FXの含み損は両建て・ナンピンで解消できる?外し方と平均レートの計算

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こんな疑問を持つ方へ
  • 両建てすれば、FXの含み損は解消できる?
  • 両建てしたポジションは、どうやって外せばいい?
  • ナンピン(買い増し)で含み損はどうなる?平均レートの計算は?
  • 損切り・両建て・ナンピン、結局どれを選べばいい?

FXの含み損は、両建てでもナンピンでも消えません。両建ては含み損をその金額で止めるだけで、ナンピンは損益ゼロになる価格を近づける代わりに、外れたときの含み損を大きくします。この記事では、両建ての外し方と費用、ナンピン後の平均レートの計算を解説します。あわせて、ドル円の約21年分の値動きで「含み損1円からナンピンした場合」と何もしない場合を比べた、当サイトの集計結果も紹介します。

FXの含み損は両建て・ナンピンで解消できる?

含み損1円のときに選んだこと150円に戻ったら148円に下がったらほかにかかるもの
損切りする−1万円(確定済み)−1万円(確定済み)なし
何もしない0円−2万円なし
両建てする(同じ量を売る)−1万円−1万円スワップの差・スプレッド
ナンピンする(同じ量を買う)+1万円−3万円必要証拠金が増える

※150円で1万通貨を買い、149円(含み損1万円)になったときの例。ナンピンは149円で1万通貨を追加。スプレッドとスワップは損益に含めていない(hiro-fx.com作成)

結論から言うと、含み損そのものを消す方法は、価格が戻るか、決済して損を確定させるかの2つしかありません。両建ても、ナンピンも、そのどちらかを先に延ばす方法です。

上の表は、150円で1万通貨を買い、149円で含み損1万円になったときの例です。両建てすると、そこから上がっても下がっても損は1万円のまま止まります。ナンピンすると、150円に戻れば1万円の利益になりますが、148円まで下がると含み損は3万円にふくらみます。

両建てとナンピンの違い

両建ては、持っているポジションと反対の売買を同じ量だけ行い、損益を動かなくする方法です。ナンピンは、含み損のときに同じ向きで買い増し(売り増し)して、平均の取引価格を有利にする方法です。両建ては「止める」、ナンピンは「賭けを大きくする」と考えると違いが分かりやすくなります。

両建てとは?含み損が「固定」されるしくみと費用

両建ての費用(ドル円1万通貨)金額の例
スワップ:買いでもらえる額+115円/日
スワップ:売りで払う額−140円/日
両建て中の差し引き−25円/日
30日続けた場合−750円
1年(365日分)続けた場合約−9,125円
スプレッド(新しく建てる売りの分)0.2銭なら20円

※スワップは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」のドル円、2026年10月1日の付与分(スワップカレンダーで確認)。スワップは毎日変わる。スプレッドの例はGMOクリック証券のドル円0.2銭(原則固定・例外あり)

両建てとは、同じ通貨ペアで買いと売りを同時に持つことです。ドル円の買い1万通貨に対して売り1万通貨を持つと、ドル円が上がっても下がっても、片方の利益ともう片方の損が打ち消し合います。そのため含み損は、両建てした時点の金額で止まります。

ただし、止めている間も費用はかかります。ドル円では、買いでもらえるスワップより売りで払うスワップのほうが大きいため、両建て中は差し引きで毎日支払いが出ます。外為どっとコムの2026年10月1日の付与分では、1万通貨で1日-25円でした。

両建ての必要証拠金

両建ての必要証拠金は、FX会社によって扱いが違います。売りと買いの大きいほうだけでよい会社もあれば、両方に証拠金がかかる会社もあります。両方にかかる会社では、両建てした分だけ口座の余裕が減るので注意が必要です。

両建ての外し方:含み損を処理する3つの方法

図1 両建ての外し方は3通り どれを選んでも「どちらに動くか」の判断からは逃げられない A 同時に決済 売りと買いを 同時に決済する →損切りと同じ結果 +かかった費用 → B 片方ずつ外す 先に片方を決済し 残りで取り返す →新しく方向を 当てる取引と同じ → C 持ち続ける 外さずに待つ →損は固定のまま スワップの差が 毎日かかる

図: 両建ての外し方(hiro-fx.com作成)

両建てを外す方法は、大きく分けて3つです。1つ目は、売りと買いを同時に決済する方法です。この場合の損は、両建てした時点の含み損に、その間のスワップの差とスプレッドを足した金額になります。つまり、両建てした時点で損切りしたのと同じか、少し悪い結果です。

2つ目は、先に片方を決済し、残った片方で損を取り返す方法です。たとえば下がったところで売りだけを決済し、残った買いで戻りを待ちます。これは、両建てを外した時点から新しく方向を当てる取引をしているのと同じで、外れれば損はさらに広がります。

3つ目は、外さずに持ち続ける方法です。損は固定されたままですが、スワップの差が毎日かかり、口座の証拠金も使い続けます。

ポイント:両建ては「損切りの判断を先に延ばす」方法です。外すときには、結局「同時に決済して損を確定する」か「どちらかの方向に賭ける」かを選ぶことになります。

業者は両建てを勧めてはいけない

国内のFX会社が、個人のお客さんに両建てを勧めることは、金融商品取引業等に関する内閣府令(117条1項26号)で禁止されています。両建て自体が禁止されているわけではありません。自分で選ぶ場合も、ここまで見た費用と外し方の難しさを知ったうえで判断することが大切です。

ナンピンで含み損はどうなる?平均レートの計算

平均レート通貨量の合計損益ゼロまでの上げ幅
(149円から)
147円まで下がったときの含み損
何もしない150.00円1万通貨1.00円3万円
149円で同じ量(1万通貨)149.50円2万通貨0.50円5万円
149円で2倍(2万通貨)約149.33円3万通貨約0.33円7万円

※150円で1万通貨を買っていた場合。平均レート=(価格1×量1+価格2×量2)÷(量1+量2)。スプレッドとスワップは含めない(hiro-fx.com作成)

ナンピンとは、含み損のときに同じ向きで買い増して(売りなら売り増して)、平均の取引価格を有利にする方法です。150円で1万通貨を買い、149円で同じ量を買い増すと、平均レートは149.50円になります。損益ゼロに戻るのに必要な上げ幅は、1円から0.5円に縮みます。

平均レートは「(価格1×量1+価格2×量2)÷(量1+量2)」で計算できます。ただし通貨量が増えるので、さらに下がったときの含み損も速く増えます。上の表のとおり、147円まで下がると、何もしなければ3万円の含み損が、同じ量のナンピンで5万円、2倍のナンピンで7万円になります。

ナンピンの計算は計算機で

何回かに分けてナンピンしたときの平均レート、含み損、強制ロスカットになる価格は、当サイトのナンピン計算機で計算できます。ナンピンする前に「あと何円下がったら、含み損はいくらか」を必ず確かめてください。

【データ】含み損1円からナンピンした場合と、何もしない場合

図2 含み損1円から、損益ゼロまで戻った割合(ドル円の買い) 2005年1月〜2026年9月の毎時の始値で買い、1週間以内に含み損1円になったケース。ナンピンはその時点で同じ量を追加 何もしない 同じ量をナンピン 0% 20% 40% 60% 80% 100% 18 45 1日以内 53 76 1週間以内 76 89 1か月以内

図: 含み損1円の時点から、損益ゼロまで戻った割合(2005年1月〜2026年9月・Dukascopy社のドル円1時間足をもとにhiro-fx.comが集計)

当サイトでは、2005年1月から2026年9月までのドル円の1時間足を使って、ナンピンの効果を確かめました。毎時の始値でドル円を買い、1週間以内に含み損が1円になったケースが対象です。その時点で「何もしない」場合と「同じ量をナンピンする」場合を比べています。

ナンピンすると、損益ゼロまで戻る割合ははっきり上がりました。1か月以内に戻ったのは、何もしない場合の76.2%に対し、ナンピンでは88.7%です。損益ゼロに必要な戻りが1円から0.5円に縮むためです。

ドル円の買い何もしない同じ量をナンピン
損益ゼロに必要な戻り1円0.5円
1日以内に損益ゼロまで戻った17.7%45.1%
1か月以内に戻った76.2%88.7%
戻るまでの時間(真ん中の値)約3.8日約24時間
戻る前に、買値から2円下まで下がった48.8%33.5%
そのときの含み損(1万通貨ずつ)2万円3万円
戻る前に、買値から3円下まで下がった31.4%19.3%
そのときの含み損3万円5万円

※毎時の始値で買い、1週間以内に含み損1円になったケース(56,845回)。その時点から1か月の動きを集計。損益ゼロの判定は売値(Bid)で、スプレッドとスワップは含めない(Dukascopy社のドル円1時間足をもとにhiro-fx.comが集計)

ナンピンは「勝ちやすく、負けると大きい」

一方で、損益ゼロに戻る前に買値から2円下まで下がったケースが、ナンピンでも33.5%ありました。このとき、何もしなければ含み損は2万円ですが、ナンピンしていると3万円です。3円下まで下がったケースも19.3%あり、そのときの含み損は5万円になります。

つまりナンピンは、損益ゼロに戻る回数を増やす代わりに、戻らなかったときの損を大きくする方法です。戻る割合が上がっても、損が大きくなる回があれば、全体として有利になるとは限りません。売りの場合も、同じ傾向でした。

ドル円の売り何もしない同じ量をナンピン
1か月以内に損益ゼロまで戻った70.3%84.2%
戻る前に、売値から2円上まで上がった53.6%36.7%

※集計方法は上の表と同じ(ドル円の売り)

損切り・両建て・ナンピンはどれを選ぶ?判断のチェックリスト

図3 損切り・両建て・ナンピンを選ぶ前のチェック 1つでも当てはまれば、まず損切り(または一部決済)を考える目安 □ 最初に決めた損切りの価格を、もう超えている 両建てやナンピンは、ルールを先延ばしにする方法になりやすい □ 含み損が、資金の1〜2%(自分の上限)を超えている ナンピンで量を増やすと、同じ値動きで損が速く増える □ ナンピンしたあと、さらに1〜2円逆行したときの損を計算していない 計算してから決める。計算できないなら量を増やさない □ 強制ロスカットまでの値幅が狭い ナンピンは必要証拠金が増え、ロスカットが近づく □ 両建てで「様子を見る」期限を決めていない 期限のない両建ては、スワップの差を払い続けることになる

図: 損切り・両建て・ナンピンを選ぶ前のチェック(hiro-fx.com作成)

含み損を抱えて迷ったときは、まず上のチェックを確かめてください。最初に決めた損切りの価格や、自分の損の上限を超えているなら、両建てやナンピンより損切りや一部決済を考える目安になります。

ナンピンを考えるなら、「あと何円逆行したら、含み損はいくらか」を先に計算し、その金額に耐えられるかで決めます。両建てを使うなら、いつ・どの価格で外すかを両建てする前に決めておきます。期限も外し方も決めない両建ては、費用を払いながら判断を先送りするだけになりがちです。

一部決済という選択肢

損切りか待つかで迷うときは、ポジションの一部だけを決済する方法もあります。たとえば半分を決済すれば、損の半分は確定しますが、残りで戻りを待てます。両建てと違って費用がかからず、ナンピンと違って量も増えません。

両建て・ナンピンの注意点

注意点中身
両建てでもロスカットはありうるスプレッドが広がると、両建てでも含み損が増える(JFXのよくある質問)
両建ての証拠金売りと買いの大きいほうだけでよい会社と、両方にかかる会社がある
業者は両建てを勧められない金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項26号
ナンピンは量が増える外れたときの含み損が大きくなり、ロスカットも近づく
税金両建ての売りと買いは、それぞれ決済したときに損益が確定する

※hiro-fx.com作成

両建てをしていても、強制ロスカットにならないとは限りません。JFXのよくある質問では、指標の発表前後などでスプレッドが広がると、両建てでも含み損が出てロスカットになることがあると説明されています。

ナンピンは必要証拠金が増えるため、ロスカットになる価格も近づきます。この記事のデータは、ドル円の過去の値動きを毎時の始値で機械的に集計したもので、スプレッドやスワップは含めていません。過去に戻った割合が高くても、同じように戻るとは限りません。

よくある質問

Q1. 両建てしていれば、ロスカットされませんか?

A. されることがあります。スプレッドが広がったときや、スワップの支払いが続いたときに口座のお金が減り、証拠金維持率が下がるためです。ロスカットのしくみは強制ロスカットされたらどうなる?で解説しています。

Q2. 両建ては違法ですか?

A. 違法ではありません。自分の判断で両建てするのは自由です。禁止されているのは、FX会社がお客さんに両建てを勧めることです。

Q3. 両建ての損益は、税金でどう扱われますか?

A. 売りと買いは別々のポジションなので、それぞれ決済したときに損益が確定します。片方だけ年内に決済すると、その年はその分の利益(または損)だけが確定します。国内FXの損益は、1年分を合計して申告します。

Q4. 含み損があるときの買い増しは、ナンピンと同じですか?

A. 同じ意味です。含み損のとき、つまり買値より下がったところで買い増すことをナンピンと呼びます。上がったところで買い増す場合は、ナンピンとは呼びません。

Q5. 何回までならナンピンしていい?

A. 決まった回数はありません。回数より、「最後までナンピンしたうえで、さらに逆行したときの含み損」に耐えられるかで決めます。その金額はナンピン計算機で、回数・幅・量を入れて確かめられます。

まとめ:両建ては「止める」、ナンピンは「賭けを大きくする」

  • 含み損を消す方法は、価格が戻るか、決済して損を確定させるかの2つだけ
  • 両建ては含み損を固定するだけ。外すときは結局、損を確定するか方向に賭けるかになる
  • ドル円の両建ては、スワップの差で1万通貨1日-25円ほど(外為どっとコム・2026年10月1日付与分)の費用がかかる
  • ナンピンで平均レートは有利になる。含み損1円から同じ量をナンピンすると、1か月以内に戻った割合は76.2%→88.7%
  • ただし戻る前に含み損が3万円(何もしなければ2万円)まで広がったケースも33.5%あった

含み損を抱えたまま長く持つとどうなるかはFXの塩漬けとは?ドル円は待てば戻るのか26年分で検証で、ドル円の実データをもとにまとめています。

※この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。値動きのデータは、Dukascopy社のドル円1時間足(2005年1月〜2026年9月)をもとにhiro-fx.comが集計したものです。主な出典: 金融商品取引業等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)、外為どっとコム「スワップカレンダー」、GMOクリック証券「両建てとは」「スプレッド・取引手数料」、JFX「両建していれば、ロスカットされることはありませんか?」。過去の値動きは将来の値動きを約束するものではありません。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。取引はご自身の判断で行ってください。