両建てナンピンとは?手法の仕組みとドル円で試した損益の動き方

※記事内に広告を含む場合があります

こんな疑問を持つ方へ
  • 両建てナンピンとは?どんな手法?
  • 両建てなら、どちらに動いても負けないって本当?
  • 「両建てナンピン必勝法」は使える?
  • スキャルピングで両建て・ナンピンするときの注意点は?

両建てナンピンとは、同じ通貨ペアで買いと売りを同時に持ったまま、動いた方向に応じて片方を決済したり、もう片方にナンピンしたりする手法です。どちらに動いても片方は利益が出るので負けにくく見えますが、損益は「買いの量−売りの量」だけで決まります。当サイトがドル円で試算すると、2024年7〜9月の下落では確定した利益が21.4万円でした。一方で、残った買いの含み損は35.7万円に広がりました。この記事では、両建てナンピンの仕組みと手法の例、必勝法と言われる理由と注意点を解説します。

両建てナンピンとは?買いと売りを持ったままナンピンする手法

図1 両建てナンピンの流れ(例) 買いと売りを同時に持ち、動いた方向で利益の出た側を決済、損の出た側は残して追加していく 1 買い1,000通貨と 売り1,000通貨を 同時に持つ → 2 0.5円上がったら 買いを決済して 利益を確定 → 3 損の出た売りは 残したまま、その 価格で両方を追加 → 4 動くたびに くり返す。逆に 動いても同じ

図: 両建てナンピンの流れの例(hiro-fx.com作成)

両建てとは、同じ通貨ペアの買いと売りを同時に持つことです。ナンピンとは、持っているポジションが逆に動いたときに、同じ向きで追加して平均の取引価格を有利にすることです。両建てナンピンは、この2つを組み合わせた手法です。

たとえば、ドル円の買いと売りを1,000通貨ずつ持ち、0.5円上がったら利益の出た買いを決済します。損の出た売りは残したまま、その価格で買いと売りを持ち直します。こうすると、動くたびに利益確定が積み上がっていきます。

ふつうのナンピンとの違い

ふつうのナンピンは、片方向のポジションだけを増やしていきます。両建てナンピンは反対向きのポジションも持つので、含み損が増えるスピードは見た目上ゆるやかになります。ただし、損の出た側のポジションが残り続ける点は、ふつうのナンピンと同じです。

両建てナンピンの損益は「差し引きの量」で決まる

持っているポジション差し引きの量ドル円が1円上がるとドル円が1円下がると
買い1,000通貨・売り1,000通貨0通貨±0円±0円
買い1,000通貨・売り3,000通貨売り2,000通貨−2,000円+2,000円
買い5,000通貨・売り1,000通貨買い4,000通貨+4,000円−4,000円
買い3,000通貨だけ(両建てなし)買い3,000通貨+3,000円−3,000円

※損益は「(買いの量−売りの量)×値動き」で決まる。スプレッド・スワップは含めない(hiro-fx.com作成)

両建ての損益は、買いの量から売りの量を引いた「差し引きの量」だけで決まります。買いと売りが同じ量なら、どちらに動いても損益は変わりません。買い1,000通貨・売り3,000通貨なら、差し引きは売り2,000通貨で、売り2,000通貨だけを持っているのと同じです。

両建てナンピンを続けると、利益の出た側を決済するたびに、損の出た側だけが残っていきます。上がり続ければ売りが、下がり続ければ買いが積み上がり、差し引きの量はその向きにふくらみます。これが、両建てナンピンで損が大きくなるしくみです。

ポイント:両建てで「損が固定される」のは、買いと売りが同じ量のときだけです。片方を決済したり追加したりした時点で、差し引きの量の分だけ、ふつうのポジションと同じように損益が動きます。

両建てナンピンの手法:よく紹介される2つの型

型A:片側を決済してナンピン型B:上下に等間隔で両方持つ
やり方両建てから始め、利益の出た側を決済し、損の出た側にナンピンする一定の幅ごとに買いと売りを1つずつ持ち、利益の出た側を決済して同じ場所でまた持つ
うまくいく相場一度動いてから戻る相場上下をくり返す相場(レンジ相場)
苦手な相場一方向に動き続ける相場一方向に動き続ける相場
損が増えるしくみナンピンした側の量が増える逆向きのポジションが動いた幅だけ積み上がる

※Yahoo!知恵袋の質問や各種ブログで紹介されている方法をもとにhiro-fx.comが整理

両建てナンピンにはいくつかのやり方がありますが、大きく2つの型に分けられます。型Aは、両建てから始めて利益の出た側を決済し、損の出た側にナンピンする方法です。一度動いてから戻る相場では、ナンピンした分で早く損益ゼロに戻れます。

型Bは、一定の幅ごとに買いと売りを1つずつ持ち、利益の出た側を決済して同じ場所でまた持つ方法です。上下をくり返すレンジ相場では、決済のたびに利益が積み上がります。どちらの型も、一方向に動き続ける相場では、損の出た側のポジションが増え続けます。

【データ】ドル円で試した両建てナンピンの損益の動き方

図2 2024年7〜9月のドル円(161円→140円)で両建てナンピンを続けた場合の損益 0.5円ごとに買いと売りを1,000通貨ずつ持ち、0.5円の利益が出た側を決済して同じ場所でまた持つ(毎日9時時点) −50万円 −25万円 0万円 25万円 7月 8月 9月 確定した利益 残ったポジションの含み損 合計(確定+含み損)

図: 2024年7〜9月のドル円で型Bの両建てナンピンを続けた場合の損益(Dukascopy社のドル円1時間足をもとにhiro-fx.comが計算)

型Bの両建てナンピンを、実際のドル円で試算しました。0.5円ごとに買いと売りを1,000通貨ずつ持ち、0.5円の利益が出た側を決済して、同じ場所でまた持つルールです。値動きの違う3つの期間と、2005年からの21年間で計算しました。

2024年7〜9月は、ドル円が161円台から140円割れまで下がった期間です。決済した利益は順調に積み上がり、9月末で+21.4万円になりました。一方で、下がるたびに残った買いが積み上がり、含み損は9月16日に最大約51.0万円、9月末でも35.7万円でした。合計は−14.3万円です。

期間ドル円確定した利益残ったポジションの含み損合計最後に残ったポジション
2025年12月〜2026年2月(行って来い)155.91円→156.02円+7.8万円−2.8万円+5.0万円買い8・売り8
2022年3〜5月(上昇)115.09円→128.74円+7.7万円−20.0万円−12.3万円買い6・売り28
2024年7〜9月(下落)160.92円→143.71円+21.4万円−35.7万円−14.3万円買い38・売り8
2005年1月〜2026年9月(21年)102.53円→157.13円+520万円−666万円−147万円買い14・売り163

※0.5円ごとに買いと売りを1,000通貨ずつ持ち、0.5円の利益が出た側を決済して同じ場所でまた持つルール。含み損は期間の最後の終値で計算。スプレッド・スワップは含めない。1時間足の中は陽線=始値→安値→高値→終値、陰線=始値→高値→安値→終値の順に動いたとみなした(Dukascopy社のドル円1時間足をもとにhiro-fx.comが計算)

上下をくり返して元の価格に戻った2025年12月〜2026年2月は、合計+5.0万円と利益が出ました。上昇した2022年3〜5月は、残った売りの含み損で合計−12.3万円です。21年間では、確定した利益が520万円ありましたが、売りが163個残り、含み損は666万円、合計は−147万円でした。

確定した利益だけを見ると勝って見える

このルールでは、どの期間でも確定した利益はプラスでした。口座の「確定損益」だけを見ると、勝ち続けているように見えます。しかし実際の損益は、残ったポジションの含み損を足した合計です。両建てナンピンの成績は、確定した利益ではなく合計で見る必要があります。

「両建てナンピン必勝法」と言われる理由と落とし穴

必勝法と言われる理由実際には
どちらに動いても片方は利益が出るもう片方は同じだけ損をしている。差し引きの量が損益を決める
利益確定がどんどん積み上がる確定した利益の裏で、逆向きのポジションの含み損が積み上がる
両建てなら損が固定されて安全固定されるのは差し引き0のときだけ。追加するたびに差し引きの量が変わる
いつか戻れば全部プラスになる戻る前に強制ロスカットや、スワップの支払いで資金が減ることがある

※hiro-fx.com作成

両建てナンピンが必勝法のように紹介されるのは、どちらに動いても片方は利益になり、利益確定がどんどん積み上がるからです。上のデータのように、レンジ相場では実際に利益が出ることもあります。

しかし、損益を決めるのは差し引きの量です。一方向に大きく動けば、逆向きのポジションが積み上がり、含み損がふくらみます。Yahoo!知恵袋の両建てナンピンの相談にも、予算が無限でないと成り立たない、損切りの位置を決めるべきだ、という趣旨の回答が付いています。必勝法はなく、損切りの価格を決めてはじめて、損の上限がある手法になります。

スキャルピングで両建て・ナンピンするときの費用と注意点

費用・ルール内容
スプレッド買いと売りを両方持つので、片方だけの2倍かかる。スキャルピングで回数が多いほど効く
スワップ受け取りより支払いのほうが大きいことが多い。例:ドル円1万通貨で買い+115円・売り−140円=1日−25円
必要証拠金両建て分は片側だけで計算する会社(GMOクリック証券のMAX方式など)と、両方で計算する会社がある
取引ルールスキャルピングの扱いはFX会社ごとに違う。短時間の売買のくり返しを規約で制限している会社もある
口座をまたぐ両建て海外FXでは、複数の口座や他社との両建てを規約で禁止している会社がある

※スワップは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」のドル円・2026年10月1日付与分(スワップカレンダーで確認)。必要証拠金はGMOクリック証券「FXネオ取引ルール」より。条件は会社ごとに異なり、変わることがある(hiro-fx.com作成)

スキャルピング(数秒〜数分で売買をくり返す取引)で両建てやナンピンを使う場合は、費用に注意します。買いと売りを両方持つと、スプレッドは片方だけの2倍かかります。上のデータの21年間では新しいポジションを10,568回持っており、スプレッドを0.2銭とすると約2.1万円の費用です。

長く持つならスワップも重くなります。21年間の最後に残ったのは買い14個・売り163個(各1,000通貨)でした。2026年10月1日のスワップで持ち続けると、1日約2,121円、1年で約77万円の支払いです。また、スキャルピングの扱いや両建ての必要証拠金は、FX会社ごとにルールが違うので、使う前に取引ルールを確認しておきます。

あわせて読みたい:FXの含み損は両建て・ナンピンで解消できる?外し方と平均レートの計算

よくある質問

Q1. 両建ては違法ですか?

A. 自分の判断で両建てをすることは禁止されていません。禁止されているのは、FX会社が顧客に両建てを勧誘することです(金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項26号)。費用が二重にかかり、顧客にとって経済的な意味が小さいためです。

Q2. 両建てなら強制ロスカットされませんか?

A. されることがあります。買いと売りが同じ量のままなら含み損は増えませんが、スプレッドの広がりやスワップの支払いで口座のお金は減ります。両建てナンピンで差し引きの量がふくらめば、ふつうのポジションと同じように強制ロスカットが近づきます。

Q3. 両建てナンピンの税金はどうなりますか?

A. 国内FXでは、その年に決済した損益が税金の対象です。確定した利益が多くても、残ったポジションの含み損はその年の損益に入りません。年末に含み損を抱えたまま確定した利益だけに税金がかかり、翌年に大きな損が確定する、ということも起こりえます。

Q4. 両建てナンピンをやめるときは、どう外せばいいですか?

A. どの順番で外しても、差し引きの量に対する判断(上がるか下がるか)が必要になります。迷う場合は、買いと売りを同じ量ずつ決済して差し引きを0に近づけ、残りを損切りの価格とともに整理します。外し方の考え方は、上の「あわせて読みたい」の記事で詳しく解説しています。

まとめ:両建てナンピンは「差し引きの量」のナンピン

  • 両建てナンピンは、買いと売りを同時に持ったまま、片方の決済とナンピンをくり返す手法
  • 損益は「買いの量−売りの量」だけで決まる。損が固定されるのは同じ量のときだけ
  • ドル円の2024年7〜9月では、確定した利益+21.4万円に対し、残った買いの含み損が−35.7万円だった
  • レンジ相場では利益が出ることもあるが、一方向の相場では逆向きのポジションが積み上がる
  • スプレッドは2倍、スワップは支払いが大きくなりやすい。損切りの価格を決めてから使う

ナンピンの基本はナンピンとは?意味・語源と押し目買いとの違い、強制ロスカットのしくみは強制ロスカットされたらどうなる?で解説しています。ナンピンの平均レートはナンピン計算機で計算できます。

※この記事の情報は2026年10月3日時点のものです。データは、Dukascopy社のドル円1時間足(2005年1月〜2026年9月)をもとにhiro-fx.comが計算したもので、スプレッド・スワップ・税金は含めていません(費用の試算は本文のとおり)。主な出典: 金融商品取引業等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)、外為どっとコム「スワップカレンダー」、GMOクリック証券「FXネオ取引ルール」、Yahoo!知恵袋の関連する質問。過去の値動きは将来の値動きを約束するものではありません。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。取引はご自身の判断で行ってください。