FXで1億・10億の借金は本当にある?実例と1人あたりの平均額

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こんな疑問を持つ方へ
  • FXで1億円や10億円の借金を背負った人って本当にいるの?
  • どうしたら、そんな金額の借金になるの?
  • ふつうの個人が急変に巻き込まれたら、いくらくらいの借金になる?
  • 借金をFXで返そうと考えているけど、うまくいくもの?

FXで億単位の借金やお金の穴をつくった例は、実際に報じられています。ただしその多くは、口座のマイナス1回で生まれたものではなく、損を取り返そうとして借りたお金や他人のお金をつぎ込み続けた結果です。相場の急変で国内の口座がマイナスになった個人は、スイスフランショックの日でも1人平均約171万円でした(金融先物取引業協会の公表値から当サイトで計算)。この記事では、報道された実例、1億円の借金ができる条件、借金をFXで返そうとする危うさを、FX初心者の方向けに順番に解説します。

この記事の内容でクイズ(54秒):スイスフランショックの日、口座がマイナスになった個人は1人平均いくら?

FXで1億・10億の借金は本当にある?報じられた実例

図1 FXで大きな借金やお金の穴ができたと報じられた例 報道・公表された内容の要旨(金額は報道時点) いつ どんな例 金額 どうやってできた? 2015年1月 米国のFX会社の顧客 口座のマイナス計2億2500万ドル 急変でロスカットが間に合わない 2017年 FXで10億円を稼いだ元社長 借金1億6000万円 所得隠しで有罪→税金などの支払い 2019年 20代の男性(のちに完済) 借金2000万円 借りた1500万円を1週間で失う 2024年発覚 銀行の元行員 十数億円分の窃盗 FXなどの損を埋めるため繰り返す

図: 報道された例の要旨(ブルームバーグ2015年1月16日、東洋経済オンライン2017年8月14日、日本経済新聞2019年2月11日・2025年8月25日などをもとにhiro-fx.com作成)

FXで1億円を超える借金やお金の穴ができた例は、実際にあります。ただ、中身を見ると、借金ができるまでの道すじは1つではありません。

2015年1月15日のスイスフランショックでは、米国の大手FX会社FXCMが、顧客の口座のマイナスが合計約2億2500万ドルにのぼったと発表したと報じられています(ブルームバーグ)。スイスの中央銀行が突然、フラン高を抑える上限をやめたため、ユーロ/スイスフランは1.20から一時0.8517まで、数十分のうちに約3割も動きました。英国のFX会社アルパリUKは、顧客のマイナスを回収できずに経営破綻しています。

一方、国内で報じられた億単位の例は、口座のマイナスではなく「別のところから持ってきたお金をつぎ込み続けた」ものです。三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から金品を盗んだ事件では、FXなどの損失を埋めるために盗みを繰り返したとされ、元行員は法廷で「17億〜18億円分に手を付けた」と述べたと報じられました(日本経済新聞)。FXで10億円を稼いだとされる元社長が、所得隠しで有罪判決を受けたあと、借金が1億6000万円あったと報じられた例もあります。これは税金を正しく払わなかったことで生まれた借金です。

1億円の借金はどうやってできる?2つのルート

図2 FXで大きな借金ができる2つのルート どちらも「一度で1億円」ではなく、条件が重なったときに大きくなる ルート1 口座のマイナス 急変でロスカットが 間に合わない → 足りない分を払う → ルート2 借りたお金を つぎ込み続ける 負けるたびに借りて → 借金と利息が残る 国内で億単位の借金になった例の多くはルート2

図: FXで大きな借金ができる2つのルート(hiro-fx.com作成)

FXで借金ができるルートは2つあります。1つは、相場が一気に動いてロスカット(損が大きくなったときに自動で取引を終わらせる仕組み)が間に合わず、口座のお金がマイナスになるルートです。もう1つは、損を取り返そうとしてカードローンや知人からお金を借り、口座に入れ続けるルートです。

国内のFX会社で口座がマイナスになったら、その分は自分で払う必要があります。仕組みはFXで借金になるのはなぜ?で詳しく解説しています。

口座のマイナスで1億円になるには?計算してみる

口座のマイナスの大きさは、「預けたお金」「レバレッジ(預けたお金の何倍の金額を取引しているか)」「一気に逆へ動いた幅」の3つで決まります。国内の個人の上限である25倍いっぱいで取引していた場合を計算すると、次のようになります。

預けたお金(25倍で取引)一気に10%動いた一気に20%動いた一気に30%動いた
100万円150万円400万円650万円
1,000万円1,500万円4,000万円6,500万円
1,600万円2,400万円6,400万円1.04億円

※口座がマイナスになった額(hiro-fx.comの計算)。計算式:預けたお金×(25×動いた幅−1)。ロスカットが一度も働かずに価格が飛んだ場合の目安で、実際は取引の条件で変わる

100万円を預けた人なら、スイスフランショック級の3割の急変でもマイナスは650万円です。1億円のマイナスになるのは、1,600万円ほどを25倍で動かしていた人が、3割もの急変に遭ったときです。10億円なら、その10倍の1億6,000万円ほどを預けている計算になり、ふつうの個人の取引ではまず起きません。

また、同じ3割の急変でも、レバレッジを5倍にしていれば、100万円を預けた人のマイナスは50万円に収まります。ドル円では、1996年以降に1日で1割以上動いた日もありません。倍率ごとの危なさと、ドル円が1日で動いた幅の集計はFXはレバレッジ1倍なら借金にならない?でまとめています。

借りたお金をつぎ込み続けると、金額に上限がなくなる

口座のマイナスは、預けたお金と取引の大きさで上限がほぼ決まります。ところが借りたお金を入れ続けるルートには、上限がありません。「次で取り返せば大丈夫」と借りては負けることを繰り返すと、借りた額に利息が重なって、1,000万円、1億円と積み上がっていきます。

ポイント:億単位の借金は、ほとんどが「損を取り返そうとして、借りたお金を入れ続けた」ことから生まれます。急変の一撃より、この繰り返しのほうが怖いと覚えておきましょう。

【データ】急変で口座がマイナスになった人は、1人いくら?

図3 口座がマイナスになった個人の、1人あたりの平均額 国内のFX会社(個人)。発生金額÷発生口座数で当サイトが計算 0万円 50万円 100万円 150万円 200万円 2015年1月 スイスフランショック 約171万円 2015年8月 チャイナショック 約17万円 2019年1月 正月のフラッシュクラッシュ 約13万円 2021年3月 トルコリラ急落 約40万円 急変のない12か月(2025年9月〜2026年8月) 約6万円

図: 口座がマイナスになった個人の1人あたり平均額(金融先物取引業協会「ロスカット等未収金発生状況」「ロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)」をもとにhiro-fx.comが計算)

金融先物取引業協会は、ロスカットが間に合わずに口座がマイナスになった件数と金額を公表しています。これを件数で割ると、1人あたりの平均額がわかります。

日付できごと個人の件数個人の金額1人あたり
2015年1月15日スイスフランショック1,137件19.48億円約171万円
2015年8月24日チャイナショック4,820件8.28億円約17万円
2019年1月3日正月のフラッシュクラッシュ6,389件8.08億円約13万円
2021年3月22日トルコリラ急落3,444件13.75億円約40万円
2025年9月〜2026年8月12か月の合計117件0.07億円約6万円

※個人の口座(店頭FXと取引所FXの合計・速報値)。1人あたりは金額÷件数でhiro-fx.comが計算。出典: 金融先物取引業協会

いちばん大きかったスイスフランショックの日でも、1人あたりの平均は約171万円でした。2019年1月3日の正月の急落は件数こそ6,389件と最多ですが、1人あたりは約13万円です。平均なので、なかにはもっと大きな額の人もいたはずですが、協会は1件ごとの金額は公表していません。

急変で口座がマイナスになった個人の借金は、平均で十数万〜百数十万円ほどです。1億円という金額は、口座のマイナスだけで生まれることはまれで、預けたお金がもともと大きい人か、借金を重ねた人の話だと考えられます。とはいえ、十数万円でも、払えなければ立派な借金です。

借金をFXで返せる?返済した人・成功した人はいる?

図4 借金をFXで返そうとすると起きやすいこと 損を取り返したい気持ちが、取引を大きくしていく 1 早く返したくて 取引を大きくする → 2 少しの逆の動きで 大きな損が出る → 3 取り返そうと また借りて入れる → 4 借金と利息が 雪だるま式に増える

図: 借金をFXで返そうとすると起きやすい流れ(hiro-fx.com作成)

借金をFXで返した人は、いないわけではありません。日本経済新聞が2019年に紹介した20代の男性は、知人から借りた1,500万円を1週間で失って借金が2,000万円にふくらみましたが、その後、10万円から取引を始め直し、約2年で完済したと語っています。

ただ、こうした話は「うまくいった人」だから記事になっています。金融先物取引業協会の統計では、3か月のあいだに口座のお金が増えた口座の割合は、2015年度以降の45四半期の平均で44.8%でした。増えた口座が半分を超えた四半期は45回中15回です(当サイトのFXトレーダー・データベースで集計)。

借金を返すためのFXには、ふつうのFXより不利な点があります。「早く返したい」という焦りで取引が大きくなりやすく、借りたお金には利息もかかります。負けたときに取り返そうとして、さらに借りる流れにもはまりやすくなります。借金の返済は、収入と支出の見直しや、次の章の相談先を使うほうが確実です。

あわせて読みたい:FXの退場とは?退場する人の割合・原因と、退場しないための資金管理

大きな借金を背負わないために決めておくこと

図5 大きな借金を背負わないためのチェックリスト FXを始める前に、紙に書いておくくらいがちょうどいい ✓ FXに入れるお金の上限を決める(なくなっても生活に困らない額) ✓ 借りたお金・生活費・他人のお金は、1円も口座に入れない ✓ 損が出ても、上限を超えて追加で入金しない ✓ レバレッジを低くし、損切りの注文を入れておく ✓ 週末・連休の前や、値動きの荒い通貨の取引を減らす 損を取り返そうとして入金を重ねるのが、借金が大きくなるいちばんの原因

図: 大きな借金を背負わないためのチェックリスト(hiro-fx.com作成)

いちばん大事なのは、FXに使うお金の上限を先に決めておくことです。たとえば「50万円まで」と決めたら、それがなくなった時点でやめます。損が出たあとに入金を重ねると、損の上限がなくなってしまいます。

借りたお金は口座に入れないでください。借りたお金で負けると、口座のお金がゼロになっても借金と利息は残ります。レバレッジを低くして損切りの注文を入れておけば、急変で口座がマイナスになる危険もぐっと小さくなります。

借金が返せないときの相談先

図6 困ったときの相談先 どれも無料または低い費用で相談を受け付けている窓口(条件は窓口ごとに違う) 困っていること 相談先 FX口座のマイナスを払えない 取引しているFX会社(放置しない) 借金が返せない・どうしたらいいかわからない 法テラス(日本司法支援センター)、弁護士・司法書士 FX会社とのトラブル FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター) 損を取り返したくて、取引や借金がやめられない 各都道府県などの精神保健福祉センター

図: 困ったときの相談先(法テラス、FINMAC、厚生労働省の依存症の相談窓口の案内をもとにhiro-fx.com作成)

口座のマイナスを払えないときは、まず取引しているFX会社に連絡して相談しましょう。ほかの借金もあって返すのが難しいときは、法テラスや弁護士・司法書士が、債務整理(借金を減らしたり、返し方を変えたりする手続き)を含めて相談にのってくれます。

「損を取り返したい」という気持ちが止まらず、取引や借金をやめられないときは、依存の問題かもしれません。全国の精神保健福祉センターでは、ギャンブルなどがやめられない悩みの相談を受け付けています。本人だけでなく、家族からの相談もできます。

よくある質問

Q1. 口座のマイナスが1億円になっても、全額払わないといけませんか?

A. 国内のFX会社では、口座のマイナスは顧客が払うお金です。FX会社がお客さんの損を肩代わりすることは、法律(金融商品取引法第39条)で禁止されています。払えないときは、放置せずにFX会社や専門家に相談してください。

Q2. 海外FXなら、1億円の借金にはなりませんか?

A. 海外FX業者の多くは、口座のマイナスをゼロに戻す「ゼロカット」をうたっています。ただし業者の決まりで行っているもので、日本の法律で守られた仕組みではありません。スイスフランショックでは、米国のFX会社で顧客の口座に大きなマイナスが出たり、英国のFX会社が破綻したりした例もあります。

Q3. FXの借金は自己破産できますか?

A. 破産法第252条では、ギャンブルなどで作った借金は免責(借金の支払いをなくすこと)が認められにくいとされていて、FXの損がこれに当たるとされることがあります。ただし、事情によって裁判所が免責を認める場合もあります。自分で判断せず、弁護士などに相談しましょう。

Q4. FXで大きく稼いだのに、借金になることはありますか?

A. あります。FXの利益には税金がかかり、申告せずにいると、あとから本来の税金に加えて加算税や延滞税も請求されます。稼いだお金を使ってしまったあとに請求が来ると、それが借金になります。くわしくはFXの税金は申告しないとバレる?で解説しています。

Q5. 少ない金額で取引していれば、大きな借金にはなりませんか?

A. 口座に入れるお金が少なく、レバレッジも低ければ、口座のマイナスは小さく収まります。気をつけたいのは、負けたあとに入金を重ねて、取引も金額も大きくなっていくことです。最初に決めた上限を守れば、大きな借金になることはまずありません。

まとめ:1億円の借金は、急変の一撃より「借りて取り返す」の繰り返しから

  • FXで億単位の借金やお金の穴ができた例は、国内外で報じられている
  • 国内の例の多くは、損を取り返そうと借りたお金や他人のお金をつぎ込み続けた結果
  • 口座のマイナスで1億円になるのは、1,600万円ほどを25倍で動かして3割の急変に遭うような場合
  • 急変で口座がマイナスになった個人は、1人平均で約13万〜171万円だった
  • 借金をFXで返そうとするのは危うい。使うお金の上限を決め、借りたお金は入れない

FXで借金になる仕組みと急変が起きた日の件数はFXで借金になるのはなぜ?、国内のFX口座の数や勝ち負けの割合は当サイトのFXトレーダー・データベースでまとめています。

※この記事の情報は2026年9月30日時点のものです。主な出典: 金融先物取引業協会「ロスカット等未収金発生状況」「ロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)」「個人取引・統計データ(預託証拠金額が増加した口座の割合)」、ブルームバーグ(2015年1月16日、FXCMの顧客の口座のマイナス)、イミダス「スイスフランショック」、日本経済新聞(2019年2月11日、2025年8月25日)、東洋経済オンライン(2017年8月14日)、金融商品取引法第39条、破産法第252条、厚生労働省(依存症の相談窓口)。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資助言や法律相談ではありません。取引や借金の問題は、ご自身の判断と、必要に応じて専門家への相談のうえで対応してください。