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「FOMCの夜はドル円が大きく動く」。FXを始めると必ず耳にする話です。この記事は、2026年9月17日(木)日本時間3時のFOMCの結果発表を前に書いたものです。このサイトのFOMC織り込みウォッチでは、2026年9月13日時点で利上げの織り込みが88%まで進んでいます。
では、発表からの1時間で、ドル円は実際に何pips動いてきたのでしょうか。2023年12月から2026年7月までの22会合について、Yahoo Financeの1時間足で確かめました(2026年9月13日執筆)。
用語メモ:FOMCは米国の中央銀行(FRB)が政策金利を決める会合です。結果は米国東部時間の14時に発表され、日本時間では夏は3時、冬は4時にあたります。この記事の「値幅」は発表からの1時間の高値と安値の差、「値動き」は発表時の価格と1時間後の価格の差です。「中央値」は22回を大きい順に並べたときの真ん中の値で、極端な1回に引きずられにくい数字です。
・FOMC発表からの1時間で、ドル円はどれくらいの値幅で動いていたか
・その値幅は、FOMCがない日の同じ時間帯と比べて何倍か
・発表1時間の向きは、翌日まで続いていたか
FOMC発表後1時間のドル円の値幅は、普段の同じ時間の約6倍
図1: FOMC発表からの1時間の値幅(高値−安値)を22会合分並べたもの。緑の点線がFOMCの中央値、灰色の点線がFOMCがない日の同じ1時間の中央値(2023年12月〜2026年7月・出典:Yahoo Finance 1時間足)
ひとことで言うと:FOMC発表の1時間は、22回すべてで普段の同じ時間帯の中央値(14pips)を上回り、真ん中の会合で85pips動いていました。
図1のとおり、発表からの1時間の値幅は中央値85.4pipsでした。FOMCがない平日の同じ1時間(日本時間3時台、冬は4時台)は中央値14.1pipsなので、約6.1倍にあたります。普段なら15銭も動かない深夜の1時間に、80銭以上動くのがFOMCの夜の平均像です。
普段の3時台でこの85pipsを超えて動いた時間は、706回のうち0.3%しかありませんでした。一番小さかった会合(2026年4月)でも28.8pipsで、普段の中央値の約2倍です。値幅50pips以上は22回中19回、100pips以上は4回でした。
ただし「上か下か」はほぼ半々です。発表時の価格と1時間後の価格を比べると、上昇12回・下落10回でした。値動きの大きさは中央値40.2pipsで、値幅の半分ほどです。行って戻る動きが値幅の中に含まれていることがわかります。
あわせて読みたい:FOMCとは?わかりやすく何を決めるか・FRBとの違い・年8回の仕組み
2023〜2026年の22会合、ドル円が特に大きく動いたFOMC
図2: ドル円の日足終値(2023年11月27日〜2026年9月11日)に、FOMC発表日22回を▼で重ねたもの。緑は据え置き、橙は利下げ(出典:Yahoo Finance 1時間足から日次終値を作成)
ひとことで言うと:22会合のうち利下げは6回、据え置きは16回で、利上げは1回もありませんでした。大きく動いた会合は相場の転換点に重なっています。
図2は検証した期間のドル円と、FOMCの発表日です。この期間のFRBは2024年9月から利下げを始め、2025年12月までに6回の利下げをしました。残りの16回は据え置きです。2026年9月に織り込まれている「利上げ」は、この22回の中には1回も含まれていません。
発表1時間の値幅が大きかった順に並べたのが下の表です。最大は2023年12月13日(日本時間14日4時)の220.9pipsで、翌年の利下げ転換を示した会合でした。2番目は2024年9月の153.3pipsで、利下げ幅が0.5%と大きかった会合です。
| 順位 | 会合(発表・日本時間) | 決定 | 発表1時間の値幅 | 1時間後の値動き | ひとこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2023年12月14日 4:00 | 据え置き | 220.9pips | −194.0pips | 利下げ転換を示唆し急落 |
| 2 | 2024年9月19日 3:00 | 利下げ0.5% | 153.3pips | −83.6pips | 利下げ開始。2時間後には上昇に転換 |
| 3 | 2025年9月18日 3:00 | 利下げ0.25% | 138.1pips | +46.2pips | 1年前の9月会合。行って戻って上昇 |
| 4 | 2025年3月20日 3:00 | 据え置き | 128.0pips | −108.2pips | 下落がそのまま翌日まで続いた |
| 5 | 2024年3月21日 3:00 | 据え置き | 99.7pips | −80.3pips | 下落したが翌日にはほぼ戻した |
| 21 | 2026年6月18日 3:00 | 据え置き | 33.3pips | +31.3pips | 小さめ。ほぼ一方向に上昇 |
| 22 | 2026年4月30日 3:00 | 据え置き | 28.8pips | +13.8pips | 22回で最小 |
出典:Yahoo Finance ドル円1時間足(2023年12月〜2026年7月の22会合)、決定内容はFOMC織り込みウォッチの政策金利データベース。2026年9月13日集計。直近2会合の1分足は経済指標データベースで確認できます。
直近の2026年7月30日3時の会合は、1時間で−46.7pips、値幅53.7pipsでした。2026年6月18日は+31.3pipsで、値幅は33.3pipsと22回の中で2番目に小さい会合でした。
FOMC発表1時間の向きは翌日まで続く?22回中16回は同じ向き
図3: 横軸が発表1時間の値動き、縦軸が発表時から24時間後までの値動き。青は向きが同じだった会合、橙は逆になった会合(2023年12月〜2026年7月・22会合・出典:Yahoo Finance 1時間足)
ひとことで言うと:発表1時間で上がった会合は翌日も上、下がった会合は翌日も下、というケースが22回中16回でした。
図3は、発表1時間の向きと、そこから24時間後の向きを1会合ずつ点にしたものです。右上と左下の緑の領域が「向きが同じ」で、22回中16回がここに入りました。逆になったのは6回です。
もう少し短い時間でも同じ傾向でした。発表から2時間後(記者会見の後)に向きが同じだったのは22回中19回、4時間後も19回です。翌日までの値動きの大きさは中央値120.2pipsで、発表1時間の3倍ほどに広がっていました。
ただし、逆になった6回には2024年9月の利下げ開始が含まれます。この会合は1時間で−83.6pipsでしたが、2時間後には+47.4pipsへ切り返しました。「最初の1時間の向きに乗る」やり方は、会見で流れが変わる会合には弱いことも図3は示しています。
2026年のFOMCは値動きが小さめ、利上げの会合は検証の対象外
図4: 時期別(2023年12月〜2025年7月の14会合と2025年9月〜2026年7月の8会合)と、決定内容別(据え置き16回・利下げ6回)の中央値。青が値幅、橙が値動きの大きさ(出典:Yahoo Finance 1時間足)
ひとことで言うと:2025年9月以降の8会合は値幅の中央値56pipsと、それ以前の14会合(88pips)より小さめでした。利下げの会合は据え置きよりやや大きい傾向です。
図4の左2組は時期による違いです。2025年9月以降の8会合は中央値56.0pipsで、それ以前の14会合の87.8pipsより小さくなっていました。2026年に入ってからの5会合に限ると中央値48.8pipsです。「FOMCの夜は100pips動く」というイメージで待ち構えると、2026年の会合は肩すかしだったかもしれません。
右2組は決定内容による違いです。利下げの6回は値幅の中央値92.0pips、据え置きの16回は80.1pipsでした。ただし利下げは6回しかなく、差は小さいので参考程度です。
一番大きな注意点は、この22回に利上げの会合が1回もないことです。2026年9月17日3時の会合は利上げの織り込みが88%と、この期間にはなかった種類の会合です。利下げの6回でも値幅は据え置きより1割ほど大きかっただけなので、利上げだからといって極端に大きく動くと決めつける材料はありません。一方で、2023年12月のように「次の方向を示した会合」が最大の220.9pipsだったことも事実です。
集計上の限界も書いておきます。22回は統計として多くはなく、値幅の中央値85pipsは会合ごとに30〜220pipsとばらつきます。また1時間足の高値と安値はYahoo Financeの配信値で、業者のレートやスプレッドとは数pipsずれることがあります。
次回のFOMCの織り込みはFOMC織り込みウォッチで毎時更新しています。発表後のドル円1分足は経済指標データベースに自動で記録されるので、2026年9月17日の会合が22回のどのあたりに入ったかも、翌朝には確認できます。
本記事は過去データの集計結果を紹介するもので、投資助言ではありません。取引の判断はご自身の責任でお願いします。
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