日銀の利上げ見送りでどうなる?次回の確率の見方と会合16回のドル円

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こんな疑問を持つ方へ
  • 日銀が利上げを見送ると、円安や株価はどうなる?
  • 次の利上げはいつ?前回はいつだった?
  • 「利上げ確率」「織り込み」「OIS」はどう見ればいい?どこで見られる?
  • 日銀会合の日にトレードするなら、何に気をつければいい?

日銀が利上げを見送っても、市場が予想していたとおりなら、相場は大きくは動かないことが多いです。大きく動くのは、見送りや総裁の会見で次の利上げが遠のいた(近づいた)と受け止められたときで、遠のけば円安、近づけば円高になりやすくなります。この記事では、2024年10月以降の日銀会合16回のドル円の値動きを当サイトで集計し、見送りの理由、次回の日程、利上げ確率(OIS)の見方を、日銀の公表資料と報道をもとに解説します。

日銀が利上げを見送るとどうなる?為替・株・金利・ローンへの影響

対象予想どおりの見送り予想外の見送り・次の利上げが遠のいたと受け止められた場合
為替(円)大きくは動かないことが多い円安になりやすい(日米の金利差が縮まらない)
株価大きくは動かないことが多い上がりやすい(借入コストが上がらない)。銀行株は下がることも
長期金利(10年国債)大きくは動かないことが多い下がりやすい
変動金利の住宅ローン上がらない上がらない。次の上昇も後ずれする
預金金利上がらない上がらない。引き上げも後ずれする

※一般的な傾向をまとめたもの。実際の値動きは、海外の金利や景気、その日の材料によって変わります

相場はふつう、会合の前から「今回は上げるか、上げないか」を予想して値段に反映させています(織り込み)。そのため、市場がほぼ見送りを予想していた会合で見送っても、値段はあまり変わりません。

動くのは予想とずれたときです。利上げを予想していたのに見送った、あるいは総裁の会見で「次も急がない」という姿勢が見えた場合は、日本の金利が当面上がらないと受け止められて円が売られやすくなります。反対に、見送っても「近いうちに上げる」というヒントが出れば、円高に振れることもあります。

【データ】2024年10月以降の会合16回:見送りの日のドル円は上昇4回・下落8回

図1 日銀会合の日のドル円(11時→17時の変化) 2024年10月〜2026年9月の16回。決定の公表(正午前後)と総裁会見(15時30分〜)を含む時間帯。単位: 円 −1円 0円 +1円 +2円 −1.24 10/31 +1.83 12/19 −0.92 1/24 −0.18 3/19 +1.17 5/1 −0.34 6/17 +0.42 7/31 −0.13 9/19 +0.86 10/30 +0.99 12/19 −0.27 1/23 −0.43 3/19 −0.02 4/28 +0.08 6/16 −0.54 7/31 +1.27 9/18 2024年 2025年 2026年 見送り(12回) 利上げ(4回) データ: Yahoo!ファイナンス(USDJPY=X 1時間足)・hiro-fx.comの集計

図: 各会合の最終日の11時の始値から17時の終値までのドル円の変化(日本時間)。Yahoo!ファイナンスのドル円1時間足(2024年10月〜2026年10月)をもとにhiro-fx.comが集計。2026年1月23日は、総裁会見のあと16時40分ごろに当局のレートチェックが報じられた値動きを含む

当サイトで、2024年10月から2026年9月までの日銀会合16回について、最終日の11時から17時までのドル円の変化を調べました。利上げを見送った12回では、上昇(円安)が4回、下落(円高)が8回で、平均は+0.09円とほぼゼロでした。見送りだから円安になる、とは言えない結果です。

1円以上動いた見送りは12回中3回だけでした。いちばん大きかったのは2024年12月19日の+1.83円です。この日の植田総裁は、春闘の賃金の動きや米国経済の先行きをもう少し見たいと説明し、市場は次の利上げが遠のいたと受け止めました。会見中に円売りが加速し、ドル円は157円台に乗せています。

2025年5月1日(+1.17円)も、見送りと同時に成長率の見通しを引き下げた回でした。反対に2024年10月31日(−1.24円)は、見送りながらも総裁が「時間的な余裕はある」という表現を使わないと述べ、利上げに前向きと受け止められて円高になりました。

会合の結果回数ドル円が上昇ドル円が下落11時→17時の平均1円以上動いた回
見送り12回4回8回+0.09円3回
利上げ4回3回1回+0.36円1回

※図1と同じデータ。利上げの4回は2025年1月24日・2025年12月19日・2026年6月16日・2026年9月18日

利上げした4回のうち3回は、むしろドル円が上昇(円安)しました。事前に織り込まれていた利上げでは、「材料出尽くし」で円が売られることがあるためです。2000年以降の利上げでも同じ傾向があったことを、日銀が利上げするとドル円は下がるのか?で検証しています。

日銀はなぜ利上げを見送る?会合で見ている5つのポイント

見ているもの利上げに進みやすい見送りやすい
物価基調的な物価が2%に近づいている物価の伸びが鈍っている
賃金春闘などで高い賃上げが続く賃上げの勢いが見えない
海外経済(とくに米国)景気が底堅い関税や景気後退の心配がある
金融市場落ち着いている株価や為替が大きく荒れている
為替(円安)円安で輸入物価が上がり、物価を押し上げている円高が進み、物価を押し下げている

※日本銀行の公表文・総裁会見で繰り返し説明されている判断材料をまとめたもの

日銀は会合ごとに、物価・賃金・海外経済・金融市場の動きを見て、利上げするかを決めます。利上げを見送るときは、このどれかを「もう少し見極めたい」と説明するのがふつうです。2024年12月は春闘の賃金の動きと米国経済の先行き、2025年は米国の関税政策の影響が見送りの理由として挙げられました。

会合の結果は全員一致とは限りません。2025年9月の会合では、政策金利を据え置く一方、2人の審議委員が0.75%への利上げを提案して否決されました。反対票の数や内容は、次の利上げが近いかどうかの手がかりになります。日銀がなぜ慎重なのかは、日銀ウォッチの政策金利や当座預金のデータもあわせて見ると分かりやすくなります。

あわせて読みたい:日銀はなぜ利上げしない?遅い理由と「できない」説を日銀の決算で確認

次の利上げはいつ?2026年10月・12月の会合日程と前回の利上げ

会合の日程展望レポートメモ
2026年9月17日・18日なし前回の利上げ(1.0%→1.25%)
2026年10月29日・30日あり次回。物価と成長率の見通しを更新
2026年12月17日・18日なし―
2027年1月21日・22日あり―
2027年3月17日・18日なし―

※日本銀行「金融政策決定会合の開催日程」より(2026年10月9日確認)。展望レポートは「経済・物価情勢の展望」

次の会合は2026年10月29日・30日で、結果は30日に公表されます。この会合では、日銀が3か月ごとに出す展望レポート(物価と景気の見通し)も公表されるため、見通しの変化と合わせて利上げの判断材料がそろう回です。

前回の利上げは2026年9月18日で、政策金利は1.25%になりました。発表時刻は決まっておらず、正午前後が多くなっています。過去の発表時刻や会見の時間は日銀会合の発表時間は何時?にまとめています。

過去6回の利上げの間隔

2024年3月のマイナス金利解除からの6回の利上げの間隔は、約4か月・約6か月・約11か月・約6か月・約3か月でした。最も短いのは2026年6月から9月の約3か月で、会合でいえば1回おきです。連続した会合での利上げは、この6回では一度もありません。

日銀の利上げ確率(織り込み)の見方:OISとは?どこで見られる?

見られる場所内容注意点
東京短資「日銀の利上げ確率」日銀会合ごとのOISから、各会合の利上げの織り込みを推計してグラフで公表グラフの読み取りが必要。仮定を置いた推計
日経新聞・ブルームバーグ・ロイターなどの記事「10月の利上げ確率は○割」と数字で報道記事によって元のデータ(OISか金利先物か)や時点が違う
証券会社・研究所のレポート織り込みとエコノミストの予想を解説予想は会社ごとに違う

※2026年10月9日時点。OISはオーバーナイト・インデックス・スワップ(翌日物の金利と固定金利を交換する取引)

「利上げ確率」は、市場の金利の値段から逆算した数字です。よく使われるのがOISという取引で、ある期間の翌日物の金利の平均と、取引する時点で決める固定金利を交換します。東京短資によると、日銀会合と会合の間を期間とするOISの金利を比べると、その会合で金利がどれだけ動くと市場が見ているかが分かります。

たとえば、利上げ幅0.25%に対して、次の会合をまたいで金利が0.1%上がる値段がついていれば、市場は約4割の確率で利上げを見込んでいる、という読み方です。2026年10月30日の会合については、9月下旬〜10月上旬の報道で2〜3割程度の織り込みと伝えられていました。

ただし、この確率は毎日変わり、会合の前日でも外れることがあります。確率が低いのに利上げした、高いのに見送った、というときに相場は大きく動きます。数字は「市場がどう予想しているか」であって、日銀の決定を当てるものではない点に注意してください。

日銀会合の日にトレードするときの注意点

注意点理由対策
発表時刻が決まっていない正午前後が多いが、議論が長引くと遅れる11時ごろからは急な値動きに備える
総裁会見(15時30分〜)でもう一度動く次の利上げのヒントは会見で出ることが多い決定の直後だけで判断しない
スプレッドが広がる発表の瞬間は値段を出す銀行が減る発表の前後に狭い損切りを置かない
当局の動きと重なることがある2026年1月23日は会見のあと、当局のレートチェックが報じられた円安が急に進んだ日は、介入やレートチェックのリスクも考える

※当サイトの集計と、日本銀行の公表資料、報道をもとに作成

見送りの日のドル円は、図1のように上にも下にも動きました。結果を見て飛び乗るより、決定の直後と総裁会見の2回、値動きが速くなる時間があると知っておくことが大切です。2024年12月19日のように、決定の直後より会見のほうが大きく動いた日もあります。

また、円安が進んでいる時期は、日銀会合の日に政府・日銀の介入やレートチェックへの警戒も重なります。2026年1月23日は、会見が終わった16時40分ごろにレートチェックが報じられ、約10分で1.75円の円高になりました(レートチェックとは?)。

よくある質問

Q1. 日銀が利上げを見送るとなぜ円安になるのですか?

A. 日本の金利が当面上がらないと、日米などの金利差が縮まらず、金利の高い通貨を持つほうが有利な状態が続くためです。ただし、見送りが予想どおりなら値段に織り込まれているので、円安が進むとは限りません。

Q2. 日銀会合の結果は何時に発表されますか?

A. 時刻は決まっておらず、最終日の正午前後が多くなっています。総裁会見は原則15時30分からです。

Q3. 利上げが見送られたら、住宅ローンの金利はどうなりますか?

A. 変動金利の基準になる短期プライムレートが据え置かれるので、上がりません。次に利上げがあった場合も、変動金利に届くのは半年以上あとになることが多いです。詳しくは日銀の利上げで住宅ローンはいつから・いくら上がる?で解説しています。

Q4. 2026年中にもう一度利上げはありますか?

A. 分かりません。2026年中に残る会合は10月29日・30日と12月17日・18日の2回です。日銀は9月の声明で利上げを続ける考えを示していますが、時期は物価や景気を見て会合ごとに決めます。

Q5. 見送りの日はドル円を買えばいいですか?

A. 当サイトの集計では、見送りの日のドル円は12回中4回しか上がっておらず、見送りだから上がるとは言えません。動く向きを決めるのは会見での次の利上げのヒントで、事前に当てるのは難しいと考えたほうが安全です。

まとめ:見送りより「次のヒント」が相場を動かす

  • 予想どおりの見送りでは相場はあまり動かない。次の利上げが遠のいたと受け止められると円安・株高・金利低下になりやすい
  • 2024年10月以降の見送り12回のドル円は、上昇4回・下落8回。1円以上動いたのは3回で、最大は2024年12月19日の+1.83円
  • 次の会合は2026年10月29日・30日(展望レポートあり)、その次は12月17日・18日。前回の利上げは9月18日
  • 利上げ確率はOISなどから逆算した数字で、10月会合は9月下旬〜10月上旬の報道で2〜3割程度。毎日変わる
  • 会合の日は、決定の直後と15時30分からの総裁会見の2回、値動きが速くなる

会合の日程と発表時刻は日銀会合の発表時間は何時?、政策金利や当座預金の最新の値は日銀ウォッチで確認できます。

※この記事の情報は2026年10月9日時点のものです。主な出典: 日本銀行「金融政策決定会合の開催日程」「金融政策決定会合の決定事項」、東京短資「日銀の利上げ確率」、ピクテ・ジャパン、三菱UFJ銀行「FX Daily」(2024年12月19日)、野村総合研究所、第一生命経済研究所、日本経済新聞、ブルームバーグの報道。ドル円の値動きはYahoo!ファイナンスの1時間足をもとにしたhiro-fx.comの集計です。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資を勧めるものではありません。取引はご自身の判断で行ってください。