追証売りとは?暴落の翌日〜2営業日後に出る仕組みと追証祭りが続く日数

※記事内に広告を含む場合があります

こんな疑問を持つ方へ
  • 「追証売り」「追証祭り」ってどういう意味?
  • 追証売りは、暴落の何日後に出てくるの?
  • 追証売りが出始めたら、下げはいつまで続く?
  • 2026年10月のキオクシア株や韓国株の急落も追証売り?

追証売りとは、株の信用取引で追証(おいしょう・追加の保証金)を求められた人が、お金を用意できずに株を売ることです。期限を過ぎて証券会社に強制決済される売りも含めて、こう呼ばれます。多くの証券会社は取引の終わった後に追証を判定し、期限は2営業日後の正午ごろです。そのため、追証売りは暴落の翌営業日と、2営業日後の後場に出やすくなります。

この記事では、追証売りと「追証祭り」の意味、売りが出るタイミングと連鎖のしくみを、2024年8月の暴落の日程で解説します。日経平均が1日で5%以上下げた過去32回の局面で、底を打つまで何日かかったかもhiro-fx.comで集計しました。

追証売りとは?追証を解消する売りと強制決済の売り

追証売りの種類誰が売るいつ出やすい
追証を避ける売り追証になりそうな投資家が、判定の前に自分で売る暴落した日の後場
追証を解消する売り入金できない投資家が、建玉(信用で買った株)を自分で決済する暴落の翌営業日
強制決済の売り期限までに解消されなかった建玉を、証券会社が全部決済する2営業日後の後場の寄付など

※「追証売り」は決まった定義のある用語ではなく、相場の解説やSNSで使われる言い方。期限と決済の時刻は会社によって違う(2026年10月20日に各社の公式ページで確認)

信用取引では、証券会社に預けた保証金を担保に、その約3.3倍までの株を買えます。株価が下がって含み損がふくらみ、保証金の割合(委託保証金維持率)が多くの会社で20%を割ると、追証が出ます。

追証を解消するには、お金を入金するか、建玉を決済して損を確定させるかです。入金できない人は株を売るしかないため、暴落の後にまとまった売りが出ます。これが「追証売り」と呼ばれるものです。ニュースでは「追い証に絡んだ売り」「信用買いの投げ」と書かれることもあります。

あわせて読みたい:追証とは?読み方は「おいしょう」、何%で発生するかと計算をわかりやすく

追証祭りとは:追証が一斉に出る暴落をさすネットの言葉

追証祭りは、株価の急落で多くの人に一度に追証が出て、追証売りや強制決済が相次ぐ状態を、SNSや掲示板で皮肉まじりに呼ぶ言葉です。正式な用語ではありません。

特定の銘柄に信用買いが集まっていると、その銘柄が急落したときに追証がまとめて出ます。2026年10月にキオクシア株が急落したときも、SNSやブログで「追証祭り」という言葉が使われました。

追証売りが出るタイミングは?暴落の翌日と2営業日後の後場

図1 株の信用取引:追証売りが出やすいタイミング 暴落した日を0日目とした営業日。多くの証券会社の決まり(大引け後に判定・2営業日後の正午が期限)の場合 前場 後場 0日目(暴落した日) 前場 後場 1日目(翌営業日) 前場 後場 2日目(2営業日後) ① 追証を避ける売り 判定の前に自分で売る ③ 追証を解消する売り 入金できない人が決済 ⑤ 強制決済の売り 後場の寄付などで全部 ② 大引け後に判定 追証が発生・通知 ④ 入金の期限 多くは正午ごろ ※松井証券は維持率10%未満だと期限が翌営業日の11時30分。SMBC日興証券は原則3営業日後など、会社によって違います

図: SBI証券・楽天証券・三菱UFJ eスマート証券・松井証券・SMBC日興証券の公式ページの決まり(2026年10月20日確認)をもとにhiro-fx.comが作図

株の信用取引の追証は、多くの証券会社で取引が終わった後(大引け後)の維持率で判定されます。取引時間中に20%を割っても、引けで戻っていれば追証にはなりません。そのため、暴落した日の後場には、追証を避けようと判定の前に売る人が出ます(図の①)。

追証が出ると、その日の夕方以降に通知が届きます。翌営業日は、入金できない人が自分で建玉を決済する売りが出ます(③)。期限は多くの会社で2営業日後の正午ごろです(④)。それまでに解消されないと、SBI証券などでは同じ日の後場の寄付(午後の取引の始まり)で全部の建玉が決済されます(⑤)。

日本経済新聞は2026年7月21日、キオクシア株について「週前半がヤマ場」と追い証の売りを警戒する記事を出しました。このように、相場の解説では「追証の期限がいつ来るか」が売りの時期の目安として見られています。

金曜に暴落すると、追証売りは月曜と火曜に出る

数えるのは営業日なので、土日や祝日ははさみません。金曜に暴落して追証が出ると、翌営業日は月曜、2営業日後は火曜です。週末の間に入金の準備はできますが、月曜にさらに下がれば、新しい追証が重なります。2024年8月は、まさにこの形になりました。

あわせて読みたい:追証の強制決済はいつ?6社の期限・判定のタイミングと解消する方法

株の暴落で追証が連鎖するのはなぜ?

図2 追証が連鎖するしくみ 強制決済や投げ売りで株価が下がると、別の人の保証金も減って、次の追証が出る ① 株価が急落 信用買いの含み損が 増える → ② 追証が出る 保証金の維持率が 20%を割る → ③ 追証売り 入金できない人の売り 期限後の強制決済 → ④ さらに下がる 別の人の維持率も下がり ①に戻る

追証売りや強制決済で株価がさらに下がると、まだ追証が出ていなかった人の維持率も下がり、次の追証が出ます。これが追証の連鎖です。売りが売りを呼ぶので、業績などとは関係なく下げが大きくなります。

担保に株を預けている人(代用有価証券)は、さらに影響を受けやすくなります。持っている株が下がると、建玉の含み損と担保の値下がりが同時に起きるため、維持率が二重に下がるからです。

同じ銘柄に信用買いが多く積み上がっているほど、連鎖は大きくなりやすいと言われます。信用買いの残高は、将来の売りの予備軍と見られるためです。

2024年8月の暴落で見る、追証売りの日程

図3 2024年8月の暴落:日経平均の前日比と追証の日程 2024年7月31日〜8月9日。棒=終値の前日比。下の帯=その日に出た追証の、発生日から期限(2営業日後)まで +10% +5% 0% −5% −10% +1.5% 7月31日(水) −2.5% 8月1日(木) −5.8% 8月2日(金) −12.4% 8月5日(月) +10.2% 8月6日(火) +1.2% 8月7日(水) −0.7% 8月8日(木) +0.6% 8月9日(金) × 8月2日の追証 → 期限は8月6日の正午ごろ × 8月5日の追証 → 期限は8月7日の正午ごろ

図: Yahoo!ファイナンスの日経平均の日次終値からhiro-fx.comが作図。追証の期限は「2営業日後の正午ごろ」とした場合の目安

2024年8月2日(金)、日経平均は−5.8%下げました。この日の引けで追証が出た人の期限は、2営業日後の8月6日(火)の正午ごろです。

ところが翌営業日の8月5日(月)、日経平均は4,451円(−12.4%)下げました。下げ幅は1987年のブラックマンデーを超えて過去最大です。金曜に出た追証を解消する売りに、月曜の下げで新しく出た追証が重なった形です。ブルームバーグは同日、積み上がっていた信用買いの整理が下げに拍車をかけた可能性を伝えました。

8月6日は、8月2日の追証の期限の日でしたが、日経平均は+10.2%と過去最大の上げ幅になりました。追証売りが出る日でも、それ以上に買いが入れば株価は上がります。追証売りは下げの「理由の1つ」で、その日の値動きのすべてを決めるわけではありません。

このときは円相場も大きく動き、ドル円は1か月余りで161円台から141円台まで円高が進みました。円高と株安が同時に進んだしくみは、次の記事で解説しています。

あわせて読みたい:キャリートレードの巻き戻しとは?円高・株安の仕組みを2024年8月の暴落で検証

【データ】日経平均が5%以上下げた32回、底を打ったのは何日目?

図4 日経平均が1日で5%以上下げた後、底(いちばん安い終値)は何日目? 1970年1月5日〜2026年10月19日の32回の局面。下げた日から10営業日以内で、終値がいちばん安かった日 下げた日が底(その後は上) 16回(50%) 1〜2営業日後に安値を更新 6回(19%) 3〜10営業日後まで下げが続いた 10回(31%)

図: Yahoo!ファイナンスの日経平均の日次終値からhiro-fx.comが集計(1970年1月5日〜2026年10月19日)。5%以上下げた52日のうち、10営業日以内に続いたものは1つの局面にまとめた

追証売りがいつまで続くかを見るため、日経平均が1日で5%以上下げた52日を集計しました。10営業日以内に続いたものは同じ局面として32回にまとめ、その後10営業日のうち終値がいちばん安かった日を数えています。

下げた日がそのまま底だったのは16回(50%)で、半分は翌日以降に安値を更新しませんでした。一方、追証売りが出やすい1〜2営業日後に安値を更新したのが6回、3営業日以降まで下げが続いたのが10回ありました。安値を更新した16回では、下げた日の終値からさらに中央値で−5.0%下げています。

大きく下げた日下落率10営業日以内の底底までの追加の下げ
1987年10月20日−14.9%下げた日(10月20日)―
2008年10月8日−9.4%2営業日後(10月10日)−10.1%
2011年3月14日−6.2%1営業日後(3月15日)−10.6%
2020年3月9日−5.1%8営業日後(3月19日)−16.0%
2024年8月2日−5.8%1営業日後(8月5日)−12.4%
2025年4月7日−7.8%下げた日(4月7日)―

※下落率は終値の前日比。底までの追加の下げは、下げた日の終値から底の日の終値まで。hiro-fx.comの集計

2024年8月は、8月2日に下げた翌営業日の8月5日が底でした。2008年10月(リーマン・ショック)や2020年3月(コロナ・ショック)のように、10%を超えてさらに下げた局面もあります。「暴落の当日に売りが出尽くす」ことも多い一方で、3回に1回ほどは、追証の期限を過ぎても下げが続いたことになります。

2026年10月にも「追証祭り」と言われた急落があった

日付キオクシア株韓国総合株価指数(KOSPI)日経平均
10月9日(金)−2.2%休場−0.02%
10月12日(月)休場−3.6%休場
10月13日(火)−13.3%−5.5%−1.8%
10月14日(水)−3.2%−0.4%−0.05%
10月15日(木)−12.3%−7.6%−4.9%
10月16日(金)+3.8%+2.0%+1.4%
10月19日(月)+1.7%+1.8%−0.6%

※終値の前日比。Yahoo!ファイナンスの日次データからhiro-fx.comが計算。10月12日は日本が休場(スポーツの日)、10月9日は韓国が休場

キオクシア株は、10月13日(火)に−13.3%、15日(木)に−12.3%と大きく下げました。終値は10月2日の19,300円から10月15日の12,880円まで−33%下がりました。10月15日は、多くの証券会社で13日に出た追証の期限(2営業日後の正午)にあたる日でした。

ブルームバーグは10月18日、キオクシア株の信用買いの残高が全銘柄で最大の規模だと報じました。その解消には時間がかかる可能性があるとしています。信用買いが集まった銘柄ほど、追証売りの影響を受けやすい例です。

韓国でも同じことが起きています。第一生命経済研究所のレポートによると、韓国総合株価指数(KOSPI)は2026年初めの4,309.63から6月22日の9,114.55まで上がりました。同じ期間に、信用取引の残高は約27.4兆ウォンから約38.5兆ウォンへ増えています。7月以降の下落で追証がくり返し発生し、日本総合研究所は、追証に伴う換金売りやロスカットが売り圧力を強めたと分析しています。

10月も、KOSPIは13日に−5.5%、15日に−7.6%と急落しました。韓国紙コリア・タイムズは、韓国金融投資協会の集計を伝えています。強制的な売りは12日の約271億ウォンから、13日には約593億ウォンと2倍以上に増えました。

追証売りが出やすい相場の見分け方:信用買い残と評価損益率

見るものわかることどこで見る
信用買い残(信用取引で買われて、まだ決済されていない株)多いほど、急落したときに追証売りになる予備軍が多い日本取引所グループ(銘柄別は毎営業日16時ごろ・市場全体は毎週第2営業日の16時ごろ)、証券会社の銘柄ページ
信用倍率(信用買い残÷信用売り残)高いほど買いに偏っている証券会社の銘柄ページ
信用評価損益率(信用で買った人の平均の含み損益)−20%前後は追証が出やすい水準とされ、底入れの目安とも言われる松井証券などが公表(市場全体は週1回)
暴落した日と、その2営業日後追証の期限の日。後場に強制決済の売りが出やすい自分の証券会社の追証の決まり

※日本取引所グループの公表時刻は2026年10月20日に確認。信用評価損益率と−20%の説明は松井証券の「信用評価損益率のご紹介」による

信用買い残が急に増えている銘柄や、信用倍率が高い銘柄は、下げたときに追証売りが重なりやすくなります。反対に、急落の後に信用買い残が大きく減っていれば、追証売りがある程度出たと読み取れます。

松井証券は、信用で買った人の評価損益率が−20%を下回ると追証が出る水準になり、−20%前後が底入れの目安と見られると説明しています。ただし、ここで底を打つと決まっているわけではなく、目安の1つです。

自分が信用取引をしている場合は、「いくら下がると追証になるか」と「期限がいつか」を確かめておきましょう。どちらも、取引している証券会社の画面で見られます。

あわせて読みたい:追証が払えないとどうなる?強制決済の後の不足金と自己破産までの流れ

よくある質問

Q1. 追証売りや追証祭りは、株の買い場になりますか?

A. 売りが出尽くした後に反発することはありますが、決まってはいません。日経平均が5%以上下げた32回の局面では、下げた日が底だったのは16回で、10回は3営業日以降まで下げが続きました。買うかどうかは、ご自身の資金と判断で決めてください。

Q2. 「追証」と「追い証」は違うものですか?

A. 同じものです。どちらも「おいしょう」と読み、追加保証金の略です。日本経済新聞などは「追い証」と書くことが多く、証券会社の画面では「追証」と書かれることが多いです。

Q3. FXにも追証売りはありますか?ドル円への影響は?

A. FXにも追証のある会社があります。ただ、FXには証拠金維持率が一定を下回るとその場で決済される「強制ロスカット」があり、期限を待たずに売りが出るのが株との違いです。2024年8月のように、株の急落と円高が同時に進むこともあります。

あわせて読みたい:強制ロスカットされたらどうなる?いくら残るかと国内14社の発動水準

Q4. 現物の株しか持っていなくても、追証売りの影響はありますか?

A. 現物の株(自分のお金だけで買った株)には追証はありません。ただ、同じ銘柄に追証売りが出れば、株価は下がります。追証の期限に追われることはないので、慌てずに値動きを確かめられます。

Q5. 追証売りとセリングクライマックスは同じですか?

A. 同じではありません。セリングクライマックスは、売りが一気に出て出来高をともなって急落し、売りが出尽くす局面のことです。追証売りや強制決済は、そうした局面を生む原因の1つです。

まとめ:追証売りは暴落の翌日と2営業日後の後場に出やすい

  • 追証売りは、追証を求められた人がお金を用意できずに売ることと、期限後の強制決済の売り
  • 追証祭りは、急落で追証が一斉に出て追証売りが相次ぐ状態をさすネットの言葉
  • 多くの証券会社は大引け後に判定・2営業日後の正午ごろが期限なので、売りは翌営業日と2営業日後の後場に出やすい
  • 売りで株価がさらに下がると、別の人にも追証が出て連鎖する
  • 日経平均が5%以上下げた32回では、下げた日が底は16回、3営業日以降まで下げが続いたのは10回

信用取引をしている人は、暴落の日に追証のラインと期限を確かめておきましょう。円高と株安が同時に進むしくみはキャリートレードの巻き戻しの記事、ドル円が急落した後の値動きはドル円の暴落・急落のその後の記事で解説しています。

※この記事の情報は2026年10月20日時点のものです。主な出典:日本取引所グループ「信用取引残高等」、松井証券「信用評価損益率のご紹介」、各証券会社の追証の説明ページ、日本経済新聞(2026年7月21日)、ブルームバーグ(2024年8月5日・2026年10月18日)、第一生命経済研究所「借金投資とは?」(2026年8月12日)、日本総合研究所「韓国株価の急落、個人消費を▲1%下押しする恐れ」(2026年8月5日)、The Korea Times(2026年10月15日)、Yahoo!ファイナンス(株価の日次データ)。記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買や投資判断をすすめるものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。