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ブログ更新しました。日銀が利上げするとドル円は下がるのか?2000年以降の利上げ8回で検証したら、当日は6回上昇でした https://t.co/3WsgPlAuLg pic.twitter.com/I8zUj7m3rC
— hiro@FX (@fx_trader_hiro) September 6, 2026
「日銀が利上げをすれば円高になる」。日米の金利差が縮むから、という説明でよく聞く話です。ではドル円は、利上げが決まった日に本当に下がっていたのでしょうか。このサイトの日銀ウォッチが記録している1998年からの金利データで利上げの日を特定し、そのあとのドル円を2026年9月6日時点で数えました。
用語メモ:この記事の「利上げ」は、日銀の決定のあとで銀行同士が1日だけお金を貸し借りする金利(無担保コールレート)が、それまでより0.1%以上高い水準に移った8回を指します。「当日」は決定日の前日の終値から決定日の終値までの変化、「1か月後」は決定日から21営業日後の終値との比較です。金額はすべてドル円のレートの差(円)で、プラスがドル高・円安、マイナスが円高です。
・2000年以降の利上げ8回で、ドル円は当日・1週間後・1か月後・3か月後に上がったか下がったか
・「利上げで円高」が当てはまった回と、当てはまらなかった回の違い
・2026年6月16日の利上げ(1.0%へ)のあと、ドル円がどう動いたか
結論:利上げ当日のドル円は8回中6回で上昇、1か月後は上昇4回・下落4回でした
図1: 利上げ8回それぞれの、決定当日と1か月後のドル円の変化(円)。2000年8月〜2026年6月・出典: 日銀ウォッチ、Yahoo Finance
ひとことで言うと:「利上げ=すぐ円高」が当てはまったのは、8回のうち2024年7月と2025年1月の2回だけでした。
2000年8月から2026年6月までの利上げは8回ありました。決定当日にドル円が上昇(円安方向)したのは6回、下落したのは2回です。
当日の変化の中央値(真ん中の値)は+0.75円でした。教科書の説明とは逆に、決定の日はドル円が上がることのほうが多かったことになります。
ただし時間がたつと様子が変わります。1か月後は上昇4回・下落4回で五分五分、3か月後まで見られる7回では上昇5回・下落2回でした。
図1で下に大きく伸びている2本が、2024年7月31日(1か月後−7.78円)と2025年1月24日(同−6.29円)です。1か月後の平均が−0.80円とマイナスになるのは、この2回に引っ張られているためです。
検証の中身:8回の利上げとその後のドル円を1回ずつ見る
図2: ドル円の日足終値(2024年1月1日〜2026年9月4日)と、日銀が利上げを決めた日(▼)。出典: Yahoo Finance、日銀ウォッチ
ひとことで言うと:2024年以降の5回のうち、決定のあとはっきり円高に向かったのは2024年7月の1回でした。ほかの4回は、決定のあともドル円は上がっていました。
図2は2024年以降のドル円に、5回の利上げの日を重ねたものです。2024年3月19日のマイナス金利解除のあとは、1か月で+5.20円の上昇でした。2025年12月19日の0.75%への利上げも、当日+2.09円と大きく上げています。
一方で2024年7月31日は、当日−2.93円、1週間後−6.55円、1か月後−7.78円と、8回の中で最も大きな円高になりました。表1に8回すべてをまとめます。
| 決定日 | 政策金利 | 当日 | 1か月後 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 2000年8月11日 | 0→0.25% | +0.76円 | −1.61円 | ゼロ金利を解除。当日は上昇、1か月後に下落 |
| 2006年7月14日 | 0→0.25% | +0.74円 | +1.26円 | 量的緩和のあとの利上げ。3か月後まで上昇 |
| 2007年2月21日 | 0.25→0.5% | +0.93円 | −1.93円 | 当日は上昇、1か月後は下落、3か月後は上昇 |
| 2024年3月19日 | −0.1→0.1% | +1.89円 | +5.20円 | マイナス金利を解除。1か月で5円超の上昇 |
| 2024年7月31日 | 0.1→0.25% | −2.93円 | −7.78円 | 当日から急落。8回で最大の円高 |
| 2025年1月24日 | 0.25→0.5% | −0.41円 | −6.29円 | じわじわ円高。3か月後は−12円 |
| 2025年12月19日 | 0.5→0.75% | +2.09円 | +2.87円 | 当日+2円超。その後も上昇 |
| 2026年6月16日 | 0.75→1.0% | +0.19円 | +1.84円 | 1.0%へ。当日はほぼ横ばい、1か月後+1.84円 |
表1: 変化は決定前日の終値との差(円)。政策金利は決定後の水準(コールレートの実勢で確認)。出典: 日銀ウォッチ・Yahoo Finance(2026年9月6日集計)
区間ごとにまとめると表2のとおりです。当日と3か月後は上昇が多く、1週間後・1か月後は平均がマイナスに傾いています。
| 区間 | 上昇 | 下落 | 平均 | 中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 決定当日 | 6回 | 2回 | +0.41円 | +0.75円 |
| 1週間後(5営業日) | 5回 | 3回 | −0.38円 | +0.50円 |
| 1か月後(21営業日) | 4回 | 4回 | −0.80円 | −0.18円 |
| 3か月後(63営業日・7回) | 5回 | 2回 | +0.81円 | +1.46円 |
表2: 利上げ8回のドル円の変化(円)。3か月後は2026年6月の回がまだ63営業日に達していないため7回。出典: 同上
8回のうち最新の利上げは2026年6月16日(1.0%へ)で、決定前日の終値は160.23円でした。当日は+0.19円とほぼ横ばい、1週間後+1.37円、1か月後+1.84円と、むしろ上昇しています。
2026年9月4日の終値は156.22円で、決定前日と比べると−4.01円です。決定から58営業日がたち、3か月後の数字は2026年9月中旬に確定します。
なぜ「利上げ=円高」にならないのか:8回の平均の推移で見る
図3: 利上げ8回の、決定10営業日前から63営業日後までのドル円の平均と中央値(決定前日の終値を0)。出典: Yahoo Finance、日銀ウォッチ
ひとことで言うと:平均では、決定の前後でドル円は横ばいから小幅な上昇、その後1〜2か月はやや円高に傾き、3か月後にはプラスに戻っていました。
図3のとおり、8回の平均は決定当日に+0.41円、1か月後に−0.80円、3か月後に+0.81円でした。どの区間も平均の動きは1円前後で、はっきりした方向は出ていません。
理由のひとつは、利上げが事前に予想されていることです。会合の前に「利上げ見通し」が報じられていれば、決定の時点ではドル円はすでにその分だけ動いていて、決定そのものには反応しにくくなります。
もうひとつは、円高になった2回に利上げ以外の材料が重なっていたことです。2024年8月上旬は米国の景気不安から世界の株が急落し、2025年2〜4月は米国の関税をめぐる混乱が続きました。利上げのあとの円高は、こうした材料と重なったときに大きくなっていました。
注意点:8回という少なさと、偶然でも起きる割合
図4: 利上げ後にドル円が下落していた割合と、1998年〜2026年の全営業日で同じ日数後に下落していた割合の比較。出典: Yahoo Finance、日銀ウォッチ
ひとことで言うと:1か月後に下落した割合50.0%は、どの日を起点にしても47.9%は下がる「ふつうの日」の割合とほぼ同じでした。
図4は、利上げ後に円高になった割合を、利上げと関係ない日の割合と並べたものです。1998年以降の全営業日では、21営業日後にドル円が下がっていた日は47.9%でした。利上げ後の1か月後は8回中4回(50.0%)で、差はほとんどありません。
そして何より、8回は統計としてはとても少ない回数です。1回の結果が変わるだけで割合が12.5ポイント動きますし、そのうち3回は2000年代のもので、金利の水準も市場の環境も2024年以降とは大きく違います。
ドル円の終値はYahoo Financeの日足(ニューヨーク時間の引け)を使っています。日銀の決定は日本時間の昼ごろなので、「当日」の数字には決定後の欧州・米国時間の値動きも含まれています。次の会合の日程は日銀ウォッチのページ上部に表示しています。
コールレートや日銀の国債保有などの数字は日銀ウォッチで毎日更新しています。日米の金利差そのものは日米金利差ウォッチで、金利差とドル円の連動については別の記事でも検証しています。
執筆: 2026年9月6日時点。本記事は過去データの集計にもとづく情報提供であり、投資助言ではありません。売買の判断はご自身の責任でお願いします。
