国債の含み損はなぜ?金利上昇で値段が下がる仕組みと日銀の45兆円

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こんな疑問を持つ方へ
  • 金利が上がると、なぜ国債に含み損が出るの?
  • 金利が1%上がると、国債の値段は何%下がる?
  • 満期まで持てば含み損はなくなる?個人向け国債は?
  • 日銀の国債の含み損はいくら?どうなるの?

国債に含み損が出るのは、金利が上がると、利率の低い古い国債の値段が下がるからです。当サイトが2026年9月30日の利回り(財務省)をもとに計算しました。金利が1%上がったとき、10年国債の値段は約8%、30年国債は約15%下がります。この記事では、そのしくみと年限別の値下がり率、満期まで持つとどうなるか、日銀や米国債の含み損まで順番に解説します。

国債の含み損はなぜ出る?金利が上がると古い国債の値段が下がるから

図1 金利が上がると、持っている国債の値段が下がるしくみ 例:残り10年・利率1%の国債を額面100円で買ったあと、金利が2%に上がった場合 1 利率1%の国債を 100円で買う (毎年1円の利息) → 2 金利が上がり、 利率2%の国債が 新しく出る → 3 1%の古い国債は 約91円まで 下がらないと売れない

図: 金利が上がると国債の値段が下がるしくみ(hiro-fx.com作成)

国債の含み損とは、持っている国債の市場での値段(時価)が、買ったときの値段より低くなっている状態のことです。売らずに持っているあいだは損が確定していないので、「含み」損と呼びます。

値段が下がるいちばんの理由は、金利の上昇です。たとえば利率1%の国債を100円で買ったあと、金利が上がって利率2%の国債が新しく出たとします。同じ100円なら2%のほうが得なので、1%の古い国債を100円で買う人はいません。古い国債は、値段が下がって2%の国債と同じくらいの利回りになるまで売れなくなります。

どれくらい下がる?

残り10年・利率1%の国債の場合、金利が2%になると、値段は約90.98円まで下がる計算です。100円で買った人から見ると、約9円の含み損になります。逆に金利が下がれば、古い国債の値段は上がり、含み益になります。

【データ】金利が1%上がると国債は何%下がる?年限別に計算

図2 金利が上がったときの日本国債の値下がり率(年限別) 利回りが2026/09/30の水準(財務省)の国債を額面で買い、金利が0.5〜2%上がった場合 金利+0.5% 金利+1% 金利+2% 0% −10% −20% −30% 1.0 1.9 3.8 2年国債(利回り1.95%) 2.3 4.6 8.9 5年国債(利回り2.40%) 4.2 8.2 15.6 10年国債(利回り3.06%) 8.1 15.3 27.4 30年国債(利回り4.10%)

図: 金利が上がったときの日本国債の値下がり率(2026年9月30日の利回り・財務省「国債金利情報」をもとにhiro-fx.comが計算)

当サイトでは、財務省が公表している2026年9月30日の国債の利回りを使って計算しました。その利回りと同じ利率の国債を額面で買い、直後に金利が上がった場合の値下がり率です。金利が1%上がると、2年国債は−1.9%、10年国債は−8.2%、30年国債は−15.3%です。

満期までの期間が長いほど、値下がりが大きくなります。低い利率のまま待たされる期間が長いほど、新しい国債との差が大きくなるためです。日銀や銀行が持つ長い国債ほど、金利上昇の影響を強く受けます。

年限利回り
(2026年9月30日)
金利が0.5%上がると1%上がると2%上がると
2年国債1.952%−1.0%−1.9%−3.8%
5年国債2.399%−2.3%−4.6%−8.9%
10年国債3.057%−4.2%−8.2%−15.6%
30年国債4.098%−8.1%−15.3%−27.4%

※その日の利回りと同じ利率の国債を額面100円で買い、直後に金利が上がった場合の値下がり率(年2回利払いで計算)。利回りは財務省「国債金利情報」。hiro-fx.comが計算

金利上昇で含み損が増えるのは、債券すべてに共通

このしくみは国債だけでなく、社債や外国の国債など、利率が決まっている債券すべてに当てはまります。「債券の含み損」も、ほとんどは金利の上昇が原因です。発行した会社の経営が悪くなって値段が下がる場合もありますが、国債ではまれです。

国債の含み損は満期まで持てばなくなる?

図3 金利が上がったあとも、満期に近づくと値段は額面100円に戻っていく 利率1%・残り10年の国債を、金利2%のまま持ち続けた場合の値段(計算値) 88円 90円 92円 94円 96円 98円 100円 102円 0年後 2年後 4年後 6年後 8年後 10年後 額面(買った値段)100円 金利が2%に上がった直後 90.98円(含み損 約9円) 5年後 95.26円 満期 100円

図: 利率1%・残り10年の国債を、金利2%のまま持ち続けた場合の値段(hiro-fx.comが計算)

満期まで持てば、国債は額面の100円で返ってきます。国が返せなくなる場合を除けば、含み損は満期に近づくにつれて小さくなり、満期にはなくなります。図3のように、金利が上がった直後に約91円まで下がった国債も、持ち続けるうちに100円へ戻っていきます。

ただし、そのあいだ受け取れる利息は1%のままです。2%の国債を買っていれば受け取れたはずの利息を、受け取れないことになります。含み損が消えても、「もっと高い利率で運用できた分」を取り損ねていることは変わりません。満期の前に売れば、そのときの時価で損が確定します。

個人向け国債は含み損が出ない

個人向け国債は、市場で売買されないため、金利が上がっても値段は変わりません。財務省によると、中途換金するときの金額は「額面金額+経過利子相当額−直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」です。元本は割れず、差し引かれるのは利息の一部だけです。中途換金は、原則として発行から1年たてばできます。

持ち方金利が上がると途中で売ると
個人向け国債値段は変わらない(含み損は出ない)額面+経過利子−直前2回分の利子相当額で換金(原則1年経過後)
新窓販国債・市場で買った国債時価が下がり、含み損が出る時価で売るので、損が確定することがある
債券の投資信託・ETF基準価額が下がる時価で売る。満期がない商品が多い
米国債など外国債券債券の値下がり+為替の動き円高だと損が大きくなる

※財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」などをもとにhiro-fx.com作成

日銀の国債含み損はなぜ45兆円?どうなる?

図4 日銀が持つ国債の評価損益と、10年国債の利回り 各年3月末・9月末。評価損益=時価−帳簿の価格(日本銀行の決算・上半期財務諸表) −50兆円 −40兆円 −30兆円 −20兆円 −10兆円 0兆円 10兆円 +9.4 21年3月 0.10% +4.4 22年3月 0.22% −0.9 22年9月 0.28% −0.2 23年3月 0.39% −10.5 23年9月 0.77% −9.4 24年3月 0.75% −13.7 24年9月 0.89% −28.6 25年3月 1.50% −32.8 25年9月 1.66% −45.4 26年3月 2.37% 10年金利

図: 日本銀行が持つ国債の評価損益(日本銀行「決算」「上半期財務諸表」の保有有価証券の時価情報)と、10年国債の利回り(財務省)

日銀が持つ国債の含み損も、金利の上昇が原因です。日銀の決算によると、2026年3月末の国債の帳簿の価格は530兆8,695億円、時価は485兆4,280億円でした。差し引き45兆4,414億円の含み損です。1年前の2025年3月末の28兆6,246億円から、約17兆円増えています。

図4のとおり、2021年3月末には9兆円あまりの含み益でした。10年国債の利回りが0.1%ほどから2%台まで上がるにつれ、含み損に変わって大きくなりました。日銀は長い期間にわたって大量の国債を買ってきたため、利率の低い国債を多く持っています。

日銀の含み損はどうなる?

日銀は国債を「償却原価法」という方法で評価しています。満期まで持つことを前提に、買った値段と額面の差を少しずつ損益に反映させる方法です。このため、時価が下がっても、その含み損は決算の損益には出ません。2025年度(2026年3月期)の経常利益は2兆3,421億円の黒字でした。

一方で、金利が上がると、日銀が銀行から預かっているお金(当座預金)に払う利息が増えます。2025年度に払ったこの利息は2兆7,104億円で、前年度の約2.2倍でした。日銀は経常利益が4,501億円減った主な理由に、この利息の増加を挙げています。持っている国債の利回りが低いまま払う利息だけが増えると、収益が圧迫されます。含み損そのものより、この収益の面が議論の中心です。

米国債の含み損はなぜ?円で見ると為替も効く

年限利回り金利が1%上がると2%上がると
米2年国債4.78%−1.9%−3.7%
米5年国債5.00%−4.3%−8.3%
米10年国債5.24%−7.4%−14.1%
米30年国債5.60%−13.0%−23.5%

※利回りは当サイトの日米金利差ウォッチ(2026年10月2日更新)。計算方法は日本国債と同じ。ドルでの値下がり率で、為替の動きは含まない

米国債の含み損も、しくみは同じです。アメリカの金利が上がると、利率の低い古い米国債の値段は下がります。当サイトのデータ(2026年10月2日更新)では、米10年国債の利回りは5.24%です。ここから金利が1%上がると、値段は−7.4%になる計算です。

日本の個人が米国債を持つ場合は、為替の動きも加わります。円高になると、ドルでの値段が同じでも、円に直した金額は減ります。金利上昇と円高が同時に起きると、損が重なります。

米10年国債(1万ドル分)ドルでの値段ドル円円での値段
買ったとき1万ドル150円150万円
金利が1%上がり、ドル円が140円になった約9,264ドル140円約129.7万円
円での含み損約20.3万円(−13.5%)

※米10年国債を利回りと同じ利率で額面で買った場合の計算例(hiro-fx.com作成)。円高になると、債券の値下がりに為替の損が重なる

日米の金利とドル円の関係は、当サイトの日米金利差ウォッチで毎日更新しています。日米の国債の利回りと、ドル円の動きを並べて確かめられます。

国債の含み損で慌てないために知っておくこと

確かめること理由
満期まで持つつもりか満期まで持てば額面で返ってくる。途中で売ると時価で損が確定する
どの種類の国債か個人向け国債は値段が変わらない。市場で買った国債や投資信託は値段が動く
残りの期間はどれくらいか長いほど金利の影響が大きい
外国の国債なら為替円高になると、債券の値下がりに為替の損が重なる

※hiro-fx.com作成

国債の含み損は、満期まで持つなら、損として確定することはありません。慌てて売ると、そのときの時価で損が確定してしまいます。まずは、自分の国債がどの種類で、満期まであと何年あるかを確かめるのが先です。

途中で売る可能性がある資金なら、残りの期間が短い国債や個人向け国債のほうが、金利上昇の影響を受けにくくなります。外国の国債は、為替の動きでも円での損益が変わることを覚えておきましょう。

よくある質問

Q1. 国債の含み損を一言で、わかりやすく言うと?

A. 「金利が上がったせいで、持っている低い利率の国債の値段が下がっている状態」です。売らずに満期まで持てば、額面で返ってきます。

Q2. 金利が下がると、国債の値段は上がる?

A. 上がります。利率の高い古い国債のほうが得になるため、値段が上がり、含み益になります。2021年3月末の日銀の国債は、金利が低かったため含み益でした。

Q3. 国債を売って確定した損は、税金で取り戻せる?

A. 国債は税金の上では「上場株式等」に入ります。売って確定した損は、確定申告をすれば上場株式の売却益や国債の利子などと差し引きできます。引ききれない分は、翌年から3年間繰り越せます(国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」)。

Q4. 国債の金利はFX(ドル円)とも関係がある?

A. あります。日本とアメリカの国債の利回りの差(金利差)は、ドル円の動きに影響する代表的な材料の1つです。金利差が広がるとドル高・円安、縮まるとドル安・円高になりやすい傾向があります。

まとめ:国債の含み損は「金利上昇」で出て、「満期」で消える

  • 国債の含み損は、金利が上がって利率の低い古い国債の値段が下がることで出る
  • 2026年9月30日の利回りで計算すると、金利が1%上がれば10年国債は約8%、30年国債は約15%下がる
  • 満期まで持てば額面で返ってくる。個人向け国債は値段が変わらず、含み損は出ない
  • 日銀の国債の含み損は2026年3月末で45兆4,414億円。償却原価法なので決算の損益には出ない
  • 米国債を円で持つと、金利上昇に加えて円高でも損がふくらむ

日銀の金利や国債の保有額の動きは日銀ウォッチ、日米の国債の利回りは日米金利差ウォッチでまとめています。FXの含み損の基本はFXの含み損・含み益とは?をご覧ください。

※この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。日本国債の利回りは財務省「国債金利情報」(2026年9月30日)、米国債の利回りはhiro-fx.comの日米金利差ウォッチ(2026年10月2日更新)、値下がり率はhiro-fx.comが計算したものです。主な出典: 日本銀行「第141回事業年度(令和7年度)決算等について」ほか各期の決算・上半期財務諸表、財務省「個人向け国債の中途換金についてのよくある質問」、国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」。この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。取引はご自身の判断で行ってください。