※記事内に広告を含む場合があります

時間がない方は記事内の「ひとことで言うと」だけ読めば記事の内容を理解できるよ
「日本時間21時のNYオープンで、ドル円は動き出す」。FXでよく聞く話です。
このサイトが毎日蓄積している仲値・時間帯アノマリー統計の5分足で、2026年6月22日から9月9日までの58営業日のうち、21:30に米国の経済指標がなかった35営業日について、20時から22時30分までのドル円の値動きを30分ごとに調べました。指標の日を外したのは、21時のNYオープンそのものの効果を見るためです。
用語メモ:NYオープンは、NY市場の参加者が取引を始める時刻の目安で、NY時間の午前8時です。2026年9月時点では日本時間21時(米国が冬時間になる2026年11月1日以降は22時)にあたります。この記事の「値動き」は、その時間帯の始めと終わりの価格の差の大きさをpipsで表したものです。高値と安値の幅より少し小さめに出ます。「米指標がない日」は、このサイトの指標反応アーカイブが記録している13種類の米指標(雇用統計・CPI・PPI・新規失業保険など)が21:30〜22:15に発表されなかった日です。
・NYオープン直後の21:00〜21:30に、ドル円はその前の1時間より動いているのか
・日別に見て、21時の直後が前の1時間より大きく動いた日はどのくらいあるか
・指標がない日でも、大きく動いた日はどのくらいあったか
結論:米指標がない日の21:00〜21:30は中央値5.3pips。その前の1時間(4.3pips)とほとんど変わりませんでした
図: 米指標がない35日の、20:00〜22:30を30分ごとに区切った値動きの中央値(仲値・時間帯アノマリー統計・2026年6月22日〜9月9日)
ひとことで言うと:21時にNY勢が入っても、ドル円の値動きの大きさは20時台と同じ4〜5pipsのままでした。
図1は、米指標がない35日について、20時から22時30分までを30分ごとに区切り、その間にドル円が動いた大きさの中央値(真ん中の値)を並べたものです。緑がNYオープン直後の21:00〜21:30です。
どの30分も4〜5pipsで横並びです。21:00〜21:30は5.3pipsで、その前の20:00〜21:00(4.3pips)と比べて約1.23倍にとどまりました。
21:30以降も4.6pips・4.6pipsと変わりません。少なくとも2026年夏の35営業日では、「21時になると動き出す」とは言えない結果でした。
検証の中身:日別に見ても、21:00〜21:30が前の1時間より大きく動いた日は17日、小さかった日は18日でした
図: 米指標がない35日それぞれの、20:00〜21:00(灰)と21:00〜21:30(緑)の値動きの大きさ(仲値・時間帯アノマリー統計・2026年6月22日〜9月9日)
ひとことで言うと:緑(21時の直後)が灰(前の1時間)を上回った日と下回った日はほぼ半々で、21時に動き出す癖は見当たりません。
図3は、米指標がない35日を日付順に並べ、前の1時間と21時直後の30分の値動きの大きさを日別に比べたものです。中央値だけでなく、1日ずつ見ても差がないかを確かめるためです。
21時の直後のほうが大きく動いた日は17日、前の1時間のほうが大きかった日は18日でした。21:00〜21:30が5pips以下だった日は17日と、半分近くを占めます。
表1に、30分ごとの中央値・平均と、10pips以上動いた日数をまとめました。
| 時間帯 | 中央値 | 平均 | 10pips以上 動いた日 |
ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 20:00〜21:00 | 4.3pips | 7.0pips | 8日 | NYオープン前の1時間 |
| 21:00〜21:30 | 5.3pips | 6.5pips | 7日 | オープン直後。前の1時間と差はわずか |
| 21:30〜22:00 | 4.6pips | 6.6pips | 6日 | 指標がなければ静か |
| 22:00〜22:30 | 4.6pips | 10.2pips | 7日 | 平均は大きく動いた数日に引っ張られた値 |
| 21:00〜22:30(1時間半) | 7.3pips | 14.0pips | 11日 | 合計しても目立った偏りなし |
表1: 米指標がない35営業日の集計。出典 仲値・時間帯アノマリー統計(Yahoo Finance 5分足)。2026年6月22日〜9月9日、2026年9月11日集計。全日の内訳はデータページで確認できます。
表1の平均を見ると、21:00〜21:30は6.5pipsで、前の1時間の7.0pipsをむしろ下回ります。中央値でも平均でも、21時を境に値動きが増えたとは言えませんでした。
実際のチャート:米指標がなかった2026年8月31日と8月28日の20:00〜22:30
図: ドル円1分足の終値(円)。左は2026年8月31日、右は8月28日。どちらも21:30〜22:15に米指標がなかった日(仲値・時間帯アノマリー統計の1分足)
ひとことで言うと:2日とも、21時の点線をまたいでも波の形は変わらず、20時台と同じ細かい上下が続いています。
図2は、米指標がなかった日の実際のドル円1分足を2日分並べたものです。8月31日は1時間半の合計が+7.9pipsで、この期間の中央値に近い「ふつうの日」です。
8月31日の21:00〜21:30は+6.9pipsで、その前の1時間と同じくらいの小さな波でした。8月28日も21:00〜21:30は−5.4pipsで、21時を境に動き方が変わった様子はありません。
注意点:指標がない日でも、21時直後に20pips以上動いた日が3日。向きは2026年夏の円高に引っ張られています
図: 21:00の価格を基準にした平均の動き(pips)。青は米指標がない35日、橙は米指標がある23日(仲値・時間帯アノマリー統計・2026年6月22日〜9月9日)
ひとことで言うと:「ほとんど変わらない」は中央値の話で、例外の日はあります。平均の動きは右肩下がりで、期間の円高トレンドが混ざっています。
「中央値では静か」でも、例外はあります。米指標がない日で21:00〜21:30に20pips以上動いたのは9月7日(−25.0pips)、9月8日(−29.4pips)、9月9日(+20.3pips)の3日で、ドル円が急落した週に集中していました。
また、21:00〜22:30の1時間半では9月2日(−77.9pips)、8月19日(−71.8pips)、7月31日(−69.9pips)のように70pips近く動いた日もあります。このサイトが記録していない指標や要人発言、ニュースで動いた可能性があり、「指標がない=安全」ではありません。
図4の平均の動き(青)は22:30に−7.03pipsと右肩下がりです。これは2026年6月22日から9月9日のドル円が160円台から153円台へ下げる局面だったためで、向きの統計はそのまま信じないでください。
比べる相手を「直前の30分(20:30〜21:00)」にすると、中央値は3.5pipsで、21:00〜21:30(5.3pips)のほうが大きくなります。30分同士で比べれば21時直後が少し大きい、と読むこともできる点は正直に書いておきます。
集計は米指標がない35営業日だけで、米国が夏時間の期間に限られます。冬時間(22時オープン)や、相場の局面が変われば結果も変わる可能性があります。
ちなみに、21:30に米指標がある23日は別物です。図4の橙のように21:30の直後に大きく動き、21:30〜22:00の中央値は10.8pipsでした。「NYオープンで動く」という印象は、21時ではなく21:30の指標発表から来ている可能性があります。
NYオープン・オプションカット・ロンドンFIXなどの時間帯統計は、仲値・時間帯アノマリー統計で毎日更新しています。指標がある日の値動きは、指標反応アーカイブで確認できます。
※本記事は2026年9月11日時点のデータに基づく情報提供であり、投資助言ではありません。売買の判断はご自身の責任でお願いします。
