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「今の相場、前にも見た気がする」——チャートを眺めていて、そう感じたことはないでしょうか。当サイトの相場タイプナビは、その「似ている」を毎日数字で探しているページです。ドル円を「方向・主導材料・ボラ(値動きの荒さ)」で分類し、あわせて過去20年から「今と似た日」を検索しています。
2026年9月1日、この検索に目を引く結果が出ました。「今と似た日」トップ10が、その後の5営業日で10件すべてマイナスだったのです。上昇0回・下落10回。この数字をどこまで信用してよいのか、中身を検証しました。
・「今のドル円に似た日」トップ10がいつで、その後どう動いたか
・大きな分類や全営業日と比べたとき、どれだけ珍しい結果なのか
・サンプル10件の検索結果を、どこまで信用してよいか
結論:5営業日後は上昇0回・下落10回。ただし下げは最初の1週間だけでした
類似トップ10のその後5営業日は、上昇0回・下落10回、平均−1.38%でした。
比較の物差しを置いてみます。過去20年の全営業日(n=5,180。nは集計した日数です)では、5営業日後に上がっていた割合は53.1%。「ほぼ半々より少し上向き」が普通の姿なので、10回連続の下落はかなり珍しい並びです。
ただし、期間を延ばすと様子が変わります。20営業日後には上昇4回・下落6回(平均−0.89%)まで戻っていました。下げがずっと続いたのではなく、最初の1週間に集中していた、という形です。下の図で個別の線を見ても、その後の道はばらばらに広がっています。
図1: 類似上位10日のその後20営業日のパス(類似日終値=0%)。2006〜2026年・n=10、出典: hiro-fx.com「相場タイプナビ」(2026年9月1日時点)
検証の中身:「似た日」はこうやって選ばれている
相場タイプナビは、ドル円そのものに周辺のデータを加えた8つの数字で「今日の相場の顔」を作っています。8つの中身は、ドル円の1ヶ月・3ヶ月の変化、RSI(14)(買われすぎ・売られすぎの目安)、実現ボラ(実際の値動きの荒さ)、VIX(米株市場の不安心理を映す指数)、日米金利差の1ヶ月変化、S&P500、金です。
それぞれを「過去20年の平均からどれだけ離れているか」という共通の物差し(zスコア)に直し、8つの組み合わせが今日と最も近い日を選びます。直近90営業日は対象外で、選ばれた日どうしが近すぎる場合も外します。今回選ばれた10日が、次の表です。
| 類似日 | 当時のレート | 類似度 | +1日 | +5日 | +20日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2006/07/18 | 117.33円 | 83 | −0.43% | −0.15% | −1.18% |
| 2025/09/25 | 148.75円 | 81 | +0.75% | −1.12% | +2.15% |
| 2006/04/17 | 117.81円 | 77 | −0.79% | −2.72% | −6.04% |
| 2026/01/23 | 158.50円 | 77 | −2.10% | −3.37% | −2.11% |
| 2021/06/02 | 109.49円 | 76 | +0.09% | −0.02% | +0.95% |
| 2014/03/12 | 102.84円 | 75 | −0.06% | −1.36% | −0.86% |
| 2007/02/09 | 121.71円 | 75 | +0.05% | −1.89% | −2.79% |
| 2012/09/18 | 78.67円 | 75 | +0.12% | −1.03% | +0.15% |
| 2012/01/27 | 77.46円 | 74 | −0.94% | −1.65% | +3.19% |
| 2006/11/06 | 118.17円 | 73 | −0.49% | −0.46% | −2.37% |
| 平均(10件) | — | — | −0.38% (上昇4回) |
−1.38% (上昇0回) |
−0.89% (上昇4回) |
出典: hiro-fx.com「相場タイプナビ」類似検索(2026年9月1日 9:20更新)。騰落はドル円終値ベース
時期は2006年から2026年まで、円高の時代にも円安の時代にも散らばっています。直近では2026年1月23日が入っており、この日はその後5営業日で−3.37%。1月末の急な円高局面に、ちょうど重なっていました。
大きな分類で見ると、ほぼ「普通」になる
今度は、もっとざっくりした分類でも比べてみます。今日の相場タイプは「需給・その他主導のレンジ(低ボラ)」。金利や株の動きでは説明しにくい、静かな行ったり来たり——という意味です。過去20年で同じタイプだった日は780日ありました。
| グループ | n | 5営業日後の上昇率 | 平均騰落 |
|---|---|---|---|
| 類似上位10日(8つの数字の距離) | 10 | 0.0% | −1.38% |
| 同じ相場タイプの日(過去20年) | 777 | 55.6% | +0.05% |
| 全営業日(2006/9〜2026/8) | 5,180 | 53.1% | +0.04% |
出典: hiro-fx.com「相場タイプナビ」(同タイプ780日のうち5営業日後を計算できた777日)およびドル円日足終値(Yahoo Finance・セッション終値に再構成)。2026年9月1日時点
同じタイプの日まで広げると、5営業日後の上昇率は55.6%。全営業日とほとんど変わりません。つまり大きな括りでは何も言えず、「10回中10回下落」という偏りは、8つの数字まで細かく絞り込んだときにだけ現れるものです。
今日の「顔」を作っているのは金の急騰
では、その8つの数字の何が今日を特徴づけているのか。目立っているのは、実は1つだけです。金の1ヶ月変化が+11.67%と、過去20年の中でもかなり急なペースで上がっています。
ドル円自体はほぼ横ばいで、値動きの荒さも過去1年の下から19%という静かさです。「相場は静かなのに、金だけが走っている」——これが検索のキーになった、今日の相場の顔です。
図2: 今日の8つの数字のzスコア(過去20年基準)。出典: hiro-fx.com「相場タイプナビ」(2026年9月1日 9:20更新)
実際のチャートで10日の位置を見ると、リーマンショック前の2006年、超円高期の2012年、円安期の2021・2025年と、水準もトレンドもばらばらの場所から選ばれています。似ているのはレートではなく「相場の顔」だ、ということがわかります。
図3: ドル円週次終値(2006〜2026年)と類似10日の位置。出典: hiro-fx.com「相場タイプナビ」data.json(2026年9月1日時点)
注意点:「10回中10回下落」を鵜呑みにしない
1. サンプルが10件しかありません。上がる確率が5割強のコインでも、10回連続で裏が出ることはあります。偶然の域を出ない可能性は、常に残ります。
2. 「類似度83」は相対的な点数です。過去20年の中では近い、という意味で、「ほぼ同じ相場」ではありません。また、需給や介入警戒、要人発言といった材料は8つの数字に入っていません。
3. 下げは続いていません。20営業日後には10回中4回がプラスに戻っています。この統計から言えるのは「最初の1週間が重かった」ところまでです。
まとめ
2026年9月1日時点の「今のドル円に似た10日」は、その後5営業日が10回中10回下落という珍しい読みになっていました。ただし大きな分類ではほぼ中立で、下げも1週間で止まっています。
類似検索は、方向を当てる道具というよりも、「今日は金だけが走る静かなレンジ」というように今の相場の顔を言葉にする道具として使うのが、データとの正直な付き合い方だと思います。
相場タイプと類似検索は相場タイプナビで毎朝9:20に更新されます。理論値との乖離はドル円 割高・割安メーター、月別の傾向はカレンダーアノマリーDBもあわせてどうぞ。
本記事は2026年9月1日時点の公開データをもとにした情報提供であり、特定の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

