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リスクオフの日、ドル円は本当に下がるのか?15年・3,738営業日で検証した

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「リスクオフになると円が買われて、ドル円は下がる」。ニュースでもよく聞く言葉ですが、本当にそうなのでしょうか。

このサイトが毎時更新しているリスクオン/オフメーターの計算式を使い、2011年から2026年9月4日までの3,738営業日を1日ずつ再構成して数えてみました。

用語メモ:リスクオン/オフメーターは、株(S&P500)・恐怖指数(VIX)・米社債(ハイイールド債)・金の4つから作る0〜100のスコアです。為替は材料に入れていません。40〜60が「中立」、40未満が「リスクオフ」、20未満が「強いリスクオフ」です。この記事の「その日の値動き」は、前の営業日のNY終値から当日のNY終値までのドル円の変化を指します。「相関」は−1〜+1で連動の強さを表す数字で、0に近いほど関係が薄いことを意味します。

この記事でわかること
・強いリスクオフの日、ドル円はその日のうちに平均でどれだけ下がったか
・リスクオフが強いほど、ドル円は下がりやすいのか
・2026年9月の急な円高のとき、メーターはどう動いていたか

結論:強いリスクオフの日、ドル円は平均−24.3pips下がっていました

リスクオン/オフメーターの帯ごとに見た、その日のドル円の平均の値動き(pips)-50-40-30-20-10+0+10+20+30-24.3強いリスクオフ150日-4.7リスクオフ582日+1.6中立1986日+11.7リスクオン1008日-43.1強いリスクオン12日その日の値動き=前の営業日のNY終値→当日のNY終値。薄い青の「強いリスクオン」は12日しかなく参考値集計期間 2011年10月24日〜2026年9月4日・3,738営業日。スコアはメーター(4要素)と同じ計算式で、過去1年の分布から日ごとに再構成平均(pips)

図1: メーターの帯ごとの、その日のドル円の平均の値動き。2011年10月24日〜2026年9月4日・3,738営業日。出典: Yahoo Finance日足から再構成

ひとことで言うと:リスクオフが強い帯ほど棒は下に、リスクオンの帯ほど上に並びます。「リスクオフの日は円高」は、15年分の平均ではっきり出ています。

図1のいちばん左、強いリスクオフの日のドル円は平均−24.3pipsでした。この帯に入った150日のうち、ドル円が上昇して終えた日は36.0%しかありません。

逆にリスクオンの日(1,008日)は平均+11.7pipsで、上昇して終えた日が58.2%でした。「リスクオフの日は円高になりやすい」という通説は、数字でも裏づけられました。

検証の中身:リスクオフが強いほど、その日のドル円は下がりやすい

その日にドル円が上昇して終えた割合(%)と、全期間の平均52.9%304050607036.0%強いリスクオフ150日48.5%リスクオフ582日53.0%中立1986日58.2%リスクオン1008日33.3%強いリスクオン12日緑の点線=全期間の平均52.9%。集計期間 2011年10月24日〜2026年9月4日・3,738営業日

図2: 帯ごとの「その日にドル円が上昇して終えた割合」。緑の点線は全期間の平均52.9%。2011年10月24日〜2026年9月4日・3,738営業日

ひとことで言うと:上昇して終えた割合は、強いリスクオフの36.0%からリスクオンの58.2%まで、帯の順にきれいに階段状です。

図2は、その日の帯ごとに「ドル円が上昇して終えた割合」を並べたものです。全期間の平均は52.9%なので、強いリスクオフの日は平均より17ポイント低く、リスクオンの日は5ポイント高いことになります。

いちばん右の「強いリスクオン」だけ33.3%と低いですが、この帯は15年で12日しかありません。参考値と考えてください。

メーターの帯 日数 その日の平均 上昇して終えた割合 ひとこと
強いリスクオフ(20未満) 150 −24.3pips 36.0% 3日に2日は下落
リスクオフ(20〜40) 582 −4.7pips 48.5% 小幅安が多め
中立(40〜60) 1,986 +1.6pips 53.0% 全期間の平均とほぼ同じ
リスクオン(60〜80) 1,008 +11.7pips 58.2% 上昇が多め
強いリスクオン(80超) 12 −43.1pips 33.3% 12日しかなく参考値
全期間 3,738 +2.1pips 52.9% 基準になる数字

出典: リスクオン/オフメーター(4要素)の計算式で2011年から日次に再構成(各日の過去1年の分布でスコア化)。ドル円はYahoo Finance日足のNY終値。2026年9月8日集計

連動の強さを相関で見ると、「その日のスコアの変化」と「その日のドル円」の相関は+0.17でした。方向は一致するものの、ドル円の値動きのうちメーターで説明できる部分は限られる、という強さです。

秒スキャ視点のポイント:メーターが20を割るような日は、ドル円が3日に2日は下落して終えています。株安・VIX上昇と同時に円高が進んでいる最中は、戻り売り目線がデータと合います。ただしスコアは米国市場の動きを映す「その日の温度計」なので、翌朝に持ち越す根拠にはなりません(詳しくは最後の節)。

2026年9月の実例:ドル円が3.92円下げても、メーターは中立のままでした

2026年6〜9月のドル円と、リスクオン/オフメーターのスコア156158160162164ドル円 終値(円)20406080メーターのスコア(0〜100・緑の帯40〜60が中立)6月7月8月9月8/28 スコア64.7・160.12円9/4 スコア54.5・156.20円網掛け=スコア40未満(リスクオフ)の日・11日出典: Yahoo Finance 日足(NY終値)2026年6月1日〜9月4日・68営業日

図3: 2026年6月1日〜9月4日のドル円終値(上・青)とメーターのスコア(下・橙)。網掛けはスコア40未満の日(11日)。出典: Yahoo Finance日足・68営業日

ひとことで言うと:2026年8月28日から9月4日にかけてドル円は160.12円から156.20円へ3.92円下げましたが、スコアは64.7から54.5へ下がっただけで「中立」の帯にとどまりました。この円高は、株や社債の「リスク回避」とは別の材料で起きたことになります。

図3の右端が、この記事を書くきっかけになった2026年9月の動きです。ドル円は5営業日で3.92円下げましたが、メーターは中立圏を出ていません。

いちばん大きく動いた2026年9月3日は、1日で−326.3pipsでした。この日のスコアはむしろ55.4から56.4へ上がっていて、株や社債は落ち着いていたことがわかります。

一方で図3の左側、2026年6月と7月の網掛け(スコア40未満)の日を見ると、ドル円は160〜163円台で下がっていません。「リスクオフ=円高」は平均すると出る傾向であって、毎回そうなるわけではありません。

注意点:2022年以降は、その日の連動もほぼ消えています

年ごとの「スコアの変化」と「その日のドル円の値動き」の連動の強さ(相関)-0.20.00.20.40.3120120.3020130.3720140.3720150.4120160.3320170.3120180.3720190.2020200.222021-0.0220220.092023-0.0120240.092025-0.272026青=2012〜2021年 橙=2022年以降(2026年は9月4日までの170営業日)相関は−1〜+1。プラスが大きいほど「スコアが上がった日はドル円も上がる」傾向が強い。各年250営業日前後

図4: 年ごとの「スコアの変化」と「その日のドル円」の相関。青=2012〜2021年、橙=2022年以降。2026年は9月4日までの170営業日

ひとことで言うと:2012〜2019年は相関が0.30〜0.41で安定していました。2022〜2025年は−0.02〜0.09とほぼゼロになり、2026年は9月4日までで−0.27と向きが逆です。

図4を見ると、「リスクオフの日はドル円が下がる」が特にはっきりしていたのは2012〜2019年でした。2022年以降は連動がほぼ消え、2026年に入ってからは逆向きの年になっています。

2022年以降のドル円は、日米の金利差や為替介入の思惑で動く場面が増えました。「リスクオフ=円高」という古い経験則を、そのまま2026年の相場に当てはめるのは危険です。

もう1つお伝えしておくと、このメーターは2026年9月8日に材料から豪ドル円を外し、4要素にしました。豪ドル円が入っていると円高そのものでスコアが下がり、「リスクオフだから円高」と因果を逆に読んでしまうためです。旧5要素版で同じ検証をすると当日の相関は+0.26で、その約3分の1は円の動きの二重計上でした。

また、スコアは各日の「過去1年の分布」から計算し直しているので、公開中のメーターの数字とは小数点以下がわずかにずれることがあります。2026年9月4日のスコアは、公開値54.6に対して再構成では54.5でした。

ちなみに、翌日のドル円は普段と同じでした

ちなみに翌営業日は? 帯ごとの翌日のドル円の平均(pips)と全期間の平均+2.1-15-10-5+0+5+10+15+4.5強いリスクオフ150日+1.9リスクオフ582日+1.2中立1985日+3.9リスクオン1008日-9.0強いリスクオン12日緑の点線=全期間の翌日平均+2.1pips。集計期間 2011年10月24日〜2026年9月4日・3,737営業日(翌営業日の終値が取れる日)

図5: 帯ごとの「翌営業日のドル円の平均」。緑の点線は全期間の翌日平均+2.1pips。2011年10月24日〜2026年9月4日・3,737営業日

ひとことで言うと:翌営業日の平均は、どの帯も全期間の+2.1pipsの近くに集まっています。リスクオフの翌日だからといって、ドル円が下がり続ける傾向はありませんでした。

図5は補足です。強いリスクオフの翌日は平均+4.5pipsで、翌日に上昇して終えた割合も53.3%と、全期間の53.0%とほぼ同じでした。

「その日のスコアの変化」と「翌日のドル円」の相関も−0.05で、ほぼ無関係です。メーターは「その日の温度計」として使い、翌日の向きは別の材料で判断するのが、15年分のデータに合った使い方です。

リスクオン/オフメーターの最新スコアと4つの材料の内訳は、リスクオン/オフメーターのページで毎時更新しています。ドル円の割高・割安や金利差との関係は、ドル円 割高・割安メーター日米金利差ウォッチもあわせてご覧ください。

この記事は2026年9月8日時点のデータに基づく情報提供であり、投資助言ではありません。売買の判断はご自身の責任でお願いします。