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円買い介入は事前に察知できるのか?警戒スコアを9,184営業日バックテストした

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「介入が入りそうな水準」という言葉はよく聞きますが、実際に円買い介入は事前に察知できるものなのでしょうか。当サイトの為替介入データベースでは、財務省が公表している1991年以降の全介入実績をもとに、円買い介入の警戒度を0〜100のスコアで毎日算出しています。今回はこの警戒スコアを過去にさかのぼって計算し、「スコアが高かった日、本当にその後介入は入ったのか」を検証しました。

この記事でわかること
・警戒スコアの高さと「30日以内の円買い介入」の関係(1992年〜約9,184営業日)
・2022年以降の介入10回で、前日のスコアはいくつだったか
・このスコアが苦手なパターン(1990年代型の介入)はどこか

結論:スコア70以上の日の71.4%で、30日以内に円買い介入が入っていた

検証対象は、スコアが計算でき、かつ「その後30日」を判定できる9,184営業日(1992年〜2026年8月)です。まず前提として、ランダムに選んだ日から30日以内に円買い介入が入っていた割合(ベースライン)は4.2%でした。これをスコア帯ごとに分けると、次のようになりました。

前日までの警戒スコア該当日数30日以内に円買い介入的中率
0〜30(平常)7,405日200日2.7%
30〜50(注意)1,390日103日7.4%
50〜70(警戒)382日81日21.2%
70以上(最大警戒)7日5日71.4%
スコア帯別・30日以内に円買い介入があった割合(1992〜2026年、9,184営業日) 0% 25% 50% 75% 2.7% 7.4% 21.2% 71.4% 全期間平均 4.2% 0〜30 30〜50 50〜70 70以上

スコアが「警戒」圏(50〜70)に入ると的中率は21.2%と、ベースラインの約5倍になりました。「最大警戒」圏(70以上)は35年間で7日しか出現していない希少なシグナルですが、そのうち5日で30日以内に円買い介入が実施されていました。内訳を見ると、70超えが出たのは1998年1月・6月、2022年9月・10月、2024年5月の局面で、外れた2日のうち1日(2024年5月1日)は「30日以内」どころか当日がまさに介入日でした(判定上は翌日以降を数えるため不的中扱い)。純粋な空振りと言えるのは1998年1月6日の1日だけで、このときも約3ヶ月後の1998年4月に円買い介入が入っています。

2022年以降の介入10回は、すべて前日スコア36以上だった

逆方向からも見てみます。2022年以降に実施された円買い介入は10回ありますが、その前日のスコアはすべて36.5以上、平均49.1でした。つまり近年の介入は、少なくとも「平常圏(30未満)からいきなり」は一度も入っていません。

介入日前日の警戒スコア
2022年9月22日44.2
2022年10月21日70.5
2022年10月24日69.1
2024年4月29日47.8
2024年5月1日58.3
2024年7月11日44.5
2024年7月12日46.3
2026年4月30日37.5
2026年5月4日36.5
2026年5月6日36.5

出典:為替介入データベース(財務省公表の介入実績にもとづき算出)。2026年8月27日集計時点。

なお、この警戒スコアは「円安のスピード(1ヶ月・3ヶ月・直近5日の上昇幅)」「水準(52週高値への近さ・高値圏での滞在日数・過去の防衛水準への接近)」「直近60日以内の介入の有無」という7つの要因を機械的に合成したものです。算式はデータページで全公開しています。

秒スキャ視点のポイント:スコアが50を超えている局面のドル円ロングは、「いつ数円規模の急落が来てもおかしくない」前提でロットと損切りを管理するのが無難です。逆にスコアが平常圏なら、介入怯えでロングを過度に避ける必要は薄いと読めます。ちなみに2026年8月27日時点のスコアは19.2(全期間の中央値は10.1)で、平常圏です。

注意点:1990年代型の介入は、このスコアでは察知できません

正直に書いておくと、このスコアには明確な弱点があります。1990年代(1991〜1998年)の円買い介入31回の前日スコアは平均22.7と低く、大半が平常〜注意圏で実施されていました。当時の介入は貿易摩擦を背景とした政策的なもので、「円安が急速に進んだから止める」という近年の型とは動機が異なるためです。スコアが機能しているのは、あくまでスピードと水準に反応する近年型の介入に対してです。

また、「70以上」の該当が35年間で7日しかない点にも注意が必要です。的中率71.4%という数字は5勝2敗(n=7)にすぎず、統計的に頑健とは言えません。さらにスコア50超えでも約8割は30日以内に介入が入っておらず、このスコアは「介入日を当てる道具」ではなく「介入がありうる地合いかどうかを客観的な数字で確認する道具」と捉えるのが実態に合っています。

警戒スコアは為替介入データベースで毎日自動更新しており、7要因の内訳や過去のスコア推移チャート、1991年からの全介入386日分の記録もあわせて確認できます。(2026年8月28日執筆・データは2026年8月27日集計時点)

本記事は過去データの集計による情報提供であり、投資助言ではありません。将来の介入の有無やその効果を保証するものではありません。