てとドル建ての差。全世界株ETFの値動きで、オルカンの実際の基準価額(信託報酬などを引いた値)とは少し違う。hiro-fx.comが集計

2022年以降の円高4回で、全世界株の円建ての値動きは−2.6%〜−17.9%でした。円高が−13.1%進んだ2024年7〜9月は、株価が+3.0%上がったのに、円建てでは−10.5%です。下がった分は、ほぼすべて為替によるものでした。

2022年10月〜2023年1月は、株価が+14.2%と大きく上がったため、円建ての下げは−2.9%で済みました。円高でも、同じ時期に株が上がれば打ち消し合います。

円高と株安が同時に来ると、下げは大きくなる

いちばん大きく下がったのは、円高と株安が重なったときです。2025年1〜4月は、米国の関税発表をきっかけに株価が−7.3%、ドル円が−11.4%となり、全世界株は円建てで−17.9%でした。S&P500(配当込み)は円建てで−22.5%です。

さらに長い2007〜2011年の円高では、ドル円が124.07円から75.84円まで−38.9%下がりました。米国株はドル建てで−7.3%でしたが、円建てでは−43.3%です。この時期は為替の分の影響が大きく出ました。

ただし、全世界株が円建てで最も大きく下がったのは、リーマン・ショックの2008年6月〜2009年3月で、−58.6%でした。このうちドル円の動きは−7.0%で、大半は株価の下落(−55.5%)によるものです。円建てで元の値に戻ったのは2013年5月9日で、約5年かかりました。

ひとことで言うと:円高だけなら、下げは「円高の幅」とほぼ同じ(1〜2割)。円高と株安が重なると2割を超えることがある。

円高の時にドルや米国株を買うのは得?円高期に買った人のその後

買った時期
(過去5年の平均と比べて)
5年後の円建て
(年平均)
5年後に
プラスだった割合
5年で為替が
円安に動いた割合
10年後に
プラスだった割合
10%以上円高の時期(54か月)+19.3%93%91%100%
ふつうの時期(142か月)+9.3%68%48%95%
10%以上円安の時期(44か月)+11.5%100%43%90%

※米国株(S&P500配当込み)を月末に一括で買い、5年後・10年後の月末の円建ての値と比べた。ドル円はYahoo!ファイナンスの月末値。「過去5年の平均と比べて」は買った月の前60か月の平均との比較で、ふつうの時期は±10%以内。対象は2001年10月〜2021年9月に買った240か月分(10年後は180か月分)。hiro-fx.comが集計

過去の実績では、円高の時期に買った米国株は、5年後に93%、10年後には100%がプラスでした。5年後の円建てのもうけは年平均+19.3%で、ふつうの時期に買った場合(+9.3%)より大きくなっています。

差がついたのは為替です。円高の時期に買った場合、5年のうちにドル円が円安に動いたのは91%でした。円安の時期に買った場合は43%です。円高の時に買ったドル建ての資産は、あとで円安に戻ると為替の分も上乗せされます。

ただし「10%以上円高の時期」の54か月は、ほとんどが2008年10月〜2012年10月の1回の円高期です。その後のアベノミクスで大きく円安に動いたことが、結果を押し上げています。1回の出来事に頼った結果なので、次も同じになるとは限りません。

なお2026年9月末のドル円は約157円で、過去5年の平均(約144円)より9.5%円安です。上の表の「円高の時期」には当たりません。

あわせて読みたい:円安の時にオルカンを買うのは損?円建てリターンを為替と株価に分けて検証

円高でもNISA・積立は続けていい?売る前に知っておきたいこと

毎月同じ金額を10年積み立てた場合10年後の評価額
(積み立てた額を1とする)
すべての開始月(180通り)平均2.21倍(最も低い開始月で0.88倍)
円高の時期に始めた場合(54通り)平均2.34倍(最も低い開始月で1.77倍)

※米国株(S&P500配当込み)を毎月末に同じ円の金額で買った場合の10年後の円建て評価額。開始月は2001年10月〜2016年9月。手数料・税金は含めない。hiro-fx.comが集計

毎月の積立は、円高の時期にも円安の時期にも同じ金額で買うので、買う時期が自然に分かれます。米国株を10年積み立てた180通りの結果は、平均で積み立てた額の2.21倍でした。最も悪い開始月では0.88倍で、元本を割ったこともあります。円高の時期に始めた場合は、最も低くても1.77倍でした。

円高の時期は、同じ金額で多くの口数を買えます。円高で評価額が下がっている間も積立を続けることは、安い値段で多く買うことにつながります。ただし過去の結果で、将来の利益を約束するものではありません。

NISAで円高の含み損が出たときの注意点

気をつけること内容
売ると損が確定する含み損のうちは、円安や株高で戻る余地がある。売ると戻りを取れない
NISAの損は差し引けないNISA口座の損失は、特定口座などのもうけと損益通算できず、繰越控除もできない
売った枠は翌年に戻る2024年からのNISAでは、売った分の買付額の枠が翌年に復活する
積立を止めると安い時期に買えない円高の時期は同じ金額で多くの口数を買える時期でもある

※NISAの制度は金融庁「NISA特設ウェブサイト」による(2026年10月19日時点)

円高で評価額が下がると、売りたくなるかもしれません。ただNISA口座の損失は、ほかの口座のもうけと差し引きできません。売るかどうかは、円高かどうかよりも、そのお金をいつ使うのかで決めるのが基本です。

数年以内に使う予定のお金なら、為替で1〜2割減っても困らない分だけを外貨建ての資産にしておくと安心です。

円高で外貨預金は大損する?損をしないドル円の目安を計算

1万ドルを158.35円で預けた場合窓口
(手数料片道1円)
ネット
(片道25銭)
預けるのに払った円1,593,500円1,586,000円
1年後の外貨(年3%・税引後)10,239.06ドル10,239.06ドル
損をしないドル円(1年後)156.63円まで155.15円まで
1年後に150円なら−6.8万円−5.3万円
1年後に140円なら−17.0万円−15.5万円

※金利は年3%と仮定した計算例(利息に20.315%の税金)。為替手数料は三菱UFJ銀行の米ドルの例(窓口片道1円・インターネットバンキング片道25銭)。実際の金利・手数料は銀行や時期で変わる。ドル円の値は手数料を含まない仲値(TTM)。hiro-fx.comが計算

外貨預金は、預けるときと円に戻すときの両方で為替手数料がかかります。米ドルを窓口で預けると、片道1円・往復2円です。金利がつかなければ、ドル円が160.35円まで円安にならないと元本に届きません。

年3%の金利がついた場合でも、1年後に損をしないのは窓口で156.63円まで、ネットで155.15円までです。158円台から2〜3円の円高で、利息の分は消えます。2024年7〜9月のように140円まで円高になると、窓口で約17万円の損になる計算です。

外貨預金は、円に戻さなければ損は確定しません。円高のときはドルのまま持ち続け、円安に戻るのを待つこともできます。ただし外貨預金は預金保険の対象外です。また為替のもうけは雑所得として、ほかの所得と合わせて税金がかかります。

円高への備え方:為替ヘッジ・時期分散・円の資産を組み合わせる

方法円高のとき気をつけること
為替ヘッジありの投資信託為替の影響をおさえられるヘッジの費用がかかる(2026年10月は年2〜3%程度がめやす)。円安のもうけも取れない
積立で買う時期を分ける円高の時期に多くの口数を買える下がっている間も続ける必要がある
円の資産(預金・国内債券など)と組み合わせる円の資産は為替で減らない日本株は円高で輸出企業を中心に下がりやすい
FXでドル円を売っておく円高で利益が出て、目減りの一部を埋める日米の金利差の分、スワップを毎日払う。円安が進むと損が出る

※ヘッジの費用は日米の短期金利の差がめやすで、FRBの政策金利(3.75〜4.00%)と日本銀行の政策金利(1.25%)の差(2026年10月時点)から見た値。実際の費用は商品の運用報告書で確認する

円高への備えで大切なのは、為替が当たるかどうかに頼らないことです。為替ヘッジありの投資信託は円高に強い一方、2026年10月時点ではヘッジの費用が年2〜3%程度かかります。円安が進んだ場合のもうけも取れません。

そこで多くの人は、積立で買う時期を分けたり、預金など円の資産と組み合わせたりします。外貨建ての資産を全体の何割にするか先に決めておくと、円高で評価額が下がっても慌てずにすみます。

FXでドル円を売って円高に備える方法もありますが、日米の金利差の分、スワップを毎日払います。OANDA証券の記録では、1万通貨の売りで1年(2025年10月〜2026年10月)に約10.9万円の支払いでした。円安が進めば損が出るため、初心者には向きません。

ポイント:円高の時期は誰にも分かりません。外貨建ての資産は「為替で1〜2割動くもの」と考え、使う予定が近いお金は円で残しておくのが基本です。

よくある質問

Q1. 円高になりそうなら、オルカンを売って円高のあと買い直すべきですか?

A. 円高の時期を当てるのは難しく、外れると戻りを取り逃します。2022年以降に10%を超えた円高3回は、76〜102日ほどで終わり、その後は円安に戻りました。特定口座で売ると、もうけに約20%の税金もかかります。売り買いのタイミングより、積立や資産の配分で備えるのが一般的です。

Q2. 円高のときにドルを買っておくのは得ですか?

A. 円安に戻れば得になり、さらに円高が進めば損になります。過去には、円高の時期に買ったドルが5年後に円安に戻っていた割合が91%でしたが、ほぼ2008〜2012年の1回の円高期の結果です。一度に買わず、何回かに分けて両替すると、当たり外れが小さくなります。

Q3. オルカンとS&P500、円高に強いのはどちらですか?

A. 為替の影響はどちらも大きく、ほとんど差はありません。2024年7〜9月の円建ては、全世界株−10.5%、米国株−10.9%でした。オルカンにはユーロなどドル以外の通貨も入りますが、円高の局面ではそれらの通貨も円に対して下がることが多いためです。

Q4. 円高のときにオルカンの「為替ヘッジあり」に乗り換えるのはどうですか?

A. 乗り換えると売却になるため、特定口座ならもうけに税金がかかり、NISAなら枠を使い直すことになります。乗り換えた後に円安に戻ると、為替の戻りも取れません。ヘッジの費用も毎年かかるので、乗り換えるなら長く持つ前提で考える必要があります。

Q5. 円高で外貨預金の利息は増えますか?

A. 利息はドルでつくので、ドルの金額は変わりません。ただ円高になると、そのドルを円に直したときの金額が減ります。米国の金利が下がる局面では、外貨預金の金利も下がり、同時に円高になりやすいことにも注意が必要です。

まとめ:円高でオルカンは下がるが、備え方で影響は小さくできる

  • オルカンやS&P500の円での評価額は「株価×為替」。株価が変わらなければ、円高の幅とほぼ同じだけ下がる
  • 2022年以降の円高4回で、全世界株は円建て−2.6%〜−17.9%。円高と株安が重なった2025年1〜4月がいちばん大きかった
  • 円高の時期に買った米国株は、5年後に93%、10年後に100%がプラス。ただしほぼ2008〜2012年の1回の結果
  • NISAの損失はほかの口座と差し引きできない。売るかどうかは、お金を使う時期で考える
  • 外貨預金(窓口・年3%の仮定)は、1年後に156.63円より円高だと損。手数料が安いネットでも155.15円まで

日米の金利差の最新の値は日米金利差ウォッチで、ドル円が理論値より高いか安いかはドル円 割高・割安メーターで確かめられます。円高と株安が同時に来る仕組みはキャリートレードの巻き戻しとは?で解説しています。

※この記事の情報は2026年10月19日時点のものです。主な出典: 日本銀行「外国為替市況(東京市場 ドル・円 スポット 17時時点)」、Yahoo!ファイナンス(全世界株ETF ACWI、S&P500配当込み指数、ドル円)、金融庁「NISA特設ウェブサイト」、三菱UFJ銀行「外貨預金の為替手数料」、OANDA証券のスワップの記録。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の商品の売買を勧めるものではありません。投資はご自身の判断で行ってください。