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- 雇用統計の発表で、ドル円は何pipsくらい動くの?
- なぜアメリカの雇用統計で、為替がそんなに動くの?
- 「予想」って何?予想どおりなら動かないの?
- ゴールド(金)も動く?初心者は発表のときどうすればいい?
米国の雇用統計が発表されると、ドル円は発表から1分で平均約31pips(約0.3円)、1時間の値幅で平均約74pips(約0.7円)動いています。当サイトが2016年以降の128回の発表を1分ごとの値動きで集計した結果で、発表のない翌週の同じ時間と比べると約2.2倍です。この記事では、雇用統計で為替が動く理由、値動きを決める「予想」の見方、実際の値動きのデータ、発表のときの注意点を、FX初心者の方向けに順番に解説します。
雇用統計でドル円はどれくらい動く?
図: 雇用統計の発表前後の値動きのイメージ(hiro-fx.com作成)
雇用統計の発表の瞬間、ドル円はふだんとは比べものにならない速さで動きます。当サイトの集計では、発表から1時間の値幅(いちばん高い価格と安い価格の差)は平均約74pips、真ん中の値(中央値)で約57pipsでした。1時間で120pips(1.2円)以上動いた回も、128回中20回あります。
pips(ピップス)は値動きの単位で、ドル円では1pips=0.01円(1銭)です。1万通貨(1万ドル分)を取引しているなら、1pipsで100円の損益になります。平均の約74pipsなら、1万通貨で約7,420円、10万通貨なら約7.4万円の幅で損益が動く計算です。
そもそも雇用統計とは?なぜドル円が動くの?
図: 雇用統計がドル円に影響する流れ(一般的な考え方をhiro-fx.comが図にしたもの)
雇用統計は、米国労働省の労働統計局(BLS)が毎月発表する、アメリカの雇用の状況をまとめた統計です。英語では「Employment Situation」と呼ばれます。
為替が大きく動くのは、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が、「雇用の最大化」と「物価の安定」を目標に金利を決めているからです。雇用が強ければ金利を下げる必要が小さくなり、弱ければ下げる理由になります。金利の見通しが変わると、金利の高い通貨を持ちたい人の売り買いが動くため、ドル円が大きく動きます。
特に注目される3つの項目
| 項目 | どんな数字? | 強い結果とされるのは |
|---|---|---|
| 非農業部門雇用者数(NFP) | 農業以外で働く人が、前の月から何人増えたか | 予想より多く増えた |
| 失業率 | 働きたい人のうち、仕事がない人の割合 | 予想より低い |
| 平均時給 | 働く人の1時間あたりの給料の伸び | 予想より高い(物価が上がりやすい) |
※米国労働省労働統計局(BLS)「Employment Situation」の項目。雇用者数と平均時給は事業所への調査、失業率は家庭への調査から計算される
なかでも市場が最も注目するのが、非農業部門雇用者数です。ニュースで「雇用者数が◯万人増えた」と報じられるのはこの数字です。
発表はいつ?何時?
| 時期 | 日本時間の発表時刻 |
|---|---|
| 夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜) | 21:30 |
| 冬時間(それ以外) | 22:30 |
※米国東部時間の午前8時30分に発表。原則として毎月第1金曜日に、前の月の分が発表される
発表日は原則として毎月第1金曜日ですが、祝日や集計の都合でずれることがあります。2025年秋には米政府機関の一部閉鎖で、11月20日(木)や12月16日(火)に発表された回もありました。正確な日程は当サイトの経済指標カレンダーで確認できます。
値動きの向きは「予想との差」で決まる
図: 雇用統計の結果とドル円・金の動きやすい向き(一般的な考え方をhiro-fx.comがまとめたもの)
雇用統計の前には、エコノミストたちが結果を予想し、その真ん中あたりの数字が「市場予想」として報じられます。相場はこの予想をある程度織り込んで動いているので、大事なのは結果の良し悪しではなく、予想とどれだけ違ったかです。たとえ雇用が増えていても、予想より少なければドルが売られることがあります。
予想はどこで見る?
市場予想は、FX会社や証券会社の経済指標カレンダー、マーケットニュースで、発表の数日前から確認できます。予想の数字は情報元によって少し違うことがあるので、いつも同じところで確認すると比べやすくなります。
前の月の修正と、平均時給にも注意
雇用統計では、前の月や前々月の雇用者数も修正(改定)されます。2025年8月1日の発表では、7月の雇用者数が7.3万人と予想の11万人を下回ったうえ、5月と6月の分が合わせて25.8万人も下方修正され、市場を驚かせたと報じられました(CNBC・ロイター)。雇用者数・失業率・平均時給・修正の結果がばらばらの向きだと、発表直後に上下に振れることもあります。
【データ】雇用統計でドル円は何pips動いた?2016年以降の128回を集計
図: 発表からの経過時間ごとのドル円の動きの平均(2016年1月〜2026年9月の雇用統計128回と、その翌週の同じ曜日・同じ時刻126回。Dukascopy社のヒストリカルデータ・1分足をもとにhiro-fx.comが集計)
米国労働統計局が公表している発表日の一覧をもとに、2016年1月から2026年9月までの雇用統計128回について、発表前後のドル円の1分ごとの値動きを集計しました。比べる相手は、発表のない翌週の同じ曜日・同じ時刻(126回・ほとんどが金曜日)です。
雇用統計の日は、発表から1分後の時点ですでに平均約31pips動いていて、発表のない日の約3.6倍です。動きの大半は最初の1分に集中し、そのあとは60分後でも平均約38pipsと、あまり増えません。
| 雇用統計の日 | 発表のない日 | |
|---|---|---|
| 発表1分後の動き(平均) | 30.9pips | 8.6pips |
| 発表1分後の動き(中央値) | 21.7pips | 2.9pips |
| 発表から1時間の値幅(平均) | 74.2pips | 33.6pips |
| 発表から1時間の値幅(中央値) | 57.3pips | 26.2pips |
| 発表前1時間の値幅(平均) | 16.9pips | 19.6pips |
| 1時間の値幅が120pips以上 | 20回(16%) | 2回(2%) |
| 1時間の値幅が30pips未満 | 19回(15%) | 71回(56%) |
※hiro-fx.comの集計。「動き」は発表直前の価格との差、「値幅」はその時間の高値と安値の差。期間は2016年1月8日〜2026年9月4日
おもしろいのは、発表前の1時間の値幅が平均約17pipsと、発表のない日(約20pips)より小さいことです。結果を待って取引が控えられ、発表の瞬間にたまった動きが一気に出ることがわかります。一方で、1時間の値幅が30pips未満にとどまった回も19回あり、毎回大きく動くわけではありません。
年ごとに見ると、2022年以降は動きが大きい
図: 年ごとの発表から1時間の値幅の平均(hiro-fx.comの集計・雇用統計128回)
2018〜2020年は1時間の値幅が平均30〜40pips台でしたが、FRBが急ピッチで利上げした2022年からは大きくなり、2024年は平均約134pipsでした。ドル円の水準そのものが高くなったことに加え、金利の先行きを雇用統計で探る動きが強まったためと考えられます。2018〜2020年ごろの感覚で見ると、2022年以降の雇用統計の動きは大きく感じるはずです。
大きく動いた回と、そのときの結果
| 発表日 | 1分後の動き | 60分後の動き | 1時間の値幅 |
|---|---|---|---|
| 2024年10月4日 | +142pips | +211pips | 240pips |
| 2025年8月1日 | −70pips | −237pips | 240pips |
| 2024年9月6日 | −74pips | +14pips | 206pips |
| 2023年2月3日 | +84pips | +184pips | 200pips |
| 2024年8月2日 | −128pips | −125pips | 193pips |
※hiro-fx.comの集計。+は円安・ドル高(ドル円の上昇)、−は円高・ドル安
いちばん大きく動いたのは2024年10月4日です。雇用者数が25.4万人と、予想の14万人台を大きく上回り、ドル円は1分で約142pips、1時間で約211pips上がりました。2025年8月1日は、先ほどの大幅な下方修正を受けて、1時間で約237pips下がっています。予想との差が大きい回ほど、大きく動いたことがわかります。
最初の1分の向きは、1時間後も続いた?
発表1分後に動いた向きと、60分後の向きが同じだった回は、128回中94回(73%)でした。多くの回で最初の向きがそのまま続いていますが、残りの約4回に1回は1時間後に逆向きになっています。1分後より60分後のほうが同じ向きに大きく伸びた回は59回、1分後の動きの半分以上を戻した回は47回でした。
また、発表1分後に上がった回は128回中72回で、ほぼ半々です。「雇用統計の日はドル円が上がる」といった決まった傾向はありません。初動の続きやすさは、ほかの指標も含めて米指標の初動は続くのか?で検証しています。
金(ゴールド)はどう動いた?
同じ回の金(ドル建て)を見ると、発表1分後にドル円と逆の向きに動いた回が125回中111回(89%)ありました。ドルが買われると金は下がり、ドルが売られると金は上がる、という関係がはっきり出ています。金の値幅は発表から1時間で平均約1.0%(約20ドル)で、発表のない日(約0.5%)の約2倍でした。金の値動きは当サイトの金価格ウォッチでも確認できます。
雇用統計の値動きで気をつけたいこと
図: 雇用統計の発表のときに起きやすいこと(外為どっとコムなど各社の説明をもとにhiro-fx.com作成)
雇用統計の発表前後は、スプレッド(買値と売値の差=取引のコスト)が広がることがあります。外為どっとコムも、米雇用統計など重要な指標の発表前後はスプレッドが拡大する場合があると説明しています。「原則固定」とうたっているスプレッドも、こうした時間は例外になるのが一般的です。
値動きが速いため、成行の注文や逆指値の注文が、思った価格から離れて成立する「滑り」も起きやすくなります。動いた向きに慌てて飛び乗ると、すぐに逆に戻されて損をすることもあります。
雇用統計の日、初心者はどうすればいい?
図: 雇用統計の日のチェックリスト(hiro-fx.com作成)
初心者のうちは、雇用統計の発表をまたいで大きな取引を持たないのが無難です。持ったままにするなら、損切りの注文を入れ、動いても耐えられる量にしておきましょう。
発表のたびに、チャートで値動きを眺めてみるのもおすすめです。当サイトの経済指標データベースでは、雇用統計などの発表のたびに、ドル円が1分後・5分後・60分後にどう動いたかを自動で記録しています。
よくある質問
Q1. 雇用統計の日は、いつも大きく動きますか?
A. いつもではありません。当サイトの集計では、発表から1時間の値幅が30pips未満にとどまった回が128回中19回ありました。結果が予想に近いと、動きは小さくなりやすいです。
Q2. 予想を当てれば、雇用統計で稼げますか?
A. 結果を当てても、それだけで利益になるとは限りません。雇用者数・失業率・平均時給・前の月の修正の向きがそろわないこともあり、スプレッドの広がりや滑りもあります。発表で稼げるかどうかを断言することはできません。
Q3. 雇用統計の結果はどこで見られますか?
A. 発表元は米国労働省の労働統計局(BLS)の公式サイトです。日本語では、FX会社のマーケットニュースや経済指標カレンダーで、予想や前回の数字と並べて確認できます。
Q4. 雇用統計で、ゴールドは上がりますか?下がりますか?
A. 結果しだいです。雇用が予想より強くドルが買われると金は下がりやすく、弱いと上がりやすくなります。当サイトの集計でも、発表1分後に金がドル円と逆に動いた回が89%でした。
Q5. 夏時間と冬時間は、いつ切り替わりますか?
A. 米国の夏時間は3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までです。この間は日本時間21:30、それ以外は22:30に発表されます。
雇用統計とは?発表資料の中身と数字の読み方
| 家計調査 | 事業所調査 | |
|---|---|---|
| 調べる相手 | 約6万世帯 | 約11.9万の企業・政府機関(約62.2万か所の職場) |
| ここから出る数字 | 失業率・労働参加率 | 非農業部門雇用者数・平均時給 |
| 発表資料の表 | Aの表(HOUSEHOLD DATA) | Bの表(ESTABLISHMENT DATA) |
※米国労働省労働統計局(BLS)「Employment Situation」のTechnical Note(2026年9月29日時点の掲載内容)より
雇用統計は、BLSが2つの調査をまとめて発表する統計です。家庭に聞き取る「家計調査」から失業率が、企業の給与の記録を集める「事業所調査」から雇用者数と平均時給が計算されます。
知っておきたいのは、雇用者数には統計としての誤差があることです。BLSは、前の月からの増減には90%の確からしさで±12.2万人ほどの幅があると説明しています。「5万人増」と発表されても、実際は7.2万人減から17.2万人増のどこか、という意味です。予想との差が数万人なら統計のぶれの範囲で、あとで修正されることもあります。
失業率は、労働参加率と一緒に見るのがおすすめです。労働参加率は、人口のうち「働いている人と仕事を探している人」の割合です。失業率が下がっても、仕事探しをあきらめた人が増えて労働参加率も下がっているなら、雇用がよくなったとは言い切れません。
原文はBLSの公式サイトで「Employment Situation」を開くと読めます。失業率はAの表の「Total, 16 years and over」、雇用者数はBの表の「Total nonfarm」、平均時給は「Average hourly earnings」の行です。Bの表では業種ごとの雇用者数もわかり、一部の業種だけが大きく増減しているときは一時的な動きのこともあります。
まとめ:雇用統計のドル円は1時間で平均約74pips。向きは予想との差しだい
- 雇用統計の発表で、ドル円は1分で平均約31pips、1時間の値幅で平均約74pips動いた(2016年以降の128回)
- 発表のない日の同じ時間の約2.2倍。2022年以降は動きが大きい
- 向きを決めるのは、結果そのものより「予想との差」と前の月の修正
- 最初の1分の向きが1時間後も同じだったのは73%。金はドル円と逆に動きやすい
- スプレッドの広がりや滑りに注意し、初心者は取引を軽くして発表を迎える
雇用統計そのものの詳しい解説は上の「雇用統計とは?発表資料の中身と数字の読み方」、ほかの指標でドル円がどれくらい動くかは経済指標でドル円はどれくらい動く?をご覧ください。
※この記事の情報は2026年9月30日時点のものです。値動きのデータは、米国労働省労働統計局(BLS)「The Employment Situation」の公表日一覧(2016年1月〜2026年9月)と、Dukascopy社のヒストリカルデータ(ドル円・金の1分足)をもとにhiro-fx.comが集計したものです。主な出典: 米国労働省労働統計局(BLS)、外為どっとコム「FXの取引コスト『スプレッド』」、CNBC・ロイター(2025年8月1日の雇用統計)、FactSet(2024年10月4日の雇用統計の予想)。過去の値動きは将来の値動きを約束するものではありません。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。取引はご自身の判断で行ってください。

