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- トヨタの2026年度(2027年3月期)の想定為替レートは何円?
- トヨタの想定はどう見直されてきた?過去の推移は?
- 1円の円安で、トヨタの利益はどれくらい増える?中間決算で上方修正はありそう?
- ホンダ・日産・マツダ・デンソーの想定と比べるとどう違う?
トヨタ自動車の2026年度(2027年3月期)の想定為替レートは、1ドル=160円、1ユーロ=181円です。2026年8月4日の第1四半期決算で、期初の150円・180円から円安方向に見直しました。
想定為替レートは、会社が1年間の業績予想を立てるときに前提にする為替レートのことです。この記事では、トヨタと各社の決算説明資料・決算短信と、日本銀行の為替の統計をもとに、想定の推移と実際のドル円との差を確かめます。
トヨタの想定為替レートは1ドル160円(2026年度・2027年3月期)
| 発表した日 | 米ドル | ユーロ | 営業利益の見通し |
|---|---|---|---|
| 2026年5月8日(期初・2026年3月期の決算発表) | 150円 | 180円 | 3兆円 |
| 2026年8月4日(第1四半期の決算発表) | 160円 | 181円 | 3兆4,000億円 |
| 参考:2026年4〜6月の実績レート | 160円 | 185円 | ― |
| 参考:2025年度(2026年3月期)の実績レート | 151円 | 175円 | 3兆7,662億円(実績) |
※トヨタ自動車「2026年3月期 決算説明資料」「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」をもとに作成(2026年10月28日確認)。実績レートはトヨタが決算に使った期中平均
トヨタは5月の期初に、ドル円を前年度の実績(151円)より1円円高の150円と置きました。ところが4〜6月の実際のレートは平均160円で、想定より10円円安でした。8月の見直しでは通期の前提を160円に引き上げ、営業利益の見通しを3兆円から3兆4,000億円に増やしています。
見通しの増減の内訳を見ると、為替の影響は+4,800億円で、増額分の4,000億円を上回ります。資材価格などを含む原価の面の−1,200億円を、為替と「営業面の努力」の+2,300億円で補った形です。営業面の努力には、中東向けの代わりの物流ルートを作ったことによる増販などが入っています。
2025年度(2026年3月期)は145円から151円へ、決算のたびに見直し
| 発表 | 米ドル | ユーロ | 中身 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月(期初) | 145円 | 160円 | 1年分の前提 |
| 2025年8月(第1四半期) | 145円 | 160円 | 据え置き |
| 2025年11月(中間) | 146円 | 169円 | 4〜9月の実績146円+10月以降の前提145円 |
| 2026年2月(第3四半期) | 150円 | 174円 | 4〜12月の実績149円+1月以降の前提155円 |
| 2026年5月(実績) | 151円 | 175円 | 1年間の実績 |
※トヨタ自動車の2026年3月期 各四半期の決算説明資料をもとに作成
中間や第3四半期の決算で示す年間の想定は、「すでに終わった期間の実績」と「残りの期間の前提」を合わせた平均です。2025年度は円安が進むにつれて、146円、150円と少しずつ円安側に寄せ、最後は151円の実績で着地しました。
2026年度の中間決算でも、4〜9月の実績に10月以降の前提を足した形で年間の想定が出るはずです。ここまでの実際のドル円は、後半の【データ】で確かめます。
1円の円安でトヨタの営業利益はどれくらい増える?
| 会社 | 根拠 | 1ドル1円の円安で増える営業利益 |
|---|---|---|
| トヨタ | 2026年8月の見直し:米ドルの前提を10円円安にして+4,200億円 | 約420億円 |
| トヨタ | 2026年3月期の前提(日刊工業新聞の報道) | 約500億円 |
| ホンダ | 2026年8月の見直し:米ドルの前提を10円円安にして+1,135億円 | 約110億円 |
| ホンダ | 2026年3月期の前提(同上) | 約100億円 |
| 日産 | 2026年3月期の前提(同上) | 約120億円 |
※トヨタ・ホンダは2027年3月期 第1四半期 決算説明資料の営業利益の増減要因(米ドル分)を、見直した円の幅で割ったhiro-fx.comの計算。報道はニュースイッチ(日刊工業新聞)2025年12月15日の記事
1円の円安で利益がどれだけ動くかを「為替感応度」と呼びます。トヨタは8月の見直しで、米ドルの前提を10円円安にした効果を+4,200億円と示しました。1円あたりにすると約420億円です。報道では、2026年3月期の前提として「1円の円安で対ドル500億円、対ユーロ100億円」と伝えられています。
トヨタの数字がホンダや日産より大きい主な理由は、日本から海外へ輸出する取引が多いことです。8月の見直しでも、為替の影響+4,800億円のうち、輸出入などの外貨の取引による分が+5,150億円でした。海外の子会社の利益を円に直すときの差は−350億円と、小さめです。
あわせて読みたい:円安はなぜ輸出に有利?輸出企業が儲かる仕組みと輸入・家計のデメリット
想定と実際のドル円が何円ずれたら、利益はいくら動く?(早見表)
| 実際のドル円と想定のずれ | 1円=約420億円で計算 | 1円=約500億円で計算 |
|---|---|---|
| 1円 | 約420億円 | 約500億円 |
| 3円 | 約1,260億円 | 約1,500億円 |
| 5円 | 約2,100億円 | 約2,500億円 |
| 10円 | 約4,200億円 | 約5,000億円 |
※米ドル分だけの目安。想定より円安なら増える方向、円高なら減る方向。ユーロなど他の通貨、為替予約、原価の変化は入っていない
たとえば年間の平均が想定より5円円安なら、米ドル分だけで営業利益が2,000億円台の規模で上振れする計算です。5円円高なら、同じくらい下振れします。ユーロや原材料の値段でも業績は変わるので、目安として使ってください。
【データ】トヨタの想定と実際のドル円の推移:7年中6年は実際のほうが円安
図: 期初の想定はトヨタ自動車の各年5月の決算説明資料。実際は日本銀行「外国為替市況」東京市場ドル・円スポット17時時点の日次データ(2019年4月1日〜2026年10月23日)を年度ごとに平均(hiro-fx.com集計)
トヨタが5月に出す期初の想定と、その年度の実際のドル円の平均を2019年度から並べました。2019年度〜2025年度の7年のうち、6年は実際のほうが円安で、ずれは平均8.6円でした。いちばん大きかったのは2022年度で、想定115円に対し実際は135.42円と、20円以上の差がありました。
| 年度(決算期) | 期初の想定 | 想定を出した5月のドル円 | 実際の年度平均 | 実際−想定 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年度(2020年3月期) | 110円 | 109.76円 | 108.67円 | −1.33円 |
| 2020年度(2021年3月期) | 105円 | 107.28円 | 106.07円 | +1.07円 |
| 2021年度(2022年3月期) | 105円 | 109.12円 | 112.36円 | +7.36円 |
| 2022年度(2023年3月期) | 115円 | 128.68円 | 135.42円 | +20.42円 |
| 2023年度(2024年3月期) | 125円 | 137.39円 | 144.54円 | +19.54円 |
| 2024年度(2025年3月期) | 145円 | 156.21円 | 152.53円 | +7.53円 |
| 2025年度(2026年3月期) | 145円 | 144.77円 | 150.63円 | +5.63円 |
| 2026年度(2027年3月期) | 150円 | 158.34円 | 159.25円(10月23日まで) | +9.25円 |
※5月のドル円と年度平均は日本銀行の時系列統計(東京市場17時)をhiro-fx.comが集計。トヨタ自身の実績レート(151円など)との差は各年度0.5円以内
表の「5月のドル円」は、トヨタが期初の想定を出した月の平均です。8年中6年は、その時点の相場より2〜14円ほど円高に想定を置いていました。残りの2019年度と2025年度は、5月の相場とほぼ同じ水準です。
想定を円高寄りに置いた年は、為替が利益の上振れ要因になりやすい形でした。ただし2019年度のように実際のほうが円高だった年もあり、いつも上振れするわけではありません。
2026年度のここまで:4〜10月の平均は159円台で、想定の160円に近い
図: 日本銀行「外国為替市況」東京市場ドル・円スポット17時時点の日次データを月ごとに平均(2026年4月1日〜10月23日・138営業日、hiro-fx.com集計)
2026年度に入ってからのドル円の平均は、4〜9月の上期が159.42円、10月23日までを含めると159.25円です。8月に見直した160円とほぼ同じで、期初の150円よりは約9円円安です。
ただし月ごとには動きがあり、7月の平均162.45円から9月は156.23円まで円高に戻りました。この間には、2026年7月30日〜8月26日の期間に円買いの為替介入があったことが、財務省の月ごとの公表で分かっています。10月23日のドル円は156.96円でした。
上期の平均が159円台なので、年度の平均を160円にするには、10月〜翌3月の平均が約160.6円必要です。営業日数は前年度の同じ期間で概算しました。中間決算でトヨタが10月以降の前提を何円に置くかで、年間の想定と業績見通しが変わります。
月ごとのドル円の高値・安値はドル円 相場アーカイブ、介入の記録は為替介入データベースで確かめられます。
ホンダ・日産・マツダ・デンソーなど自動車メーカーの想定為替レート
| 会社 | 期初の想定(米ドル) | 第1四半期決算での想定(米ドル) | ユーロ | 発表日 |
|---|---|---|---|---|
| トヨタ | 150円 | 160円(10円円安に) | 181円 | 2026年8月4日 |
| ホンダ | 145円 | 155円(10円円安に) | ― | 2026年8月5日 |
| 日産 | 150円 | 150円(据え置き) | 175円 | 2026年8月3日 |
| マツダ | 155円 | 155円(据え置き) | 180円 | 2026年8月4日 |
| スズキ | 155円 | 158円(3円円安に) | 183円 | 2026年8月5日 |
| デンソー | ― | 154.6円 | 181.3円 | 2026年7月31日 |
※いずれも2027年3月期(2026年度)の通期の前提。各社の第1四半期の決算説明資料・決算参考資料・業績予想の修正のお知らせ(デンソーは英文の決算リリース)をもとに作成(2026年10月28日確認)。期初はトヨタ5月8日・日産5月13日・マツダ5月12日・ホンダ5月14日の発表。ホンダはユーロの前提を示していない。SUBARU・三菱自動車などは第1四半期時点の想定を一次資料で確認できなかったため載せていない
2026年4〜6月の実際のレートは、トヨタ・日産・マツダ・スズキが1ドル160円、ホンダが159円と、どの会社もほぼ同じでした。それでも8月の見直しは分かれ、トヨタとホンダは10円、スズキは3円円安に動かし、日産とマツダは据え置きました。
ホンダは2026年8月5日の「業績予想の修正に関するお知らせ」で、通期の前提を145円から155円に見直しました。理由は、4〜6月が想定より円安だったことと、その先の市場の環境を考えたためです。営業利益の見通しは5,000億円から6,500億円に引き上げました。中東情勢の影響の見極めが必要として、販売台数などの前提は変えず、為替の前提だけを見直しています。
マツダは155円の前提を変えず、4〜6月は円安の効果が+413億円(前年同期比)ありました。トヨタグループの部品メーカーのデンソーは、通期の前提を1ドル154.6円としています。部品・材料費の上昇を為替の増益などで打ち消すとして、営業利益の見通し(5,000億円)は変えていません。
日産の2025年度(2026年3月期)の想定は146円、実績は151円
| 日産の想定・実績 | 米ドル | ユーロ |
|---|---|---|
| 2025年度の想定(2025年11月の中間決算時点) | 146円 | 168円 |
| 2025年度の実績(2026年5月13日発表) | 151円 | 175円 |
| 2026年度の想定(2026年5月13日・8月3日とも) | 150円 | 175円 |
※日産自動車の2025年11月6日のニュースリリース、「2025年度 決算報告」、「2026年度 第1四半期決算 参考資料」をもとに作成
日産は2025年11月の中間決算で、2025年度(2026年3月期)の通期の想定を1ドル146円・1ユーロ168円としていました。実績は151円・175円で、想定より円安で終わっています。
2026年度の日産の想定は1ドル150円で、5月の決算発表から8月まで変えていません。上の6社の中では、米ドルの想定がいちばん円高寄りです。
想定為替レートを見るときの注意点:利益は為替だけで決まらない
| 注意点 | トヨタの例 |
|---|---|
| 想定は相場の予想ではなく、計画の前提 | 期初は前年度より円高寄りの150円。決算のたびに実績を入れて見直す |
| 為替以外で利益が大きく動く | 2025年度は関税の影響が営業利益で−1兆3,800億円 |
| 為替感応度は資料や年度で変わる | 8月の見直しから計算すると約420億円、報道では約500億円 |
| 年間の想定は「実績+残りの前提」 | 中間決算の数字は、4〜9月の実績と10月以降の前提の平均 |
※トヨタ自動車の決算説明資料をもとに作成
トヨタの2025年度は、ドル円の平均が前年度より2円円高(153円→151円)で、為替の影響は営業利益で−1,950億円でした。一方で関税の影響は−1兆3,800億円と、為替よりはるかに大きく、営業利益は4兆7,955億円から3兆7,662億円に減りました。
2026年度の見通しでも、資材価格や中東情勢の影響が利益を押し下げる要因として挙がっています。想定より円安でも、ほかの要因で見通しが下がることはあります。株価も、決算の前に市場が円安の効果を見込んでいることがあり、上方修正がそのまま株価の上昇につながるとは限りません。
よくある質問
Q1. トヨタの中間決算(次の想定為替レートの見直し)はいつですか?
A. 例年11月上旬です。2025年は11月5日、2024年は11月6日に発表しました。2026年の日程は、トヨタ自動車の株主・投資家向けサイトで確かめてください。
Q2. 「トヨタ 想定為替レート 2027」は何円ですか?
A. 2027年3月期(2026年4月〜2027年3月)の想定なら、2026年8月時点で1ドル160円・1ユーロ181円です。2027年4月から始まる2028年3月期の想定は、例年どおりなら2027年5月の決算発表で示されます。
Q3. トヨタの想定為替レートは、決算資料のどこに書いてありますか?
A. 決算説明資料の「連結決算見通し要約」の表の下のほうに、「為替レート 米ドル・ユーロ」の行があります。営業利益の増減要因のグラフの下にも「160円/米ドル」のように書かれています。
Q4. ユーロの想定も、実際より円高になることが多いですか?
A. トヨタの決算資料で2019年度〜2025年度の期初の想定と実績レートを比べると、ユーロも7年中6年で実績のほうが円安でした。2023年度は想定135円に対し実績157円と、22円の差がありました。
Q5. 円高になったら、トヨタの利益はどうなりますか?
A. 円安と逆に、減る方向に働きます。2025年度は前年度より2円の円高で、為替の影響が営業利益で−1,950億円でした。どれくらい減るかは、上の早見表を目安にしてください。
まとめ:トヨタの2026年度の想定は1ドル160円、実際のドル円もほぼ同じ水準
- トヨタの2026年度(2027年3月期)の想定為替レートは1ドル160円・1ユーロ181円(2026年8月4日に150円・180円から見直し)
- 1ドル1円の円安で、営業利益は約420億円増える計算(8月の見直しから計算。報道では約500億円)
- 2019年度〜2025年度の7年中6年は、実際のドル円が期初の想定より円安で、ずれは平均8.6円
- 2026年4月〜10月23日のドル円の平均は159.25円で、想定の160円に近い。次の見直しは例年11月上旬の中間決算
- 自動車各社の想定は150〜160円。トヨタとホンダは8月に10円見直し、日産とマツダは据え置き
為替が輸出企業の利益に効く仕組みは、円安はなぜ輸出に有利?で解説しています。2026年のドル円が過去と比べて円高か円安かは、今は円高?円安?何円から円高かを過去の平均と購買力平価で判定で確かめられます。
※この記事の情報は2026年10月28日時点のものです。主な出典: トヨタ自動車「2027年3月期 第1四半期 決算説明資料」(2026年8月4日)、「2026年3月期 決算説明資料」(2026年5月8日)と2020年3月期〜2026年3月期の各決算説明資料、本田技研工業「業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年8月5日)と第1四半期決算説明資料、日産自動車「2026年度 第1四半期決算 参考資料」(2026年8月3日)・「2025年度 決算報告」(2026年5月13日)・2025年11月6日のニュースリリース、マツダ・スズキの2027年3月期 第1四半期 決算説明会資料、デンソーの第1四半期決算リリース(2026年7月31日)、ニュースイッチ(日刊工業新聞)2025年12月15日、日本銀行 時系列統計データ「外国為替市況」、財務省「外国為替平衡操作の実施状況」。ドル円の集計はhiro-fx.comによるものです。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買をすすめるものではなく、投資の助言ではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いします。
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